中途採用の問題を他部署に押し付けていませんか?

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プロフィール
ブルーブルーエジャパン株式会社
人事部 副部長
吉永敏彦
大手中古書店販売のフランス子会社の代表として渡仏し、現地化を実現して帰国。本社人財部にて、集合研修の企画運営、中途採用、中間管理職の業務評定の制度改革と運用を通して人材育成、組織化開発を行う。
2019年5月に現在のブルーブルーエジャパンにて、理念の浸透と組織開発に関わる。

皆様こんにちは。ブルーブルーエジャパン株式会社人事副部長の吉永です。 私は前職時代、アルバイトから社員になり店長、マネージャーを経験し、現職では人事として勤務しています。この経験をもとに、人事として中途採用を強化するためには何が必要か、私なりに人事が考えるべき中途採用の課題を解説いたします。

早速ですが、みなさまの会社では、即戦力として中途採用しても、すぐに辞められてしまう状況にお困りではありませんでしょうか。人材の需要が増えているにも関わらず、いつまで経っても採用と退職の繰り返しでは、採用、教育コストが嵩むだけで、企業力が疲弊してしまうことも…。なぜ採用してもすぐに辞められてしまうのでしょうか?

早期退職の原因は離職理由から探る

新卒採用が難しくなるなか、中途採用にシフトするも長く働き続けてもらえない。そうした現状を打破するためには、離職される理由を探ることが重要です。ここでは2つの理由にフォーカスして見てみます。

イメージと現状の違い

採用してもすぐに辞められてしまう理由は、中途社員が事前に持っていた仕事への期待と現状にギャップがあるからだと考えられます。

例えば、店長職などマネージャー候補にあたる人材を中途採用しても長続きせず、昇格する前に辞めてしまう場合、現場の育成状況を紐解くことで問題が見えてくることがあります。

私の経験したケースでは、マネジメント経験のある中途社員が入社した場合、自社のオペレーションだけを覚えたら即戦力になるものと考えられていたため、育成は現場のアルバイトスタッフ任せになり、店長にステップアップするためのキャリアプランや、目標が与えられることなく時間が過ぎているという問題がありました。

中途社員にしてみれば、仕事の内容も明確にならず、自分の役割として何を求められているのかわからなくなる状況にフラストレーションがたまる一方であったことでしょう。

文化の押しつけ

中途採用社員に対して、新卒社員と同じように扱い、独自の文化を押し付けるなど、受け入れる側の問題も大きな退職要因となります。

マネジメント経験がある社員に対して、相手の経験などを否定し、「だから前の会社でもダメなんだ!」と口には出さないまでも態度や接し方が横柄なものになってしまったり、自社だけで使われている共通言語を説明もせずに進められる状況など、会話への参加はおろか、会話内容を理解することすら大変な状況では、帰属意識を高めることはできません。

多くの組織で、企業文化は、リーダーが作っていきます。そのため、上司は、入社したての社員の話に耳を傾け、これまでの経験を考慮したうえで、自社の仕事にチャレンジをさせて、失敗も経験させながら、自社の文化を吸収させる環境を提供する必要があります。

つまり、こうした上司の役割として重要な、職場の環境づくりを既存の社員に任せきりにしてしまうことで、文化の押し付けや中途採用社員と受け入れる側とができる原因となってしまっているのです。

もちろん採用された本人の努力も必要ですが、組織の受け入れる体制を見直すことも重要です。組織の年齢層、属性が近い場合は比較的馴染みやすい環境が作れるだろうと考えられます。

目標達成意欲の強い人は辞めない

では、辞めずに働いてくれている人はどんな人なのでしょうか。 私は「自分のスタンスを確立できている人」「プロ意識を持っている人」「悩まない人」が辞めにくい人材の特徴であると考えています。それぞれの特徴について見てみましょう。

1.自分のスタンスを確立できている人

自身の成功体験を振り返り、成功の要因を理解していることで、現状の立場を自ら考え実行に移すことができます。例えば上司に目標設定の時間をもらうなど自主的に動くことができます。目標設定がどんなに小さなものだったとしても立場を理解しているからこそ頑張ることができます。

2.プロ意識を持っている人

最初の1、2ヶ月は教わる時期と考え、周りの社員やアルバイトスタッフからも貪欲に文化やオペレーションを学ぼうとします。

例えば、前職のMDをそのまま自社の売り場で展開しても顧客層、購買頻度も違う中ではうまくいかないことも多くありますが、その失敗を糧として、ニーズの違いに気づき改善することができます。自分は社員になったのだから構えず、誰に対しても分からないことを素直に質問ができることで、継続した学びに繋がり、成果を出すための準備をしっかり行います。

3.悩まない人

感性的に悩まない人は、自分で解決できない問題は、協力者を得て問題解決に向けての行動に移すことができます。また、そういう特徴を持つ人は、ネガティブな事柄もポジテイブに置き換えて発言するなど、問題解決のためのアプローチを理解している人が多いと感じます。

自分のスタンスを確立できており、プロ意識があり、感性的な悩み方をしない(ポジティブに行動できる)人は、違う文化の中に入っても、今までの自分が持っていた常識では通用しないこと、あるいは経験が活かせることを冷静に判断することができます。だから、仕事が続くのだろうと考えられます。

採用時の課題解決するための事前準備として

採用のミスマッチを減らすことは早期離職を食い止める大きなポイントです。それは採用側にも採用される側にも言えることです。

入社後の仕事のイメージが持てているかを確認する

スキルや経験から採用したいと思う人材がいたとしても、その人が入社後にどのような働き方をしたいのか、入社後のイメージを把握することで、早期退職を防ぐことができます。

逆にいえば、入社後の仕事のイメージをどうすれば持ってもらえるかが、重要になります。

中途採用に期待していることを洗い出す

採用する側が何を中途採用に望んでいるかの洗い出しを行うことは重要です。

社内で、必要なスキルや組織内でのポジションなどのヒアリングを丁寧に行うこと、担当者へのヒアリングをしっかり行い、仕事の定義をすることです。

このように、人事部、配属先の部署の中途採用に対する考えのすり合わせを双方から実施することで、求める人材像を明確にしておくと採用活動も変わっていきます。

中途社員の入社後のギャップを探る(追跡調査)

採用時のスキルや経験も希望通り、応募者の働き方へのイメージも会社の方針とすりあわせることができたとしても、実際に働き出してからの実感が異なっていると早期離職につながってしまいます。

そこで実際に入社した人へのヒアリングを行う必要があります。面接での話と実際に働いてみての感想から問題点を探ってみました。

仮説とは違う現実を知る

現場の本音を聞くことが重要です。現場は日々、目の前の仕事に追われる可能性が高い職場です。現実的に人員にゆとりがなくても、慣れと工夫でなんとか仕事が回っているのが現状だと考えられます。そうしたなか、今は人がいるから大丈夫と考えていることが多いと言えます。その考えは、現状を維持していくことのほうが、変化を受け容れるよりも業務に影響が少ないという消極的な現状維持からくるものです。そして中途採用は、扱いにくく、できたら新卒をとって欲しいと現場は思っていました。

こうした現場の現状と本音を把握して、短期・中期の計画を示したうえで、現状維持が本当に可能なのか、現場とのすり合わせをすることで採用は変わってくると考えられます。

まとめ

人事部として考えていることと、実際現場で起きていることのギャップを探ることが必要です。他部署の責任で終わらせず、何が問題かを自分たちで考えていくことが改善の第一歩です。まずは、社内の中途採用に関する意識を把握することから始めてみましょう。