業績の良い企業はここが違う!企業の生産性向上の決め手、従業員エンゲージメント
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福利厚生や賞与、休暇などの待遇をよくしているのに業績があがらないといった悩みはありませんか?その原因は、従業員がやりがいを感じていない状態、すなわち従業員エンゲージメントが低いせいかもしれません。
従業員の仕事への熱意のもとになっている要素のひとつが従業員エンゲージメントです。従業員エンゲージメントとは、従業員が企業に対して愛着を感じるとともに、企業の将来像(ビジョン)や価値観に共感することで、自社の存続や成長に積極的に関わっていこうとする行動のこと。
過去の研究からも、エンゲージメントが高くなると従業員が自ら成果を求めて行動できるようになり、企業の業績に影響をあたえることがわかっています。
従業員満足度と従業員エンゲージメントは違う
多くの企業が従業員満足度と従業員エンゲージメントを混同していることを、複数の専門家が指摘しています。勤務条件に満足できているかどうかを示す従業員満足度と、仕事そのものに熱中できているかを示す従業員エンゲージメント。この2つはよく似ていますが、別々に考えるべきでしょう。
会計会社ADPが発表したEmployee Satisfaction vs. Employee Engagementというレポートでは、過去のアンケート調査を元に、従業員満足度と従業員エンゲージメントを高めるために必要な条件を次のように示しています。
従業員満足度
従業員満足度とは現在の仕事と職場環境が従業員に十分だと思われているかどうかを測定するものです。つまり従業員がどれくらい仕事に熱意をもって取り組みたいと思っているかには関係ありません。
従業員満足度を高くするための必要条件トップ5
- 職業の安定
- スキルや能力を活かす場所があること
- 組織の経済的安定
- 直属の上司との良好な関係
- 金銭的な報酬
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントは、従業員が会社組織へどの程度の愛着があり、仕事に熱中できるか測定するものです。従業員が組織のために自ら努力できるかをとらえます。
従業員エンゲージメントを高くするための必要条件トップ5
- 仕事そのもの(本人の希望する仕事、やりたい仕事であるかなど)
- 同僚との人間関係
- スキルや能力を活かす場所があること
- 直属の上司との良好な関係
- 組織のビジネスゴールに自分の仕事が貢献していること
従業員満足度を高めるには社会的、経済的な安定が重要。一方、従業員エンゲージメントを高めるには、本人のやりたい仕事であるかが重要です。2つの微妙な違いが、おわかりいただけたでしょうか?
両方に影響をあたえている条件もいくつかあります。これらは職場の環境において、特に大切だと考えてよいでしょう。
従業員エンゲージメントを高く維持する3つのE
従業員エンゲージメントを高く維持し生産性をあげるためには、どのような職場を目指せばいいでしょうか。
エンゲージメントコンサルタントのエイドリアン・ゴスティック氏と、チェスター・エルトン氏は、共著『ALL IN: How the Best Managers Create a Culture of Belief and Drive Big Results』のなかで、職場に3つのEがそろっていることが必要であると記しています。その3つのEをベースに、具体的に職場でどのようなことができるか考えてみましょう。
Engaged やりがい、自発的にモチベーションを高められる職場
- 自分の仕事が企業やチームの成果に貢献できていると感じられる
- 仕事がうまくいったときに褒めてくれる人がいる
- 提案や意見が受け入れられる
Enabled 能力が発揮できる職場
- 仕事に必要な材料や道具がそろっている
- 自分の得意なことを仕事に活かせる
- 技術向上のための勉強や、トレーニングを受けられる
Energized 元気のある職場
- 上司や同僚との人間関係がうまくいっている
- 職場に親友がいる
- 一緒に働くメンバーが、質の高い仕事を目指している
従業員の熱意とエンゲージメントを高めるためには、物質的な待遇よりも、自分を気にかけてくれる同僚や上司の存在や、よい仕事ができている実感など感情面で満たされることが必要です。誰でも自分のやってみたいことに取り組んでいるときや、自分が尊敬できる人たちと何かを成し遂げようとしているときには力を発揮できるもの。
とくに面接時や採用直後の段階は仕事への意欲も高いもの。早い段階から企業文化を正しく伝えたり、候補者がどのような仕事を希望しているか正しくヒアリングして人員配置に役立てたりすることが、入社後の従業員エンゲージメントにつながります。