まだ経験者だけ採用しているの?磨けば光る未経験者採用のメリット
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「経験者を採用したい」
人事担当者であれば、みなさん同じ想いではないでしょうか。 経験者を求めるあまり、採用が長期化し、求める人材がなかなか採用できないことがあります。 資格が必要な業種以外は、経験者に限定せず、未経験者まで視野を広げることをおすすめします。 実際に、マイナビ転職のデータでは「職種(仕事の種類)未経験者」を歓迎している割合は78.4%、4分の3の求人が未経験者もウエルカムという企業が増えています。 磨けば光る未経験者を見極めるポイントと、採用メリットについてお伝えします。
磨けば光る未経験者の要素とは?

選考において、これまでの経験・成果を見る際に、見極めるべき2つの能力があります。この能力を見極めることで、磨けば光る未経験者を見つけることができ、さらに経験者採用においてもミスマッチを防ぐことができます。
その経験・成果は誰の能力?
私は外資系、大手企業、ベンチャー企業、中小企業とさまざま企業で多くの人たちと仕事をしてきました。 そこから見えてきたのは、経験者には2つのパターンがあるということです。
- 「企業・組織の能力」で経験を積み、結果が出ていると思っている方。
- 「個人の能力」で経験を積み、結果を出している方。
「企業・組織の能力」で経験を積み、結果が出ていると思っている方は、他社に移った時に、仕事の能力が発揮できません。 なぜならば、企業・組織が仕事のやり方について定義しているため、その通りに仕事を進めることは経験していても、イレギュラー対応は経験していないからです。 いわゆる、言われたことしかできないのが、このパターンです。 「個人の能力」で経験を積んだ方は、職種や企業が変わっても再現する能力が備わっています。 自ら考えPDCAを回すことができる人は、個人の能力が高く、仕事内容や企業といった環境が変わっても仕事ができる人がこのパターンといえます。 よって、磨けば光る未経験者を見つけるには、「個人の能力」を見抜くことが重要となります。
業務経験から共通点を探せ

どうすれば、個人の能力を見極めることができるのでしょうか。 求人サイトでは、「業務経験●年以上」と書かれている求人を多く見かけます。 業務経験●年以上の言葉の先には、どんなスキルや仕事経験を積んでいるのか、具体的な要件があるはずです。
例えば、「差別化が難しい製品の営業経験」「年齢層が幅広いメンバーのプロジェクトマネジメント経験」など。 具体的な要件を洗い出すことで、磨けば光る未経験者を見つけることができます。
要件の洗い出し
業務内容以外にも洗い出すべき要件は2つあります。
- 求めるスキル
- 求めるマインドセット
当社の中途採用の求人票には、この2つが記載されています。
この2つの要件には、理由があります。
【①スキル=テクニカルスキル】
【②マインドセット=ヒューマンスキル】
①スキル=テクニカルスキルは、いわゆる理論や手法、ツールのことを示します。 営業や製品知識などの経験は、体系だった知識のため、サイエンスと同じく再現性があります。 よってこちらのスキルは教えることで、身につけやすいスキルと言えます。
②マインドセット=ヒューマンスキルは、対人関係における手法を示します。 BtoCでのお客様との関係構築や、多様な人材をプロジェクト完遂に向けてマネジメントしていくことも、このスキルに当てはまります。 このスキルは教えたからといって、簡単に身につくスキルではありません。 これら2つの要件の洗い出しをすることで、未経験者の職務経歴から共通点が見えてきます。
要件と経験の共通点をみつけよ
当社が出している求めるマインドセットを例としてお伝えします。
マインドセット: 「自らの可能性を限定的に捉えるのではなく、可能性を信じチャンスを活かすことが出来る人」
このマインドセットに対し、私が共通点を見つけるのであれば以下のポイントで経歴書を確認します。
- 【チェックポイント】
- 継続的にチャレンジをし続けているエピソード
- 仕事の枠に限定せず、幅広く仕事をしている
具体的には、「エンジニアとしての実務経験の他に、エンジニアの育成計画立案、研修企画運営に従事」とあれば、「「②仕事の枠に限定せず、幅広く仕事をしている」」の共通点と判断できます。
この様に具体的な要件に落とし込み、共通点を見つけることで、異業種においても能力を発揮する再現力があると考えます。
未経験者の採用はメリットが大きい

ここまでは未経験者のポテンシャルについてお伝えしました。 ここからは、未経験者が秘めているメリットについてお伝えします。
意欲と謙虚さを兼ね備える
転職者は未経験から念願の異業種へ転職できたことで、「早く即戦力になりたい」「会社に貢献したい」と意欲が高まります。 「意欲」と「謙虚」の評価は、面接で見極めることができます。 「意欲」は、なぜキャリアチェンジをしたいのか、を具体的なエピソードを引き出すことで、話している姿勢や新しいキャリアへの想いから判断できます。 「謙虚」は、経歴の中で問題を他人のせいにしていないか、自分の能力や成功に過信しすぎていないか、といった会話の中に現れる姿勢からみえてきます。 意欲と謙虚さを兼ね備えていることで、成長スピードにも期待できます。
自社のやり方になじみやすい
経験者は前職の仕事と比較しがちですが、未経験者は先入観がないため、自社の考えややり方を素直に受け止め、馴染みやすい傾向があります。 社会人経験のベースがありながら、先入観がないため、スポンジのような吸収力をもち、自社のやり方に抵抗感を持たずに実践しやすいといえます。 そのためにも人事採用担当者と未経験者を受入れる現場は、入社後すぐに自社の想いをしっかりと伝える必要があります。 受け入れる側も準備をすることで、意図を理解し意欲的に仕事に取り組んでくれるようになります。
これまでの経験のエッセンスによるシナジー効果
新たな仕事にこれまでの仕事の経験のエッセンスを加えることで、シナジー効果が生まれます。
【シナジー効果=これまでの経験×新たな仕事での気づき】
このシナジー効果により、全体の最適化、効率化が発揮されると考えます。 私は以前にイベントMCをした経験があります。
例えば、エンジニア時代には、これまで社内プレゼン大会で選考に選ばれない部署がありました。優秀なエンジニアが集まっているので、資料やプランなどのクオリティは高いのですが、評価軸の部分でインパクトに欠ける内容でした。その内容をイベントMCでの経験を活かし大勢の前でプレゼンをすると、声の通りが他の社員と違うので、どんな順番でも話を聞いてくれます。結果、全国大会まで進むことができました。 イベントMCの経験とエンジニアとしての仕事とは一見、関連性がないように思われます。しかし、イベントMCでプレゼン能力が身に付いていたことが、エンジニアとしてプレゼンするときに発揮できたわけです。 経験がスキルとして身に付いていれば、環境や立場が変わっても発揮することができる、と実感を持ちました。
まとめ
未経験の潜在能力を引き出すことで、経験者以上の効果を生み出すことができます。 経験者のみに限定せず、未経験者も視野に入れて採用することで、より自社が求める人材と出会える可能性が広がります。 私たち人事採用担当も、人の可能性を引き出す採用方法を考え実施していきましょう。