「行動」を聞けば本質がわかる。面接で求職者の性格や人柄を見抜く質問術

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「化かし合い」とも言われる採用面接の現場において、求職者の本当の性格を見抜くにはどんな質問をすればよいのでしょうか?その答えを探るべく、採用コンサルティング事業を展開するアチーブメントHRソリューションズ株式会社の松坂孝紀さん(取締役 組織変革コンサルティング部長)に話を聞きました。

その人の「行動」を聞く質問を

求職者の本当の性格を見抜くための質問としては、どんなものがあるのでしょうか?

本当の性格を理解するためにもっとも単純な質問は、「あなたは普段、自分の性格を一言で表すとしたらどう言いますか?」という質問です。これは主観的思考を問う質問です。でも、求職者はみんなそういう質問に対する答えをきちんと用意しているものです。ここに変化球を加えると客観的思考を問うものになります。つまり、「あなたはあなたのことをどう捉えていますか」ではなく、「あなたは周りの人からどんな人だと言われますか?」といった具合です。

でも最近の求職者の方々は、このくらいまでは対応できますよね?

仰る通りです。要は考えたことがある質問なわけです。既に用意している質問なわけです。そうすると、本当の性格が見えにくくなります。

そこで、我々が提案するのは、思考ではなく、事実としてとっている行動を聞く質問です。「あなたがどんな行動をしているか」を聞くということです。例えば「休日どんなことをしていますか?」「ちょっと時間が空いた時についやってしまうことって何ですか?」とか。

人付き合いが好きとか、ワイワイやるのが好きな人だったら、SNSを見たりだとか、その人自身の行動に性格が表れるものなのです。例えば「好奇心旺盛で、いろいろなことを知るのが好きなので、休みの日はよく勉強をしています」というのと、「ただ家でダラダラしています」というのでは全然違いますよね。

最近は、「今の職場で1ヶ月間、好きなことをしていいと言われたら、何をやりますか?」と聞くこともあります。要は時間が空いたときに、自分自身がどんな行動を取るのかということです。責任感が強い人なら、遊んだりはせずに、自分の職務に基づいた1ヶ月間を過ごすでしょう。もっと期待に応えるために、集中的に業務改善を行いたいということもあるかもしれません。「どんな行動をしたいのか」を聞いていくと、本当の性格が見えやすくなりますね。

行動を聞くということは、それに対する分析が必要になりますよね。

もちろんです。例えば休日に何をするかで「カフェにいます」と答えられたら、どんな性格なのかをさらに突っ込んで聞いて、分析することが必要です。「カフェで何をするんですか?」と聞いて「友達と話しています」と答えたなら、「どんな友達と?」と訪ね、「こんな人です」と。さらに「どんな話をするのですか?」と突っ込むこともあります。カフェで本を読む人もいますし、仕事をする人もいます。なので、性格を見るという意味では具体的に掘り下げる質問をすることが大事ですね。

今回は「求職者の本当の性格を見抜く」というテーマですが、人は見抜かれたくないのです。だから防御として、いろいろな対策をするのです。塗り固めた自分をつくるのですよね。そういう意味では、相手が考えたことがないような質問をするのは大事ですね。

あとは、こちら側がどれだけオープンに話をしていくかということも大事ですね。こちらが防御をして壁を作ると、相手側もそういう思考を持ってしまいがちです。実際の話をオープンに伝えるようにするのです。そうすると、求職者側も「実際、私もこういう状況でして……」と本音の話ができるかもしれません。

面接官の3つの役割

面接における面接官の役割とはどんなものでしょうか?

基本的には3つあると思っています。1つ目は「見極め」です。その人が自社に適した人材なのかどうかを見極めていかないといけません。2つ目は「理解の促進」です。自社がどういう会社なのかをきちんと求職者に理解していただく必要があります。3つ目は「動機付け」です。今回応募する仕事が魅力的なもので、「その仕事をやってみたい」「チャレンジするんだ」というふうに動機を作っていかないと、実際に転職に向けた一歩を踏み出すのはなかなか難しいものです。

そういう意味では、正しい理解をしてもらったうえで、動機付けをしていくことが重要です。良い面だけでなく、「こういう大変なこともある」「こういう厳しい側面もある」ということを理解してもらうことが大事ですね。そのうえで入社したいかどうかを聞くこと。それでも入りたい人はいますし、厳しいと感じる求職者の方も出てきます。

そこで迷ってしまう人がいるのであれば、プラスアルファでこちらから動機付けをしていくことが大事です。そういうことをやっていくと、お互いにとってミスマッチがなくなっていきます。

面接官に向いている人の条件

面接官に向いている人と、向いていない人はいますか?

採用活動というのは、営業活動と一緒だとよくお伝えしています。どういうことかと言うと、求職者の方に対して、「私たちの会社で働くこと」を売っていくのです。そう考えると、面接というのは、売るべき人にきちんと会社を売っていくものなのです。

なので、営業ができる方は基本的には向いています。要は売れる方はすごくシンプルで、このお客さんが商品を購入する可能性があるのか、というのを嗅ぎ分けますよね。そのうえで、そのお客さんに対してどういう営業をかけていくのかという戦略を立てながら、一つひとつやっていきます。だから、人を見る目があり、嗅覚のようなものが優れている方は面接に向いていると言えます。

良い面接官は4つの自信を持っている

面接を通して求職者に自社を売っていく活動も重要になるのですね。

はい。そこで、売れる人と売れない人の違いを理解する上で重要な観点が「自信」というキーワードです。4つの自信があると、自社に対して、しっかりと動機付けができる面接官だと言えます。逆にそれがない人は向いていないということです。4つの自信というのは、次の通りです。

1つ目は「会社に対する自信」。自分たちの会社がどれだけ素晴らしいと思っているか、ということです。社風や社員、仕組みなども含め、自社に自信を持てることが重要です。

2つ目は「商品に対する自信」。会社の環境や仲間が素晴らしかったとしても、ビジネスとして商品そのものが素晴らしくなければ売上や利益に結びついていきませんよね。私たちが提供している商品やサービスが本当に世の中のためになっていて、素晴らしいものなんだ、ということを広げていく自信があることです。

3つ目は「職業に対する自信」。求職者の方にどういうポジションや仕事を与えるかによりますが、その仕事内容が素晴らしいと心から思えるかどうかです。「きつい仕事で、面倒な仕事で、嫌な仕事だと思うけど、うちに入っておいでよ」と言われても厳しいじゃないですか。いかにその仕事が素晴らしいのか、ということを伝えないといけません。

4つ目は「自分に対する自信」。当然いろんな会社、商品、仕事があると思うのですが、最終的に求職者の方が自己投影をするのは面接官です。面接官を通してその会社で働いていくイメージが湧いたときに、入社したいと思います。なので、面接官自身が自信に溢れていて、魅力的だなと思うかどうかは求職者にとって重要です。

自信がない方が、会社や商品が素晴らしいと言っても、求職者から見れば「あなたは楽しそうに見えないけど大丈夫?」と思いますよね。

この4つに当てはまらない人は、面接官に向いていない人ですか?

どれか一つでも自信がないっていう方は、基本的には向いていません。

その自信の高い方々は、何次面接に出てくるのですか?

すべての段階に、自信が高い方々に同席してもらうことを推奨しています。例えばエンジニアの方。人事でエンジニア出身の人はなかなかいないのですよね。エンジニアの方を採用したい人にとって、自社で働くエンジニアがどれだけ素晴らしい人なのかということを自信を持って語れる現場の社員に出てきてもらったほうが当然いいですよね。

ミスマッチを減らすために

今回は求職者の本当の性格を見抜くための質問、というテーマで話を伺いました。性格を見抜くためにはその人の「行動」を聞くことが有効で、その行動を深掘りするように質問を展開することが重要だということです。みなさんも本稿が示した手法を参考にし、ミスマッチのない雇用を目指してはいかがでしょうか。