外国⼈の積極採⽤が社内外に好影響!Monstar Labの取り組みを紹介

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プロフィール
株式会社モンスター・ラボ
デジタルコンサルティング事業部 戦略人事/永田 貴枝
大手総合人材サービス会社にて営業・キャリアコンサルタント業務に従事。2018年に株式会社モンスター・ラボに入社。戦略人事として国内外採用を担当。

日本国内において、人材の多様性が広まり、外国人労働者を採用する動きが企業ごとに出てきている昨今。しかし、まだまだ外国人労働者を採用することへの抵抗は少なからずあり、採用が思うように進んでいない企業は沢山あります。そこで、「外国人の積極採用が社内外に好影響を与えている取り組み」について、外国人労働者を積極的に採用してきた株式会社モンスター・ラボの戦略人事として、多様な人材とのマッチングを成功させている永田貴枝さんに外国人採用の実情を伺いました。

外国人採用に対する世間のイメージと課題

出典:法務省「在留資格一覧表」

未だに多くの日本企業が外国⼈採⽤を躊躇う原因は、どのようなパターンがあるとお考えですか?

大きく分けて2つのパターンがあると思っています。1つ目は、手続き上の問題となる「就労ビザ」がネックになっているケースです。外国籍の方に日本国内で働いてもらう場合、ビザがないと応募できないという企業が圧倒的に多いです。ビザの手続きは手間がかかりますし、そこに知見がないと最初の一歩を踏み出しづらい場合があります。2つ目は、言葉やカルチャーの問題です。台湾や中国、韓国の方たちは、日本と比較的カルチャーが近いのでそこまで大きな差はありませんが、遠方の国になるとカルチャーや常識が全く違うため、企業風土との温度差を懸念して採用活動で二の足を踏んでいる企業が多いと感じています。

ビザに関しては、国内にいる場合と海外から来てもらう場合とでも違いがありますよね。

明確に違います。ビザの種類の違いはもちろんのこと、就労ビザによっては更新頻度が違うので、それらを理解する必要があります。日本に滞在している方であっても、有効期限が切れてしまうと、「違法(不法残留者)」になるため、それこそ大きなリスクを抱えてしまいます。海外から人材を採用する場合は、企業側の体制づくりが大きく影響します。例えば、内定を出して入社することが決定したタイミングで、本人のビザ取得をサポートする必要があります。新卒で海外の外国人を採用するケースでは、大学を卒業できていない場合や、大学で学んでいた内容と日本企業で就業する内容に大きな乖離がある場合は、ビザがおりない可能性もあるので、もし取得できたとしても審査にかなりの時間がかかってしまいます。

なるほど、就業内容によってもビザの取得に影響があるのですね。

職種ごとで影響の度合いが違います。エンジニアなどの場合は、日本政府が推奨しているというのもあり通りやすいです。他にも、国同士の相性も影響することがあって、この国だとビザは1ヶ月でおりるけど、別の国だと2ヶ月かかるパターンもあります。また、母国にいる頃からエンジニアリングの勉強をされている方に、エンジニアとして弊社からオファーした際は、技術系のビザがおりるのは早かったですね。手続き上でいちばんネックとなるのが、職種や業種によって難易度が変わってくる部分。例えば、販売・サービス業などで海外から採用する場合は、自社だけで採用をやり遂げるには困難が伴うことが多いようです。

外国人採用を成功に導く手法と考え方

外国⼈採⽤の⼿続きの問題を解決する方法はあるのでしょうか?

今の段階で、自社内に就労ビザの取得などの知見を持っている方がいらっしゃらない企業は、実際に外国人採用を行っている企業に頼んで人事担当の方が研修を受けたり、現場見学などによってノウハウを蓄積するのも一つの手だと思います。また、ダイバーシティの観点から採用にも多様性が求められる時代ということもあり、ビザの取得代行やサポートシステムを生業にしている企業もスタートアップを含めて増えてきているので、以前より手続きへのハードルは低くなっています。他にも、最近のトレンドとしては留学生採用が増えています。日本で就労したいという海外の学生が多くハードルも低いため、外国人採用の知見がない企業には特におすすめです。

モンスター・ラボでは、どのような方法で外国人採用を行っているのですか?

人材紹介会社、自社ホームページ、リファラル採用、ビジネス系SNSなど、方法はさまざまです。その中でも、外国人採用で最も活用しているのは人材紹介。主に外国人特化型や外資系ヘッドハンティングのサービスが中心。エージェント自身も外国籍の方が多いので、そのネットワークを駆使してご紹介いただくケースもあります。弊社は開発拠点が海外に複数あるため、比較的アウトソースしやすいエンジニア業務に関してはバングラデシュ拠点やベトナム拠点などの海外のエンジニアと一緒にプロジェクトを遂行することが多いです。そのため、日本拠点において求めているエンジニアに関しては求める技術レベルも高いのですが、そういった高い技術レベルを有するエンジニアを採用することができれば、採用単価が高くなったとしても(人材紹介会社経由の場合、理論年収×30~35%が通常)経営に及ぼすプラスのインパクトの方が大きくなります。

優秀な外国人を採用する際、大切にされている判断基準などはありますか?

まだ拠点が少なく、従業員数が少なかった頃から外国籍の方が働いていたということもあり、日本人だから、外国人だから、といった国籍での判断基準は設けていません。私たちが大切にしているのは、外国人を採用するという視点ではなく、エンジニアリングのレベルを世界に通用する状態に高めるという目的のために採用するという視点です。そのため、判断基準として最初に重視するのはスキル。そのあとは仕事へのスタンスですね。その上で、私たちの事業ビジョンに共感していただける方を採用するという流れです。弊社のお客様は日本の会社様が多くお客様とのコミュニケーションはほとんどの場合日本語で行われます。そういったこともあり、日本語力に関してもある程度重視していますが世界レベルの技術力を有する方に関してはこの限りではありません。

色々と試行錯誤されているのですね。他にも苦労したことや、それを乗り越えた方法などがあればお聞かせください。

ノウハウ的な話になりますが、人材紹介会社から外国人のキャンディデイト(クライアント企業の条件に合った、紹介の対象となる候補者)をいただく時に、情報が散漫になることがあって苦労しました。これをいかにコントロールするかに注力して、人事側がイニシアチブをもって対応するようになってから、採用業務が生産的になり、より良い候補者に対して時間を割くことができるようになりました。また、採用後でいうと、初めて日本に住む外国籍の方に住居のサポートなどをしているのですが、日本の住まい事情がなかなか伝わらず困ることがありました。

例えば、「月5万円くらいで浅草に住みたい」と入社が決まった外国籍の入社予定者に提示されても、場所とコスト感がかけ離れていて要望を叶えるのが難しい。こういったことが幾度もあって、今では外国人採用に特化している紹介会社の中に居住地などもセットで提案してもらうなどの協力をしてもらっています。全部自分たちでやろうとすると人事側の教育にコストがかかってしまうため、“社内でやること”と“社外のプロに頼むこと”を明確化するのが得策だと思います。

外国⼈がいることで得られる社内外への好影響

外国人がいることで社内にどんな好影響が生じるのでしょうか?

私の実体験ですが、入社してから既成概念が無くなったと感じています。日本人の方しかいない企業や、外資系企業であっても日本滞在が長く流暢に日本語を話せる方がいる環境だと、“日本なら当たり前でしょ”という雰囲気があります。でも、弊社のように色々な国籍の方が混在している環境だと、その当たり前がありません。だからこそ、イノベーティブなことがしやすい風土なのかなと感じていますし、それこそ外国籍の方がいることによる好影響なのかなと思います。

他にも、海外の方は比較的に物事をはっきりとストレートに言うので、アイデアが浮かんだとしても上下関係を気にして言わないというようなことがありません。弊社も役職はありますが、役員事業部長の意見が絶対というのはないですし、何か意見があれば遠慮せずに言える雰囲気があります。これも外国人のしっかりと意思表示する性格が影響していると言えます。最近、採用活動をしていてよく新卒の学生に言われることがあるのですが、そういった誰もがはっきりと考えや意見を主張できる文化や、嘘偽りなく自分たちの課題をそのまま言えるという社風は、他の会社にない魅力なのだそうです。私たちにその自覚はありませんでしたが、学生のみなさんにとって信用できる会社だと思ってもらえているならば嬉しい限りです。

新卒採用にもプラスの効果があるのですね。

私たちにとっても発見でした。ちなみに、中途の外国人採用においてもメリットがあります。外国人の方は自分と同じように海外から来た方がたくさんいる会社だと知ると安心する傾向にあるようです例えば、同郷ではなくても、中南米からきているエンジニアの仲間がいるとコロンビア出身の方が知ると、それだけで親近感がわくといった具合に。これは日本人でも何となくわかる気がします。弊社には現在、日本・中国・セネガル・バングラデシュ・チェコ・イギリス・インド・ベトナム・コロンビア・フランスの10ヵ国出身の方が働いているので、より優秀な外国人が集まりやすいという恩恵を受けている状態です。

社外に対しても何か良い影響は出ていますか?

外国人が働いていることによる競合優位性はあると実感しています。日本から海外の方向けに、または海外から日本の方向けに発信するサービス案件があった場合は、その国のカルチャーなどを把握することはとても重要です。そこで必要になるのが、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)の視点。これは、ITなどの業界特性かもしれませんが、外国人の方がグローバルに流行っていることへの知見があるからだと思います。例えば、デンマークなど北欧のデザインは10年進んでいると言われているように、アプリなどを開発するためのプロジェクトにも良い影響を与えてくれるので、より鮮度のあるエクスペリエンスをアウトプットすることができます。

そんな外国籍の方が、より高いパフォーマンスを発揮する環境づくりのポイントなどがあれば教えてください。

既存の従業員が外国人への理解を深めると共に、企業側の受け入れ態勢を整えることが非常に重要です。特に、カルチャーに関しては配慮しなければならないことが国籍によっていくつかあります。弊社の受け入れ態勢を例に挙げると、従業員の中にイスラム教徒の方がいて、彼らは1日5回のお祈りが必要になります。そのため、お祈りをするためのスペースを確保するなどのサポートをしています。イベントでケータリングなどがある場合は、食事(ハラルフードなど)にも配慮が必要になりますね。これらは、制度というより心づもりがとても大切だと思っています。日本人の社員しかいない会社様にとっては、まずは日本とカルチャーが近い中国や韓国、台湾出身の方などからお会いしていくことが、初めての外国人採用においてはスムーズなのかもしれません。

まずは、採用目的を明確化し、人材紹介などを上手く活用しながらビザの手続き代行や社内環境の見直しを行うことが、外国人採用を成功させる突破口になることが分かりました。本日はありがとうございました。

多様性に富んだ採用が日本企業を救う時代は、すぐそこまで来ている

日本の人口は2008年をピークに年々減少しています。この流れは今後も変わることはないでしょう。大手企業であろうと、中小企業であろうと、これからの社会で生産性の向上や事業発展に向けて成長し続けるためには、外国人労働者の受け入れが必要になるケースは確実に増えます。そうなる前に、外国籍の方と働くという経験を積むことは、企業にとって大きな強みになるはずです。現状を受け入れ、視野を広げ、企業が目指す目的や目標を叶える方策として、外国人採用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。