応募者の不安を取り除く!面接官が採用面接時に準備すべき説明資料
目次
アウトソーシングテクノロジーの若林です。今回は、中途採用を実施する際に“面接官が絶対準備しておくべき説明資料”について考えていきたいと思います。
みなさんは、採用面接時にどのような資料を準備されていますか? 多くの企業では、会社概要パンフレットもしくは採用パンフレットではないでしょうか。
採用面接時に配布する資料は、応募者が入社を決めてくれる最後の一押しになることも多く、採用成功の強い味方になってくれますので、ぜひ準備しておきたいものです。
具体的に、どんなものを用意すれば効果的に採用活動を進められるかご紹介していきます。
まずは会社概要パンフレットの見直しから
会社概要・事業内容の紹介は、会社パンフレットを使用している企業が多いと思います。
しかし中には数年前に作ったままのパンフレットで、変更点は口頭で説明している方も多いと思われます。これでは応募者に自社の魅力が伝わらないも同然です。
会社のパンフレットとは会社の名刺代わりといっても過言ではないため、自社の魅力が相手に伝わるよう代表者や社員、自社製品の紹介方法に工夫を凝らした資料を作成してください。
そうすることで、求職者にその企業で働くイメージを持たせることができます。
応募者の不安を取り除く業務内容説明資料
会社概要の説明後に、応募者が知りたいことの1つに“自分はどんな仕事をするのか”というものがあります。そこで業務内容の説明に効果的な3つのポイントを抑えた資料を準備すると良いでしょう。
業務内容の説明に効果的なポイントは以下となります。
- 仕事が始まってから終わりまで一連の流れ
- 一日の動き(スケジュールの組み方、時間自由度の説明)
- 個人目標の与えられ方、達成のコツ
働く上でどのようなことが待っているのか、やりがいは感じられそうか。どのように目標設定がなされてどれくらいのハードルに挑戦すればいいのか。その目標を達成するうえで何に注意し、自身のどんな課題を克服すればいいのかを理解してもらいます。
それを理解した上で、働きたいと思えるか思えないかヒアリングすることで求職者の価値観に触れることが可能です。
また、将来的に待ち受ける課題は別として、最初に経験する業務でどのような課題が待ち受けているか面接の場で説明を行います。そうすることで、取り組む業務のハードルが超えられそうか求職者本人が事前に理解することができるのと同時に、将来一緒に働く先輩上司として「自分の成長に向き合ってくれている」という安心感を与えることができます。
本来は資料があればベストではありますが、職種・部署が多い場合には個別対応で説明を行っています。①②は口頭で説明し、③については今追いかけている目標予実進捗シートを一緒に見ながら話をしていきます。つまずきやすいところや、どのあたりに難しさがあるかなども含めて正直に伝え、その代わり得られる喜びも伝えることで働くイメージを固めていくとよいでしょう。
その仕事をやったその先は?キャリアアップの道しるべ
仕事の目標を達成し続けたその先に、自身のキャリアにはどんな可能性が待っているかも明確にしておきましょう。
「長期的に働けるかどうか」を応募者が考える際に、ここは非常に重要な要素となります。「長く働きたいです」と望まれる方の多くは、「安定している会社だと長く働けます」とおっしゃるのですが、私はそれだけでは不十分だと考えています。
求職者の中には、ずっと同じ仕事をしたいと感じる人と、自己成長を追求して高めていきたいと感じる人の2パターン存在しているため、会社の一員となるにあたり、その人の10年後20年後の未来がどうなっているか、どんな経験が得られるか、といった可能性を示します。
キャリアの選択肢が複数用意されていることは、向上心のある応募者にとっても非常に魅力的に写ります。キャリアの可能性が示してある“道しるべ”のような資料が一枚あると、非常にイメージもしやすく便利です。
会社の社会貢献性・目指す先は?中長期計画を語る
会社の概要、仕事内容の説明、10年後20年後のキャリアの説明をした後に話しておきたいことがあります。会社の業界内での立ち位置や営業戦略・社会貢献性についてです。
自分が働くうえでのキャリアはイメージ出来ても、会社の経営戦略に強さが感じられなければ心の中に不安が残ってしまいます。同業他社と比べた時の自社の強み弱みを改めて理解してもらうことで、入社した際に会社からどんな働きぶりが求められるかを深く理解してもらうことができます。そしてビジネスの観点を持ちながら社会貢献性を語ることで、経営の強さに安心してもらうことが可能となります。
この場合は数値で表されている資料が非常に効果的なため、資本金・在籍人数・構成比・売上推移・顧客数・顧客属性・今後の営業戦略・中長期戦略・将来会社が叶えたいことなどを数字に落とし込んで資料にしていくとよいでしょう。企業成長の期待値を作り、この船に乗ることの安心とワクワクを同時に作りだします。
福利厚生は当たり前の顔をして説明する
魅力的な会社、信頼できる経営陣、やりがいの持てる仕事内容を聞いたうえで、最後に福利厚生の充実具合は気になるものです。
もし十分に充実できていなかったとしても、何があるかを絞り出して一覧にまとめて持っていた方が良いと考えます。もし自社の制度が十分でない場合は、健康保険組合の福利厚生なども全て駆使して資料に落とし込み、残業時間の算出方法、通勤交通費、定年制、育休産休取得率、有給取得率なども含め、自信の持てる福利厚生制度も涼しい顔をして紹介します。今あるもので良いので、魅力的な見せ方にして紹介していきましょう。
研修制度、人事制度やモチベーションフォローも忘れない
福利厚生の他に、あったらいいなと思うのが研修制度や人事制度に関する資料です。研修制度の仕組みがなくOJTのみの企業も多いかもしれませんが、OJTの中身を細かく伝えてあげることは可能です。
OJTのみの場合は、
- 質問をしやすい環境かどうか
- 仕事の難易度は出来る範囲のものを任せられるか
- どれくらいのスパンで手離れすれば良いか
など、上司、先輩から期待される温度感が理解できれば、応募者の不安は解消されやすく、承諾率は高まります。資料は用意出来ないかもしれませんが、実態に合わせて暖かい気持ちで包み込んであげることを伝えればOKです。
人事制度は、あまり資料に落とし込んで詳細を伝える必要はないと考えています。社内の規定になりますし、社外秘の情報も多いからです。場合によってメンタルケアをするための制度であったり、社員が働きやすくなる環境づくりの制度面については、資料を添付したり用意して見せながら話すことはあります。社員の働く環境面で取り組んでいることについては、積極的に資料に落とし込むと良いと思います。
さいごに
以上、ご参考にして頂けるものはありましたでしょうか? 口頭で説明するのも良いですが、場合によっては視覚的に内容を把握したほうが、真実味が増し安心感を持ちやすくなります。どれも一朝一夕で作成できるものではありませんが、採用成功のためにも腰を据えて資料を作成することをおすすめいたします。ぜひお試しください。
「若林聖子」さん連載記事
- 第01回 人事担当者必見!採用を成功させるためのKPIの立て方
- 第02回 毎月安定して採用したい!通年採用を行っている企業向けの年間計画の立て方
- 第03回 求人広告で高い効果を出すための黄金ルール6つ
- 第04回 採用拠点のないところに住んでいる応募者の採用をおすすめする理由
- 第05回 採用担当の個性を活かす!強みと弱みを意識したマネージメントで採用数を上げるポイント
- 第06回 内定クロージングのプロセスで大切にしたい5つの鉄則
- 第07回 離職率を下げるために絶対確認すべき10項目
- 第08回 応募者の不安を取り除く!面接官が採用面接時に準備すべき説明資料
- 第09回 転職条件緩和の交渉方法 -入社後も自社で長く活躍する社員になってもらうために-
- 第10回 採用担当が理解しておきたい -数字で読み解く自分の会社-