採用に強い味方の「助成金」活用で中小企業の雇用促進へ!

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プロフィール
株式会社ライトアップ
執行役員/杉山 宏樹
Jマッチ事業の立ち上げを行い、現担当役員。全国で経営者向けセミナーを開催。自身も講師を務める。「全国、全ての中小企業を黒字にする」をビジョンに掲げ事業を推進。
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近年「採用」にまつわる助成金の支給が増えていることをご存知でしょうか?「補助金」と違って審査が必要ない「助成金」は、4つの条件に当てはまり、決められたことを全て行ない、労務違反等々の不支給要件に抵触することがなければ支給されるものです。それでは、どのような条件が揃えば採用にまつわる助成金を受けられるのか。助成金活用のポイントを、助成金のプロフェッショナルである株式会社ライトアップ執行役員の杉山宏樹さんにお話を伺いました。

多くの企業が該当する!助成金をもらえる条件

さっそくですが、助成金を受けるために必要な条件はなんでしょうか?

助成金をもらう条件は4つ。「正社員が1人以上いること」「雇用保険や社会保険を払っていること」「半年以内に会社都合の解雇をしていないこと」「労務違反をしていないこと」等です。つまり日本中の多くの企業が対象になっていると考えることができます。上手に助成金を活用すると採用コストなどを助成金から捻出できるので、経営にもメリットが大きい。この機会に、助成金の知識を深めていきましょう。

中途採用における助成金支給の近年の傾向

人材不足が経営課題の今、中途採用に有効な助成金が増えていると聞きました。

前提として、助成金全般に言えることですが、厚生労働省が助成金制度を設定しているのは「社会問題を解決するためである」ということが基本的な考え方になります。これまでは、業績拡大や社員教育、入社後のプロセスに対して助成金が出ることが多かったのですが、昨今は完全に人手不足が上位の経営課題です。社会問題にもなってきているので、助成金も「人手不足の解消につながるもの」が相対的に増えてきているのがトレンドとしてあります。

人手不足解消法は大きく3つに分かれていて、1つ目が働く人自体を増やす「採用」。2つ目が働く人のパワーを上げる「生産性の改善」。3つ目が働けなくなる人を最小限に食い止める「離職防止」です。この3本柱で助成金は設定されています。

「助成金」と同じくらい「補助金」も耳にしますが、どのような違いがあるのでしょうか?

「助成金」は必要な条件を満たせばもらえるのに対して、「補助金」は申し込んだ会社が必ずしももらえるとは限りません。事業内容や企業の社会的必要性をアピールして、書類審査をクリアしないともらえないのが「補助金」。ここが「助成金」と「補助金」の大きな違いです。

実際には、どれくらいの企業が助成金を利用されているのでしょうか?

全国で経営者向けに助成金のセミナーを開催しているのですが、そこに来られている方々にアンケートを取った結果ですと、助成金を利用した経験があると答えた方は5%もいません。比較的感度の高い方々がセミナーに来ているので、世の中的にはもっと少ないように思います。

普及しない要因は「自社に合う助成金探しが大変、かつ精通した人も少ない」「内容の理解が大変」「書類作成が大変」の3つです。実際に省庁のホームページを見にいくと1つの助成金のカタログが何十ページにも渡っているので、全て読み込んで咀嚼して自分の会社に合うか合わないか判断しないといけません。小論文のように書かれているため、正直なところ面倒くさいのです。だから、助成金を諦めてしまう企業が多く、利用が進んでいないのではないでしょうか。

採用シーンで活用できる助成金

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採用シーンに役立つオススメの助成金を教えてください。

採用・生産性・離職の3本柱でいうと、「採用」だったら、たくさん採用したら助成金が支給される「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」があります。今年度分は実質、新規受付が終わっていますが、新たに純増した正社員1人に対して60万円、上限10人まで支給されます。ですから、最大600万円(10人×60万円)をもらうことができるので、オススメの助成金です。弊社でもこの助成金を利用して採用活動を進めています。

また、アルバイトの方を正社員に雇用を切り替える「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」を利用すると、1人当たり57万円の助成金が支給されます。年間で上限20人までもらうことができるので、最大で1140万円(20人×57万円)となり、雇用の安定化が図れるため採用にとても適している助成金です。

生産性の改善や離職防止ではどのような助成金があるのでしょうか?

生産性改善のジャンルだと、社員の残業時間を減らす「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)」があります。これは、取り組みの実施にかかった経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給してもらえる助成金です。そのほかにも社員のスキルを高めるための「人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース)」というものもあり、能力を高めて生産性の改善を目指していくことができる助成金があります。

離職防止でいうと、「離職防止≒福利厚生」という助成金が多くあります。たとえば、育児休業や介護休業から復職したら企業へ支給される「両立支援等助成金」です。これは、休業取得時と職場復帰時にそれぞれ28万5000円を支給されるのが特徴。もちろん、支給には条件を満たす必要がありますが、該当していれば休業に入るときと復職したときのダブルで助成金を受けられます。このようにオススメした助成金だけでも、活用する価値を感じてもらえたのではないでしょうか。

助成金を申請する前に準備すべきこと

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今ご説明いただいた助成金を利用するために、どのような事前準備をしておくべきでしょうか?

基本的には、助成金のために特別な事前準備をする必要はありません。就業規則や雇用契約書、出勤簿、賃金台帳といった基本的な書類が社内で整備されていれば、助成金の申請がスムーズにできます。しかし、零細企業などは、書類が未整備というケースも多い。そのため、助成金を申請する段階で書類を揃え始めるので時間がかかってしまうのです。それでも問題はありませんが、スムーズに申請をしたいとお考えであれば、労務の整備をしておくといいと思います。

もしくは、助成金の申請を代行してくれる方、助成金について詳しく教えてくれて申請も手伝ってくれるような方とつながっておくことも大事です。

助成金を利用したほうがいい企業の特徴などがあれば教えてください。

大前提としては“すべての企業”が利用したほうがいいと思います。そのうえでお話しすると、人数を増やしている拡大傾向にある零細企業は利用すべきです。10人とか、20人とか、採用を頑張って増員していくフェーズは、採用の人数が多いほど助成金の額が増えますから活用しない手はありません。また、人が増え始めると労務や書類の整備も一緒にやっていかないといけないため、助成金の申請に際して労務や書類の整備ができるので一石二鳥です。とくに求人広告を出稿し始めた企業は、採用コストの負担も軽減されるので利用してみてはいかがでしょうか。

採用成功し助成金を支給された企業の例

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助成金を積極的に活用されている企業様の例を教えてください。

費用面と効果面の2つでご説明すると、費用面では弊社がまさしく採用成功に至った良い事例だと思います。我々は助成金を活用する前は約70名の社員数でした。それが1年間で、100名規模の社員数になっています。人を増やせた要因としては先ほどもご説明した「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)」の活用があります。年間で最大600万円の助成金をもらえるので、そこから採用コストを捻出し、採用成功がしやすくなる好循環が生まれています。

効果面ではどのような事例があるのでしょうか?

効果面では、採用が難しいサービス業の中小企業様の事例でしょうか。この企業様は、勤務間インターバル制度を導入して「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」を薦めています。勤務間インターバル制度とは、社員が退勤してから出勤するまで9時間以上あけるというもの。この制度は、徹夜して残業、早朝まで仕事して朝帰りというような働き方をしない会社しか導入できません。ようするに、ブラック企業ではないことの証明になるため、求人票に「勤務間インターバル制度を導入しています」と一筆入れられ、労務管理がしっかりしているお墨付きになるのです。そのため、求職者に安心して働けることが伝わって、応募率が上がったとのことです。

助成金についての情報収集とポイント

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助成金に関する情報を集めるための方法を教えてください。

厚生労働省のサイトを見ていただくとわかると思いますが、助成金に関して複雑かつ難しい、という感想を持つ方が多いようです。ですから、自分たちですべてをやろうと思うとすごく時間がかかる。なので、助成金の申請をした経験がある人や専門領域で知見がある人に聞くほうが情報を早く正確に集めることができます。また、私どもでは、「Jマッチ」という検索サービスで助成金についての情報を提供しており、同様のサイトはいくつかあります。日々インターネットで検索することに慣れている方はインターネットでの情報収集がいいと思います。ただし、インターネット上には古い情報も載ったままにされているので、そういった誤った情報を収集してしまわないために“詳しい人に聞く”ということは大切です。

いくつもある助成金の中で最適な情報を取捨選択するポイントがあれば教えてください。

企業によって必要な助成金は全然違いますが、各助成金はやることが決まっています。アルバイトを正社員に切り替える、残業時間を減らす、といったことなので、自社でやれると言い切れる助成金に対しては申請を出したほうがいいし、そう思えない場合には申請を出さない、というシンプルな選択判断が実は大切なポイントだったりします。ただし、助成金の申請には期限があるので、情報収集をする際に期日の確認は忘れずにしてください。

申請に期限があるということは、情報収集する際のベストなタイミングがあるのでしょうか?

基本的に4月の前半に新年度の助成金情報がリリースされるので、4月の終わりからGWくらいの時期に調べ始めるのがいいタイミングだと思います。もっというと4月や5月は新しい制度が出てもルールが定まっていないことがあるので、できれば6月から7月くらいに動くとルールも固まってきてちょうど良いかもしれません。4月の終わりに厚生労働省のサイトにひっそりとリリースされますから、その時期を把握しておくと時間的な余裕もあり、助成金の利用もしやすくなるのではないでしょうか。弊社は全国で助成金勉強会を開催しているため、そちらにお越し頂くと新年度の助成金は一通り理解できます。

大々的な発表がないからこそ、リリースのタイミングに合わせて厚生労働省のサイトを定期的に確認することが大切ですね。本日は助成金について詳しくお話いただきありがとうございました。

助成金の活用が企業の競争力に

杉山さんのお話にもあったように「助成金の条件に該当していない」「助成金の申請は難しそう」といった判断から、せっかくの制度を活用していない企業がほとんどです。ですが、実際には多くの企業が助成金を利用できる条件に当てはまっています。助成金を受けられれば、費用の面で諦めていた施策やサービスの実施が可能ですので、日頃からこうした情報をキャッチアップし、業務にお役立てください。