採用ノウハウ

『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング』の著者に聞く人集めの考え方

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中小企業の多くは、有名でない自社にどう人を呼び込むかに頭を抱えています。そして母集団をいかにしてたくさん集めるかに腐心している会社もたくさんあります。ところが「採用ブランディング」の手法を導入すると、母集団の数は関係なくなり、理念に共感した人を集めようという方向に考えが切り替わると言います。本稿では『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング』(幻冬舎刊)の著者である深澤了さん(むすび株式会社代表)にインタビューを行い、採用におけるブランディングについて話を聞きました。

採用市場におけるファン作り

最初に、普段の深澤さんの業務内容についてお聞かせください。

深澤:大きく2つあります。1つは、企業や商品、採用領域のブランディングを支援することです。もう1つは、デザイン制作業務を行うこと。ブランディングから表現までを一気通貫して行っています。また、そこから派生して、Webマガジン「ブランドシンキング」の運営や、ブランディングの考え方を地域活性に応用した「まちいく」という活動も展開しています。

今回、深澤さんは『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング』という書籍を上梓されました。採用市場にどういう問題があって、どういう思いから出版されようと思ったのでしょうか?

深澤:中小企業はどこも採用に困っています。人材募集を行う会社は、大体業績が上がっており、さらなる成長が期待できる企業です。しかし、知名度がないというだけで人材の確保に苦戦しています。そこで、従来の商品やサービスのブランディングの考え方を応用し、「採用し続けられるしくみづくり」そのものが「採用ブランディング」というアプローチです。採用ブランディングを実施することで、より効果的な採用活動が行えるだけでなく、定着率の向上も期待できるようになります。

採用ブランディングは具体的にどんな工程で行われるのですか?

深澤:まず企業の中で決裁者や現場の人も含めて、採用に関わる5~10人のチームを作ってもらいます。僕らはチームの人たちに取材を行い、その会社の概要を掴みます。その後、ワークショップ形式で、自社の強みを整理し、採用基準を作成。いちばん欲しい人材をペルソナ化、すなわちターゲットを絞り、コンセプトを作ります。そしてそのコンセプトに沿った採用フローまで構築していきます。

どんな点に難しさがあるのですか?

深澤:ワークショップを見ていると、ターゲットを絞ることに抵抗を感じられているケースが多いようです。みなさん「ターゲットを絞ると、応募者が減少する」と懸念されるようです。しかし、実際はターゲットを絞ってもエントリー数が減ることは少なく、むしろ、スクリーニング業務など面接選考以外の業務負荷が減る効果があります。

実際にペルソナ設計をしてみるとわかるのですが、同じ採用チーム内でも、誰一人として同じペルソナにはなりません。このような状態では、内定者の質を一定に保つことがどれ程難しいことかわかることでしょう。

採用ブランディングを通じて企業がすべきこと

採用ブランディングにおいて企業がすべきことを教えてください。

深澤:新卒採用のケースにはなりますが、入社理由として「人事担当者の評価」のみが高い内定者は、辞退率が高くなる傾向があります。つまり、内定辞退に悩む企業ほど、応募者との関係性構築を人事担当任せにせず、「先輩社員や役員への評価」「企業理念やビジョンへの共感」など、人事担当以外の評価を上げる努力をする必要があるのです。

どのようなことが「人事担当以外の評価の向上」に役立つのでしょうか?

深澤:たとえば、採用選考前に会社説明会などを実施し、現場社員に自社の強みに沿った自身の体験談などを話してもらうことが有効です。自社の強みを社員が認識し、採用方針と一貫性のあるメッセージを発信することで、求職者の応募動機や入社意欲が向上することでしょう。これをブランド論的に解説すると、自社への「ブランド連想」を「強く、好ましく、ユニークにする」ことと定義できます。

ブランド連想とは、簡単に言えば「その企業のイメージは?」と聞かれたときに、回答者がどのようなことを想像し、どこに独自性があると認識されているか、ということになります。

先ほどの新卒採用の例に則して考えると、なるべく多くの人が、自社イメージとして「人事担当」以外に「先輩社員」「社長のリーダーシップ」「ビジョンへの共感」「ビジネスモデルの市場優位性」など複数の項目が連想でき、かつ、他社とのポジショニングの差が認識されている状態をつくりだせるか、ということになります。

中小企業に共通する悩み

中小企業の方は、中途採用においてどのようなことに悩んでいるのですか?

深澤:応募が来ないか、内定を出しても逃げられるかのどちらかですね。知名度が低いから大手に取られてしまうケースも多いのです。

知名度の低さで悩んでいる企業でも採用ブランディングの仕組みを持ち込むと、欲しい人材を獲得できる可能性が高くなるのですね。

深澤:みなさん、母集団(応募者)をたくさん集めようとするのですが、それだけに注力するとドツボにハマります。結局、今までの採用の構造は母集団をどれだけ集めるかにかかっているのですが、そもそも知名度が低い会社が母集団をたくさん集めるのは相当難しいことです。また、どんなに母集団の数が多くても、その中に、会社の方向性や理念に共感している人がいなかったら意味がありません。採用後のミスマッチを防ぐためにも、大切なのは「本当に欲しい人材」を集めること。仮に10人を採用するのだったら10人の母集団というのがいちばん効率が良いという考え方なのです。例えば、採用ブランディングを行うと、稀に母集団が減ってしまうことがあります。しかし価値観に合う人を集められている分、採用人数は上がるという例もあります。

採用活動の優先順位を上げる

採用ブランディングの手法を実践するとメリットはたくさんあると思うのですが、逆にデメリットというか、注意しなければいけないようなことは何かありますか?

深澤:注意するところは、経営者も含めて現場レベルに至るまで、採用に関する優先順位を上げていくということですね。つまりやる気のない雰囲気の中で、知名度の低い会社が採用をしようと思ったときに、人事担当者だけではやはり限界があるのです。数は満たせたとしても、結局すぐに辞めてしまうといったことが多いと思います。そうではなく、経営者も含めて現場レベルまでが「採用は優先順位が高いぞ」というコンセンサスをどれだけ取れるか。それには経営者が音頭を取るのがいちばん早いのですが、人事担当者も人事だけにとらわれず、全社的に巻き込んでいくことが重要かなと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

深澤:採用はナビ媒体の登場以来、長らくイノベーションが起きていない分野です。それゆえ、採用の方法も凝り固まってしまい、採用できないのに、従来の方法から抜け出せないジレンマを抱えている企業が多くいらっしゃいます。しかし、採用ブランディングの考え方で採用を行うと、知名度の有無に関わらず、どんな企業でも必ず短期間に結果を得ることができます。そのかわり「正しく」、「着実に」行うことが必須条件です。どうか多くの企業のみなさんが、自社にマッチする人材に巡り会えることをお祈りしています。

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