尖った企業理念を持つ会社|文化浸透の秘訣は、ランチにあり!? FiNCが一枚岩の組織になれた理由

目次

finc1_w670

あなたの会社にビジョンやミッション、企業理念はありますか?

「ある」と答えた方が大半でしょう。ではその企業理念、全ての社員に十分浸透していると自信を持って言えますか? これには、「うーん」と言葉に詰まった方も多いかもしれません。

企業理念とは、会社が大事にする価値観や考え方のこと。それが社員1人ひとりの心に刻まれていなければ、一枚岩の組織になるのは難しいものです。では、企業理念の浸透に成功している会社とそうでない会社は、何が違うのでしょうか?

その疑問を解決するためにインタビューしたのは、健康経営・ウェルネス経営の理念の下、パーソナルデータを駆使したヘルスケアアプリを提供しているベンチャー企業・株式会社FiNCの人事戦略本部 採用責任者 青木一茂さん。

同社が持つ企業理念は「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」。そして、同社が大事にする価値観として4つの「Value」があり、それを土台にした行動指針として10の「FiNC SPIRIT」があります。これらのすべてが、約240名の従業員(社員・インターン含む)の心に深く刻まれているそうです。

組織が急成長し、社員数も急激に増えている中、FiNCはいったいどのようにして企業理念やValue、FiNC SPIRITをメンバーに浸透させているのでしょうか?

採用にも人事評価にも活用される、ValueとFiNC SPIRIT

finc2_w670

まず、FiNCが持つValueやFiNC SPIRITの内容を教えていただけますか?

青木:もちろんです。具体的には、以下のような内容になっています。

<Value:FiNCが大切にしている価値観>

  • Be Visionary
  • with Compassion
  • and Mindfulness
  • for Customers’ Smile

<FiNC SPIRIT:Valueを土台とした、FiNCの行動指針>

  • F:FiNC Family『FiNCの家族・仲間』
  • I:Integrity『誠実』
  • N:Non-Defeatist『成功を信じる』
  • C:Communication『コミュニケーション』
  • S:Speedy『迅速』
  • P:Profesional『プロフェッショナル』
  • I:Intensive『一生懸命』
  • R:Rational『合理的』
  • I:Improvement『成長』
  • T:Team-work『チームワーク』

これらは、当社の代表である溝口(※)がコンサルタント時代に考案したものをベースにし、FiNC立ち上げ時の創業メンバーや顧問によって制定されたものです。

※溝口勇児…株式会社FiNC 代表取締役社長。高校在学中からトレーナーとして活動し、数百名のトップアスリートや著名人の体づくりに携わる。業績不振企業のコンサルタントも行い、再建を任された企業すべてを過去最高業績に導く。2012年4月、FiNCを創業。

ValueやFiNC SPIRITは、採用・人事評価でどのように活用されていますか?

青木:ValueやFiNC SPIRITは、FiNCで働くために必須なものです。そのため、採用面接においては求職者がその要素を持っているか、あるいは受け入れられるかを確認しています。

たとえばValueのひとつ、“with Compassion”を見るなら、「協働して仕事に取り組んだ経験」などをヒアリングします。

また人事評価においては、自分、上司、そして同僚から評価してもらう「360度評価」の判断基準として、FiNC SPIRITを使っています。

半期ごとに、この行動指針に沿ってどれほど目標を達成できたか、カスタマー・クライアント・事業に貢献できたかを振り返り、足りない点を見つけて次に活かすんです。

と、お話ししているこのFiNC SPIRIT、実は2017年7月に一部改定したばかりなんです(笑)。

えっ!? 行動指針を変える会社は珍しいですね!

青木:驚かれるかもしれませんね(笑)。なぜかというと、代表の溝口はFiNC SPIRITを「つくって終わり」ではなく、「企業の成長に合わせて更新し続けていくもの」だと考えているからです。

FiNCは創業して約5年が経ちましたが、その間にも何度か変更がありました。もちろん、企業理念の根本的な思想は変わっていませんが、細かな文言などは企業フェーズに合わせて変わっていくのが自然だという認識なんです。

先輩社員から新入社員へ、ランチを通じてFiNC SPIRITを熱く伝える

finc3_w670

▲FiNCは、会議室の名称がFiNC SPIRITの各フレーズになっている。

FiNC SPIRITを社員に浸透させるために、どのような取り組みをしていますか?

青木:新入社員を対象にした「バリューランチ」という制度を導入しています。これは、新しく入社したメンバーに、会社が指定する先輩社員と各回2名の計5回ランチに行ってもらい、それぞれ2個ずつ、合計10個のFiNC SPIRITについて話を聞くというものです。

先輩社員はみな、FiNC SPIRITを体現しているメンバーたちです。彼らを通して、FiNCが大事にしている行動指針について知ってもらうという意図があります。

バリューランチのメリットについて教えてください。

青木:新入社員がFiNC SPIRITを自分なりに咀嚼することで、納得感が生まれることです。なぜそれが大切なのか、どうやって業務に反映させていくのか。先輩社員ごとに異なるエピソードを聞きながら、考える良い機会になります。

またバリューランチを終えたあとは、学んだことをSlack(ビジネス向けチャットツール)上で共有してもらっています。そこで意見交換がされることもあるため、先輩社員にとっても「FiNC SPIRITに沿った行動ができているか」を振り返るきっかけになるんです。

▲バリューランチ後の、Slack上でのやり取りの様子。

先輩社員とも打ち解けられて、社内コミュニケーションの活性化にもつながりそうですね。そのほかに、ValueやFiNC SPIRITを浸透させるための取り組みはありますか?

青木:毎月テーマとなるFiNC SPIRITを1つ決めて、最もそれを達成できていた人を社員の投票で表彰しています。受賞者のコメントや、その集会での溝口の講評を聞いて、社員はFiNCという企業がどれほどFiNC SPIRITを大事にしているか再認識するんです。

また、普段の会話でも各メンバーはValueやFiNC SPIRITを積極的に使っています。「Compassionが足りない!」とか。社員が企業理念に対して共通のイメージを持っているからこそ、それらのフレーズが“伝わる”確信があるんです。

企業理念の土台となるのは、部署・個人のビジョン

finc5_w670

Value・FiNC SPIRITのベースとなっているのが、FiNCの「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」という企業理念です。この企業理念を浸透させるため、どのような取り組みをしていますか?

青木:企業理念を達成するために部署のビジョンがあり、部署のビジョンを達成するために個人のビジョンがある、ということを意識しています。

会社を構成するのは部署であり、部署を構成するのは個人です。そこが上手く結びつかなければ、1人ひとりがいくら努力しても、企業が目指す「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」という目標は達成できません。

そのため、各期ごとの部署のビジョン・ミッションを決めるのには、非常に時間をかけています。実はつい先月まで、3~4か月もかけて議論をしていました。企業理念に少しでも貢献できる内容にしたいですから、妥協は一切しないんです。

finc6_w670

▲FiNC社内に設立されているオープンスペースのキッチン。こういった場などでも、会社の目指す方向性について積極的に意見が交わされる。

今回のインタビューを通じて、FiNCは「会社が目指している方向性」が本当にブレない会社だということが伝わってきました。それはどうしてなのでしょうか?

青木:なぜなら、組織と個人が同じ方向を向いているからこそ、社会的課題を解決するだけのパワーが生まれると信じているからです。

そこがブレないからこそ、会社の社会的意義が明確になり、社員が「ここで働きたい」と思ってくれるのではないでしょうか。かく言う私も、そのひとりです(笑)。

企業理念を“発信”し続けているか?

FiNCの根幹を支えている、企業理念やValue、FiNC SPIRIT。社員がこれらをさまざまな場で発信し、具体的な行動やビジョンに落としこむことで、FiNCは一枚岩の組織となっていました。

finc7_w670

▲全社集会でメッセージを伝える代表・溝口氏。

「自社の社員には企業理念が浸透していない」と感じたときは、会社の経営者をはじめとした各メンバーが企業理念を“発信”できているか、今一度思い返してみましょう。そして、できていないならば、人事であるあなたが行動を起こしてみましょう。

そうすることで、企業理念は「絵に描いた餅」ではなく「会社の骨格」となり、自社の歩みを前へと進めてくれるはずです。