中小企業向け。他社と迷っている求職者に効く面接後のフォロー

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中小企業に勤めておられる方の中には、内定を出した応募者に辞退された経験を持つ方も多いのではないでしょうか。ネームバリューのある大企業や、勢いのあるベンチャー企業に応募者を取られてしまう――そんな経験です。内定者をつなぎとめるにはどんな打ち手が有効なのでしょうか?本稿では7つの施策を示しつつ、それを明らかにします。

中小企業ならではの強み

ますます逼迫する中途人材市場において、人事担当の悩みの種となりがちなのが、求職者からの内定辞退連絡です。かつては、新卒採用での風物詩だった内定後の入社辞退は、ここ数年、中途採用においても珍しい光景ではなくなってきているのです。

他社に競り負けてしまう原因は、一体どこにあるのでしょうか?条件や待遇?それとも会社の成長性・将来性?そうかもしれません。そういったケースもあるにはあるでしょう。でも、あなたが内定を出した求職者が、他社へと流れてしまうのは、もっと根本的な原因があるのです。

それは「内定者フォローアップにおいて、中小企業としての強みを十分に打ち出せていないから」なのです。

それでは、安定感や待遇で勝る大手企業や、将来性・成長性でどうしても勝ち目のないベンチャーを企業競合先に回して、あなたの会社が内定者に対して打ち出せる「強み」とは何なのでしょうか?内定フォローアップにおける中小企業ならでは強みは、大きく以下の2点を挙げることができると考えます。

  • 内定者へのきめ細やかな誠意ある対応
  • 中小企業ならではの人間同士のつながりや温かさ

この2点は大手企業やベンチャー企業が持ちえない、中小企業独特の「強み」といえます。大企業は、入社後すぐに新入社員研修や入社事務処理フローが自動で回っていき、内定者側から見ると、自部署の人間以外は誰が誰なのか、顔がよく見えません。また、ベンチャー企業は社内が常に混沌としており、業務フローも確立されていないことが多いです。そのため、業務に忙殺されて、しっかりしたコミュニケーションを取る余裕がなく、そもそも受入側の体制すらきちんとできていない会社もあります。内定直後から連絡が途絶え、「何をしていいのか」宙ぶらりんな気持ちに内定者が陥ってしまうようなケースも多々あるのです。実際、ベンチャー企業は離職率が高止まりして、社員の出入りが激しい会社も多いです。

だからこそ、顔の見えない大企業や、忙しすぎるベンチャー企業には提供できない「価値」として、この2点をあなたの会社の強みとして徹底的に打ち出すべきなのです。人と人とのつながりや誠意ある対応に価値を見出し、共鳴してくれた内定者を確実に入社させる戦略を立てることこそが、内定後の離脱を防ぐ一番の近道になるのです。

それでは次に、特に有効だと思われる内定後フォローアップの決め手となるアイデアをいくつか箇条書きで紹介していきます。

施策1:内定出しは「電話」で伝える

内定出しを行う時、面倒だからといって、メールや郵送、あるいは転職サイト上のフォーム上でやり取りを完結していませんか?それは、非常に大きな損失です。なぜなら、人間はコミュニケーションを取れば取るほど、一般的には親密になっていくものだからです。

ですから、内定出しを行う際は(もちろん面接中に即決できれば一番いいのですが)、まず電話で「おめでとうございます」とあなたの肉声でしっかり伝え、あなたから内定者への期待感や感謝の気持ちをきちんと伝えることが何よりも大切なのです。

施策2:内定通知書は、来社してもらい「手渡し」で出す

内定通知を電話で行ったあと、次に必ずセットで実行すべきなのが、内定通知書の授与と、詳細説明を行うために、内定者に「来社」してもらうアポイントを取ることです。メールや郵送よりも電話、電話よりも直接のフェイストゥフェイスのやり取りの方が内定者からの信頼を遥かに得やすいからです。

来社してもらったら、内定者に不明点がなくなるまで徹底的に「書面」を提示しながら採用条件を説明すると共に、内定通知書を「手渡し」で授与し、「内定」に重みをもたせる演出を行いましょう。これにより、会社としての「誠意」や「丁寧さ」がさらに内定者に実感として伝わります。

施策3:内定者に職場を見学してもらう

また、来社してもらったら、内定通知書を渡して条件面の説明を行ってそのまま内定者を帰宅させてはいけません。そこで、是非やっておきたいのが、仕事場を隅から隅まで見学してもらうことなのです。配属先候補となる部署を重点的に押さえつつ、仕事の様子を説明しながら、内定者を連れて社内を案内して回りましょう。これにより、内定者は「すでに身内として扱われている」という安心感を抱くとともに、これから働く職場の雰囲気がいち早く把握できるため、入社後に向けて自分自身が社内で働いている姿をイメージしてもらえる機会を作り出すことができるのです。お金もかからない、非常に効果的な方法です。ぜひお試しください。

施策4:先輩社員とのフォローアップ面談

比較的キャリアが浅く年齢も若い内定者には、職場見学を行う前後に、配属先として想定している部署の先輩社員をアサインし、人事以外のメンバーからのフォローアップ面談を行うのもプラスです。なぜなら、若い内定者は、自らのキャリアやスキルに強い自信が持てず、入社後の業務にスムーズに馴染めるかどうか不安を感じているケースも多々あるからです。そこで、入社前に直属の上司・先輩となりそうな社員からのフォローアップ面談を行うことで、内定者に安心感を醸成し、入社へのモチベーションを高めてもらえる効果があるのです。

施策5:時には簡単な食事もプラス

さらに、内定者に来社してもらった際に、軽い食事に連れ出すのも意外な効果があります。人間は、食事中や食事が終わった後が一番リラックスしやすいものです。落ち着いて話せるしっかりしたお店を選び、会社からの誠意を伝えましょう。ただし、いきなり本格的に飲みに行くのは、まだ若干勇み足です。なぜなら信頼関係が完全に出来上がっていない中で、あなたが万が一にもお酒の勢いで酔って失言などをしてしまう可能性もあるからです。したがって、内定通知段階では軽いランチや軽食を挟みながら、フォローアップを行うのがよいでしょう。

施策6:意外に決め手になる「手書きの手紙」でのダメ押し的フォロー

これは、人事担当が100人いたらそのうちの1名~2名程度しか実行していない、とっておきの方法なのですが、もし内定受諾を迷っている人材がいれば、迷わず「手書きの手紙」であなたの熱意をしっかり伝えましょう。これは、かなりの効き目があります。なぜなら、手書きの手紙は非常に「捨てづらい」からです。いつまでも内定者の手元に残る上、熱意が形として重みのある形で伝わるのです。

これに加えて、手紙を受け取った内定者の家族が、たまたまその手紙を目にするケースも多いのです。家庭内での話し合いで、内定者の親御さんが、意外な援軍としてあなたの会社の味方になってくれることもあります。なんでもデジタル化される現代だからこそ、こういったアナログ的なツールの重要性がどんどん増しているのですね。

施策7:条件説明や事務処理は丁寧かつ「書面で」誠実に行う

これまで見てきた通り、中小企業は、内定者に対してこうした機動的、かつきめ細かいフォローアップがやりやすい環境にあります。しかし、何でも行動に融通が効きやすい反面、逆に事務処理においては大手企業に比べて未成熟で、遵法した上で入社時の業務フローが確立していないことが弱みとなります。

ですから、まず内定者をフォローアップするにあたり、大手企業並みのしっかりとした書面での条件提示、内定通知~内定承諾フローをしっかり確立してください。フェイストゥフェイスでのフォローアップは、その土台として確実な「事務処理」があってはじめて生きてくるのです。ポイントは、「労働基準法」に沿った内定者フォローのフローが回っているかどうかチェックすることです。時間がかかっても、内定者に安心感を与えるため、最優先で取り組んでみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?本稿で取り上げた施策は、おそらくあなたも一度は実行してみた経験があり、非常にありふれたものに感じられたかもしれません。しかし、これら基本事項とも言える地道な内定者フォローアップを、実直に「毎回」「全て」実行している人事担当はほとんどいないでしょう。

もちろん、最初から全部できなくてもいいのです。できるフォローアップメニューから確実に手を付けていき、ルーティーン化していくことで、これら施策は最終的に日常業務の一部として回すことができます。もちろん、すべての内定者をあなたの会社に惹きつけることはできないかもしれませんが、内定の歩止まり率は、飛躍的に向上しているはずです。「誠意をもって、丁寧に対応する」。この心がけを忘れずに実行していくことで、確実に成果は出ます。ぜひ、地道に取り組んでみてください。