採用活動の効果をあげる採用ブランディングの始め方

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企業の採用情報をインターネットで調べることが一般的になり、WEBサイト内の採用ページや、SNSを使った採用活動をする企業が増えています。そのような状況のなかで注目されているのが採用ブランディングです。顧客に商品や企業の魅力を伝えるのと同じように、たくさんの企業が採用ページやSNSに趣向をこらし、雇用者としての魅力を求職者に伝えようとしています。採用ブランディングと、その手法として重視されているストーリーテリングについて、ご紹介しましょう。

採用ブランディングとは

採用ブランディングは、組織の価値観、文化、性格を求職者に伝えるための活動です。アメリカで求人用オンラインツールを提供するBetterteam社は、調査を通して、採用ブランディングがなぜ必要かを提示しています。海外の調査結果ですが、採用ブランディングの大切さを知るには役立つでしょう。

  1. 採用ブランディングがうまくいっている企業は、うまくいっていない企業に比べて2倍の求人応募を受けている。
  2. 投票調査の50%の求職者は、給与が上がったとしても、評判が悪い企業では働かないと答えた。
  3. 悪い評判がある企業は、給与を10%多く払わないと人材を採用できない。
  4. 68%の人事担当者が、以前より採用が難しくなってきていると感じている。
  5. 求職者の62%がソーシャルメディアで企業情報を調べている。
  6. 76%の候補者が、LinkedInで採用試験を受ける企業に勤める社員のプロフィールを見ている。

企業が求める人材に興味を持ってもらうには、組織の価値観、文化、性質を、求職者にインターネット上で伝えることが非常に重要となってきています。また、採用ブランディングをすすめることで、求職者がよりよく企業を理解し納得して就職できるため、就職後に離職しにくくなるという利点もあります。

採用ブランディングに効果を発揮するストーリーテリング

ストーリーテリングとは、伝えたいメッセージを、印象的な体験談やエピソードなどの物語を使って聞き手に強く印象付ける手法です。この手法は、ソーシャルメディアの普及とともにマーケティングの分野で重視されるようになりました。

例えば製品開発をするときの新しい資金調達方法として、クラウドファンディングがあります。不特定多数の人がインターネットを介して人や企業に資金を提供するクラウドファンディングでは、製品の情報だけではなく、その製品をなぜ開発したいのか、どのような人達が開発に係わっているのかといったストーリーが成功の決め手となります。ユーザーは、製品の魅力だけではなくストーリーに感銘を受けて出資を決めたり、情報をソーシャルメディアで共有したりするのです。採用ブランディングも同様です。心を動かすストーリーが、採用情報を拡散させ、優れた人材を引き寄せます。

WEBサイトの採用ページやSNSにストーリーテリングを取り入れる

企業のWEBサイトに、採用情報が載っているページはあるでしょうか。ない場合にはすぐに作りましょう。採用ページは、求職者が自分に合った仕事を探すため最初に訪れる場所です。単に募集要項を並べるだけでなく、訪問者を飽きさせず、企業文化や、そこで働く人達のストーリーが分かるページを目標にします。動画や写真をふんだんに使った採用ページが人気です。また、採用ページを見たときに、どのような人材を希望しているか端的にわかることも大切です。ただし、企業の希望を並べるだけでは高圧的に感じてしまいます。友達に就職を勧めるような気持ちで募集内容を書いてみましょう。候補者に希望することばかり並べるのではなく、企業が候補者のためにできることを盛り込むのがポイントです。

採用ページをコミュニケーションの場として活用する

採用ページを作っただけで満足してはいけません。採用ページを活発なコミュニケーションの場にしてこそ、優秀な候補者が集まります。就職イベントの告知、社員の様子がわかるブログ、役立つコンテンツなどで充実させましょう。ここでもストーリーを意識してください。雇用者としての魅力と希望する人材を意識した情報を出し続けることで、適切な候補者が集まりやすくなります。SNSを併用してもいいでしょう。

ストーリーテリングを採用活動に活かしている海外のユニークな事例

ストーリーテリングが上手に使われている海外の事例をいくつかあげてみましょう。まず、ハンドメイドや雑貨を扱うマーケットプレイスを提供するEtsyでは、育児休暇を取る社員に密着した動画を作成し、家族に優しい企業であることをアピールしています。次に、旅行予約サイトBooking.comでは、One Mission Project というタイトルで14000人の社員が一年間の旅の記録を録画し、それをまとめた動画を公開しました。動画からはエネルギッシュで旅行を心から楽しむ社員が揃っているという印象を受けます。そして、Microsoftの採用WEBサイトMicrosoft/Lifeでは、ブログとInstagramを使って楽しい職場が紹介されています。ツリーハウス上のミーティングスペースや、社内のネコ好きが集まったネットワーキンググループ「Cats of Microsoft(Mcats)」の様子は、ユーモアにあふれたクリエイティブな集団という感じです。どの企業の採用ページも、ストーリーテリングの手法が採用ブランディングにうまく活かされています。

社員の幸福度を高めることも採用ブランディング

社内にいる人達が働きたいと思う職場であることが、結果的に求職者を引きつけます。人材採用プラットフォームを提供するjibeという企業が、採用ブランディングの担当者を対象に実施したアンケート調査では、300件集まった回答のうち、ほぼ9割が、採用ブランディングと社員の幸福度には関連性があると答えていました。

例えば、仕事と生活のバランスが取れていることや、満足できるキャリアパスが用意されていることが社員の幸福度を高め、企業の評判を上げます。なかには友達に職場の話をしたり、インターネットの掲示板に職場の様子を書きこんだりする社員もいることでしょう。このようなところから、採用者としての評判が広がっていきます。

社員の幸福度を高めることを上手に採用ブランディングに活かしている企業といえば、スターバックスやマリオットホテルが有名です。米スターバックスは、ほかの企業よりも手厚い保険制度を整えたり、大学で勉強をしたい社員に学費を支給したりすることで採用者数を伸ばしました。また、マリオットホテルもグローバルな研修制度や職場環境の良さが認められ、数々の賞を受賞しています。そして、これらの功績はマスメディアにも取り上げられ企業の評判を上げてきました。社員の幸福度を追求することと、採用ブランディングが直結していることがよくわかります。

採用ブランディングは、企業のストーリーを発信するところから

ストーリーを伝えることに大きな予算は必要ありません。まずは始めてみましょう。雇用者としてどんなに優れた企業でも、それが求職者に伝わらなければ、よい候補者は集まりません。企業の採用ページやSNSでの発信内容を充実させること、そして社員の幸福度を高めることが、結果として採用活動の成功につながります。