採用ノウハウ

【障がいのある方の採用・育成方法】NANAIRO代表が教える「障がいを受け入れる企業文化」のつくり方

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あなたの企業は、“障がいのある方”にとって働きやすい環境になっていますか?

この質問に「Yes」と答えられる方はきっと少ないのではないでしょうか。日本では法定雇用率制度に基づき、民間企業では、全従業員数の2.0%以上障がいのある方を雇用する義務があります(※1)。しかし、その割合を満たしている企業は日本全体で約半数ほどしかありません(※2)。

その状況を改善しようとしている企業が、株式会社NANAIRO。企業における障がい者雇用推進を、人材開発と組織開発(雇用やリテンション、人材育成、制度・業務設計、組織風土醸成など)の視点からトータルアプローチで支援しています。

今回はNANAIROの代表取締役社長である白砂祐幸さんに、障がい者雇用する上で知っておきたい採用や育成のノウハウについて聞きました。

※1…現行の数値。平成30年4月より精神障害者の雇用が義務化され、障害者雇用率の算定基礎に精神障害者が加わること等の事情を踏まえ、「障害者雇用の促進等に関する法律施行令(昭和35年政令第292号)」等が改正された。これにより、平成30年4月1日から民間企業の法定雇用率は、2.3%へ上昇する。ただし、経過措置として、当分の間は、民間事業者における障害者雇用率は2.2%として定められる。

※2…参考 平成28年12月13日発表 厚生労働省「平成28年障害者雇用状況の集計結果」

採用成功の第一歩は、障がいのある方を“知ること”

本日はよろしくお願いします。まずは、障がいのある方を採用する上で知っておくべきことをお教えてください。

白砂:私がさまざまな企業の人事担当者と話していて思うのは、「どのような方を採用したいか?」のペルソナが明確になっていないことです。

たとえば、新卒採用や中途採用の場合は「この業務をこういうふうにやってくれる方」といったように具体的な条件が出てきます。ですが、障がい者採用となるとアバウトに「いい人がいれば採りたい」という返事になってしまいがちです。

たしかに「具体的にどのような障がいのある方を雇用したいか」を考えている企業はかなり少ないような気がします。

白砂:そうなんです。その状態では、障がい者採用はなかなか上手くいきません。必要な人物像を明確にすることから、まずはスタートするといいと思います。

どのような方法で、人物像を明確にするといいと思いますか?

白砂:私たちがコンサルティングする場合には、「障がいのある方に本当にやってほしい仕事は何ですか?」と人事担当者にヒアリングしています。同様のことを、人事担当者自身でやってみるといいでしょう。

そうすれば、「営業を強化したいので営業ができる人がいい」とか「○○の管理を強化したいので△△の資格保持者がいい」と、正直な採用要件が出てきます。その要件に当てはまる障がいのある方を探していけばいいのです。

多くの企業はそのプロセスを実施せず「その人はどういった種類の障がいがあるのか?」だけを考え選考してしまうため、採用のミスマッチが起こってしまうのです。

他に、採用を成功させるコツはありますか?

白砂:「人事担当者が、障がいのある方と話す機会を増やす」ことですね。多くの人事担当者は、障がいのある方と会話したことのある経験がそもそも非常に少ないんですよ。

確かに、耳の痛い話です。

白砂:その状態を解消するため、私たちがコンサルティングする際には人事担当者に「働く意欲のある障がいのある方とフラットに話せる機会を設けること」を推奨しています。

多くの方は、障がいのある方に対してネガティブな先入観を持ちすぎていると思います。実際に話をしてみると、障がいのある方々はとてもポテンシャルが高く、できる仕事は数多くあることに気づくはずです。

育成の基本は、長所を伸ばすこと

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▲障がい者雇用計画の立案支援や障がい者雇用行動計画立案プログラム、特例子会社の摂理支援、障がい者雇用組織活性度診断(NANAIRO診断)など、NANAIROが提供するサービスは多岐にわたる。「障がい者雇用推進」という領域において、日本トップレベルのノウハウを持った企業だ。画像はNANAIRO公式Webサイト(http://sevencolors.co.jp/origin)より。

障がいのある方を育成する際には、どのようなことに気をつければいいでしょうか?

白砂:その人が持っている“長所”を徹底的に伸ばすことが重要だと思います。

それがわかるような事例はありますか?

白砂:現場で障がいのある方の能力が開花したな、と感じた一例をお話ししますと、障がいのある社員で「聴覚過敏(周囲の音に過敏な反応をしてしまう状態)」の方がいました。

働くことに支障が出ないように音を遮断するヘッドホンを着用すること専門家から促されたのですが、「ひょっとすると、ヘッドホンで役立つ情報を流せば覚えてくれるかもしれない」と考え、英語講座の音声を聴いてもらいました。

そうすると、講座の内容を暗記してほぼ完ぺきに喋れるようになりました。しかも、耳がものすごくいいので発音もバツグンです。「これは素晴らしい!」と思い中国語と韓国語も覚えてもらったら、そちらもペラペラになっていきました。

それはすごい。それほどの言語スキルを持てるようになるのですね。

白砂:最終的に、彼は海外の電話交換手を務めるようになりました。私たちは、「聴覚過敏がある」と聞くと、どうしてもネガティブなイメージばかり持ってしまいます。でもそれは、裏を返すと「ものすごく耳がいい」という長所でもあるわけです。

障がいが強みになるケースがあるわけですね。

白砂:他にもこうしたケースはたくさんあります。たとえば私たちは、8時間ずっと同じ作業を続けたら飽きますし、作業の精度も落ちてしまうでしょう。

でも、知的障がいの方の中にはくり返しの作業が好きという特性を持っている方がいらっしゃり、そういう方は8時間ずっと作業しても精度がほとんど落ちない場合もあります。

それから、細かい数字のチェックが好きという特性を持った方もいらっしゃるので、そういう方に経理や監査の業務をお願いすると、非常に高い精度で誤りを見つけてくれます。

要するに、本人が持っている特徴を「どうすれば長所に変えられるか?」を考えて適切な役割を与える。それが育成の秘訣と考えています。

大切なのは、社員みんなを巻きこむこと

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最後に、障がいのある方を受け入れる文化のある企業をつくるコツを教えてください。

白砂:まずは、人事担当者がさまざまな指標で“誰かにサポートしてもらいたい業務”の洗い出しをしてほしいです。それも、他の部署の方々にも協力してもらいながら。人事担当者1人だけの力で社内の業務を洗い出すのは非効率的ですし、把握できる情報量にも限界がありますから。

そうすることで、「本来この仕事はこの部署の仕事ではないのに、社員にとってすごく負担になっている」とか「外注に出すほどではないけれど、手伝ってもらえると社員が助かるタスクがある」といったように、障がいのある方にお願いできる仕事はたくさんあることに気づくはずです。

社員を“巻きこむこと”が大事だということですね。

白砂:そういうことです。少し話が変わりますが、日本の人口のうち、約787万人(約6%)は障がいのある方です(※3)。日本の人口が約1億2000万人で1世帯あたりおよそ3~4人家族だと考えると、実は日本国民のうち数千万人は「自分の身近に障がいのある方がいる」という計算になります。

そう考えれば、社内で4~5人と話せば1人くらいは共感してくれる可能性が高いはずです。そうやって徐々に社員の共感を得ながら、少しずつ「障がいのある方を受け入れる企業文化」をつくっていけばいいのではないでしょうか。

※3…参考 厚生労働省「平成27年版 障害者白書」

新卒・中途社員の雇用も障がい者雇用も、本質は同じ

私たちは、障がいのある方には“できないこと”がたくさんあると思いこんでいます。ですが、インタビューを通じて白砂さんが強調していたのは、障がいのある方“だからこそ”できること、「企業内で力を発揮できること」がたくさんあるということでした。

新卒・中途社員の雇用も、障がいのある方を雇用するのも、その本質は同じ。その人の強みを見抜いて採用し、適切な場所に配置し、育てるということです。

「障がいのある方を採用・育成するのは難しい」という思い込みを捨て「どうすれば、自社で彼らのスキルを活かせるか」を、まずは考えてみませんか?

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