企業や個人の変革がカギ!第4次産業革命によって変わりゆく事業

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プロフィール
安藤隼人
某国内メーカーにてシステムエンジニアとして10年以上勤続中。現職の傍らITライターとしても活動。
英語の論文や各種展示会などから最先端の情報を仕入れ、IT業界の動向を追う。専門用語の羅列は控え、常に分かりやすく伝えることをモットーに各媒体にて執筆中。

近年、急速に認知が広まったAI、IoT、そしてビッグデータ。これらの仕組みを利用することで、従来とは一線を画した産業構造が生まれました。この革新を『第4次産業革命』と呼びます。

今後、第4次産業革命によって事業内容も大きく変化し、さまざまな可能性が出てくるのは必然です。既に世界中で、第4次産業革命を受けた新たな動きが多数出ています。

第4次産業革命とは

『第4次産業革命』とは、IoTやAI、ビッグデータを用いて発生する事業革新のこと。第4次産業革命によって、さらなるデジタル化が多くの分野で進行するといわれています。『世の中の企業はすべてIT企業になる』という言葉も出てくるほどです。

第4次産業革命前には、次のような産業革命がありました。

  • 第一次産業革命:蒸気機関の開発により手作業だった仕事が機械化
  • 第二次産業革命:電力の導入で大量生産が可能に
  • 第三次産業革命:コンピューターの導入による自動化

これらの産業革命の上に、今回の第4次産業革命は成り立っています。

第4次産業革命と同意義の『Industry 4.0』『Society5.0』とは

第4次産業革命と同意義の言葉として『Industry 4.0』、『Society5.0』も存在します。

Industry 4.0

IoTやAI、ビッグデータを用いて、製造業のオートメーション化およびコンピューター化を目指すコンセプトのこと。ドイツが世界で初めてIoTの普及を国家プロジェクトとして宣言、ドイツ工学アカデミーにより2011年に発表されました。

Society5.0

仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会を表した言葉。『第5期科学技術基本計画』において、日本が目指す未来社会の姿として提唱されました。

第4次産業革命で見えてくる経営メリット

第4次産業革命では、次のような経営メリットが発生します。

  • 生産性の向上
  • コストの削減
  • 製造される商品の品質安定・向上
  • 安全性の向上、情報管理による商品の改善
  • 労働者の労働環境を改善

定型作業者のスキルシフトなど、検討すべき項目もあるものの、今後は各社さらにAI・IoT・ビッグデータの活用が進み、1人当たりの生産性が上がっていきます。

第4次産業革命の核となるAI・IoT・ビッグデータについて、何ができるか理解する手間はかかるのは事実。しかしながら、メリットや可能性は計り知れません。知識を得ておく価値は十分にあります。

第4次産業革命によって生まれる変革を進めていくには

IoTやAI、ビッグデータを用いた事業は、既に複数世の中に出ていますが、まだまだ一般的な普及という意味では道半ば。「公益社団法人 日本経済研究センター(※1)」が2019年3月20日に発行した『第5回AI経済検討会』の資料によれば、AI・IoTの導入率は総務省「通信利用動向調査」回答社数2592社のうち、14~15%に留まっています。

しかしながら、「導入検討」企業まで含めると、その割合は50.2%。IoTやAI、ビッグデータを用いて、積極的な自社の変革を促していきたい企業は決して少なくありません。ここでは、IoT、AI、ビッグデータについて、導入をどのように推進していけばよいか、みていきましょう。

※1:1963年に日本経済の発展に寄与することを目的に事業を開始した非営利の民間研究機関

企業の課題に合わせた導入を

当然のことながら、導入にあたっては自社の課題把握が第一です。導入自体が目的とならないように注意しましょう。

IoT、AI、ビッグデータは、新規事業を除くと企業の改善を目的として導入されることが多くあります。企業の課題に合わせた導入を考えていくと、コストメリットも出しやすいでしょう。

例えば、人件費を削減したい個室介護施設なら、見守りIoTシステムの導入によって各個室の室温や心拍数、離床状況などを一覧化して表示できます。見回りの頻度を減らし、少ない人員での介護施設運用に貢献します。

PoCによる導入前の効果測定は必須

PoCとは、Proof of Conceptの略で、直訳すると「概念実証」という意味です。IoTやAIの導入においては「実証実験」の意味で良く使われ、実際にIoTやAIを現場もしくは現場に準ずる環境へ適用して期待する効果が得られるか実験する動きのことです。

実証実験の場は、可能な限り現場の状況に近く、かつスモールスタートできるような場がよいでしょう。小さい規模から計画的に始めていくと、失敗したとしても再実験がしやすく費用面でのリスクも抑えられます。万が一、導入の見通しが持てなくなっても、中止の判断を下しやすくなるはずです。

メンテナンスやセキュリティ対策も忘れずに

IoTやAI、ビッグデータを扱うには、もちろんシステムを支えるインフラも必要です。ネットワークやサーバ環境などは、必ず定期的なメンテナンスが必要になります。

可能な限り専任のメンテナンス担当者を配置し、システムログチェックやシステムバックアップなどを定期的に実施しましょう。センサーなどのハードウェアも常日頃から稼働状況を監視し、故障した場合は早急な交換を実施しましょう。

また、セキュリティ対策も重要です。特にIoTに使用されるセンサー類については、近年サイバー攻撃が増加傾向にあります。センサーとインターネット間へのセキュアゲートウェイ配置や、定期的なセンサーのファームウェアアップデート、インフラ環境へのセキュリティパッチ適用なども実施しましょう。

第5次産業革命について

経済産業省の『産業構造審議会2020未来開拓部会』が発表した平成27年度報告書の中で、『第5次産業革命』という言葉が登場しました。

経済産業省が考えるところの『第5次産業革命』とは、ビッグデータやAI による第4次産業革命と最新のバイオテクノロジーの融合。報告書では『スマートセルインダストリー』と表現されています。

スマートセルとは、「最先端の情報処理技術とバイオ技術の活用により機能がデザイン・作製された“賢い”生物細胞」。そして、スマートセルインダストリーは、「スマートセルが創出する新たな産業群」と定義されています。遺伝子治療や生成困難な物質の生産などが期待されているのです。

第4次産業革命を迎えた今、必要な人材

三菱総合研究所が発行する『内外経済の中長期展望 2018年度-2030年度』によると、社会全体の人材ポートフォリオは、以下の4つに分類できるとされています。

2020年後半にかけては、IoTやAI、ビッグデータの普及により、従来の手仕事的・定型的・分析的な人材が余剰となります。一方、2030年の時点で専門職が170万人不足すると予想されているのです。

この専門職人材は、9割が人材ポートフォリオの「創造的」分野に属します。2030年に向けて、創造性や革新性を持つ専門職人材の確保が急務となっています。

既に手仕事的・定型的・分析的な業務に従事している方は「自律的なキャリア設計」が重要になっていきます。スキル設計を会社に頼らず、より創造的な分野へのスキルシフトやスキル学びなおしを自律的にできる人材は、これから更に需要が高くなるでしょう。

経営層も、IoTやAI、ビッグデータを活用していくうえで、自社の要員が積極的に学びなおしや自律的なキャリア設計ができる環境を整備すべき。例えば、AIやIoTを使いこなして生産性を上げながら現場のディレクションをしたり、全く新しいビジネスへチャレンジしたりといった方向性となるよう支援できれば、個人の成長が期待でき、ひいては会社の成長に繋がっていくでしょう。

第4次産業革命に合わせた会社・個人の変革を

第4次産業革命とは、AI・IoT・ビッグデータを利用することで起こる事業の革新を指します。

すでに第4次産業革命によって、自動運転サービスなど様々な事業が開始されています。今後の社会に与えていくメリットは計り知れません。手間はかかるものの、要員の生産性向上のために、積極的な導入をしていきたいところです。

一方で、今後は従来のような手作業、分析、定型作業などの仕事はAIなどに奪われていくことは事実。時代に合わせたスキルへシフトするよう、自律的なキャリア設計ができる人材は、これから更に需要が高まります。会社からのスキルシフト支援も必要になっていきます。

第4次産業革命に対応した会社・個人へ変革できるよう、時流に合わせた行動をしていきましょう。