タレントマグネット:才能ある人材を引き寄せ、保持する方法

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組織が成功するためには才能のある人材が必要であるとよく言われます。それはなぜか?そして、どのようにすれば才能のある人を引きつけることができるのでしょうか?

『Talent Magnet』の著者マーク・ミラー氏は、人材コンサルティング会社として知られるAONと協力し、幅広く厳密な調査を実施しました。その結果、才能がある自発的なトップ・パフォーマーと、言われたことをこなすタイプの人材とでは、求めているものが違うことに気づいたのです。

本書では調査結果から得られた要点を寓話に取り入れて伝えています。採用活動が上手くいかず悩むCEOブレイク・ダウンと、アフリカの村に井戸を作るお金を寄付するために初めてインターンの職探しをするブレイクの16歳の息子クリントの物語から学ぶ、トップ・パフォーマーを引きつける方法の概要をご紹介しましょう。

人材採用に必要な3つの条件

トップ・パフォーマーに限らず、どの転職希望者も、まず次の3つの条件を求めて就職活動をします。採用側は、これらの3つの条件がきちんと提示できなければなりません。

基本的な条件

安全で仕事をするのに十分な道具が揃った職場であること、人として正しい扱いを受けること、妥当な給与、十分な研修があること、仕事が本人の希望する仕事内容であることなど。

企業文化

ポジティブで友好的、生き生きとした企業文化があること。また、困ったときに手を差しのべてくれる人がいる職場など。企業文化はどの求職者にとっても職場を選ぶ重要な要素ですが、トップ・パフォーマーを引きつけるための最重要項目ではありません。

企業ブランド/評判

世間からの評判や企業が持つブランドも、仕事を探す人たちの誰もが必ずチェックする要素です。

トップ・パフォーマーが求める3つのB

前にあげた3つの必要条件のほかに、トップ・パフォーマーは就職活動のなかで「3つのB」を求めているといいます。この3つの条件は普遍的で、年齢や経歴にほとんど左右されません。ミラー氏によれば、この3つを準備しておけばトップ・パフォーマーを引きつけることができます。

ただし、大切なのは3つのBを採用活動でアピールするだけではなく、それを実際に組織のなかで維持することです。そうすれば引きつけられたトップ・パフォーマーが長く職場で働いてくれるでしょう。

Better Boss (優れた上司)

トップ・パフォーマーは、思いやりがあり、実務能力に優れ、自分をよい方向に導いてくれる上司を望んでいます。例えば、面接官である未来の上司が、採用面接で自分の能力を利用するのではなく、自分の価値を高めてくれると感じたことで就職を決めたトップ・パフォーマーの話が出てきます。これは、採用面接であっても候補者が出来ることを一方的に聞き出すのではなく、企業や上司が候補者にできることを提案する思いやりが必要であるということでしょう。ほかにも、次のような上司がトップ・パフォーマーを引きつけます。

  • 生産ラインの一部としてではなく、部下を人として気にかけてくれる上司
  • 会議だけに顔を見せるのではなく、実際に現場の指揮をしてくれる上司
  • 部下が安心して才能を引き出せるよう導いてくれる上司

Bright Future(明るい未来)

明るい未来がある職場がトップ・パフォーマーを引きつけます。仕事を通して大きく成長できること、チャレンジする機会が与えられること、自分の能力を活用する場所を与えられることが望まれます。

  • 企業も社員も圧倒的成長ができる環境
  • 自分の技能よりも少し上のレベルの課題に挑戦できたり、必要なときには積極的な議論ができたりすることで個人の技能を伸ばせる環境
  • 才能を一か所に縛りつけず、希望があれば、ほかの部署に異動できる柔軟な組織であること

Bigger Vision(大きな展望)

トップ・パフォーマーは大きな展望のある組織で働きたいと思っています。具体的には企業理念や組織の価値観が明確であること、自分の力で変化を起こせる環境を重視します。

  • 組織内の団結力が強く、集団のエネルギーが生かせる
  • 個人の影響力が賞賛され、自分の活躍によって組織を向上させることができる
  • 人と人とのつながりを育てる場であり、個々の社員が組織の目標を達成するための役割を把握できる

トップ・パフォーマーがいなければ強いチームはできない

大切なのは、初めから力のあるトップ・パフォーマーを引きつける努力をすることです。強いスポーツチームがそうであるように、組織の力は能力のある人をチームに入れることで左右します。そのために、組織のなかで3つのBを持ち、採用活動でトップ・パフォーマーを引きつけるために積極的にアピールします。

間違った採用活動のパターン

「砂金探しのような採用」と、「ダイヤの原石磨きのような採用」をしてはいけません。「砂金探しのような採用」とは、お盆で川底の砂をすくうように丸ごと採用し、役に立たない石を捨てるように能力のない人を次々と辞めさせてしまうことです。このスタイルの採用では、人の出入りが激しくなり、組織内のモラルや社員のモチベーションが下がってしまいます。「ダイヤの原石磨きのような採用」とは、時間をかければ誰でもトップ・パフォーマーになると考え、見込みで採用しダイヤになるまで磨き続けることです。石炭をダイヤになるまで磨こうとするなら、企業は莫大な時間をトレーニングと人材開発に費やさなければならなくなります。

トップ・パフォーマーを採用するためには、彼らのニーズに合った採用活動をすること

現代の採用活動は企業が才能を取り合う戦争です。本書によれば「どのような資格や経験を持った人を採用すればよいか?」というようなことを考えるのではなく、「トップ・パフォーマーが何を求めて就職活動をしているのか?」ということに焦点を合わせた採用活動をしなければなりません。企業の中でトップ・パフォーマーのニーズを理解し実践するためには時間と労力が必要となるかもしれませんが、従来の採用活動よりも明らかに効果的です。

書籍情報

Talent Magnet:How to Attract and Keep the Best People
Mark Miller(著)
出版社Berrett-Koehler(初版2018/2/27)
ISBN-10: 1523094958
ISBN-13: 978-1523094950