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ビジネススキルの見極め方|「洞察力」〜膨大なナレッジと柔軟な思考を用い、物事の本質を見抜く能力〜

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洞察力は、ビジネス上のあらゆる場面で役立つ力です。物事の本質を見極めることができればトラブルが起きてもスピーティーに問題解決できますし、コミュニケーションをとる際に相手の言動から本心を見抜いたりすることも可能になります。

そんな「洞察」に近い言葉として、「観察」が引き合いに出されることがしばしばあります。これらは「見て何かを認識する(察する)」という点については似ていますが、物事に対するその見方・捉え方にはっきりとした違いが存在すると言えるでしょう。

字義から考えると、観察は、表面的に「観た」ものを根拠としています。一方、洞察の「洞」とは「物事を貫いて見通す」ことを示すので、対象の表面ではなく内面まで見抜くことで、あくまでも直感的に認識を得ているのです。

また、捉え方については、「観察」は過去の経験に基づいて何かを推定しているのに対して、「洞察」は全体の状況を把握することによって、直感的に課題を解決しようとします。つまり洞察力とは、観察力に比べて内面的かつ直感的に認識する能力、ということになります。

それでは、普通の人には“見えないものが見える”とさえ思わせるこの「洞察力」は、いったい人のどんな特質から発生するものなのか、考えていきたいと思います。

筆者:株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント 曽和利光

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して事業を展開。

洞察力は決して超能力ではない

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洞察力の有無に関わらず、人は基本的には同じ情報源から情報を得ています。しかし、なぜ洞察力のある人は普通の人なら気づかないことまで見抜けてしまうかと言うと、その情報の処理方法に違いがあるからです。

「洞察」を得る方法、つまり優れた解釈を対象から得るための情報処理方法にはいくつかのパターンがあります。以下では具体的に、私が今まで見てきた、いわゆる「洞察力がある」と言われる人の特徴について述べていきましょう。

「とらわれのなさ」が洞察を生む

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まず、洞察力を発揮するには、固定観念にとらわれずに対象を見ることが求められますが、人間の持つ「確証バイアス」というものがそれを阻害します。

確証バイアスとは、自分の中で一度「こうだ」と確証した仮説にしがみつく傾向のことです。仮説に合致する情報は取得し、仮説に合わない情報は無視するというもので、ローマ帝国のカエサルの名言にある「人は現実のすべてが見えるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ない」は、確証バイアスの本質をよく表しています。

特に、広く流布している仮説、例えば「血液型A型は几帳面」「体育会系はガツガツしている」「文化系は繊細」といった、多くの人に浸透している先入観・思い込み・ステレオタイプとも呼ばれるこれらはかなり強力な確証バイアスとなります。

逆に言えば、こういった確証バイアスにすら打ち勝てる人は、多くの人が見逃してしまう情報をきちんと見据えることができるということ。そしてそこから対象を理解することで、他の人には見えていなかった「洞察」が得られているというわけです。

なぜ人はとらわれるのか?

そもそも、人が固定観念を持つのは「省力化」のためです。日々接するさまざまな対象をイチから認識・解釈していくと、知的パワーを消費することになります。これは「認知資源を使う」などとも言われ、つまり頭を使うと疲れるということです。

既に何度も直面した対象(物事)に、毎回初めて出合ったかのようにイチから認識を始めていては、知的パワーがいくらあっても足りません。そのために固定観念を持つことで、「ああ、これは以前にあったことと同じ。だからこうだ」と、認識のゴールに早くたどり着くことができます。

ですから、固定観念は一概に悪いとは言えません。ただし、過去に出合った対象と類似する別な対象に出会った際には、固定概念が認識を邪魔して、洞察が生まれる機会を潰してしまうことが多いのです。

優先度の高い作業に認知資源を使うことが重要

前項より、洞察を得るためには、固定観念という省力化の道具を使わずに対象をじっくり見る必要があります。そしてそのためには、前提として十分な知的パワーや認知資源が残っていることが求められます。

細かい作業や慣れていない難しい作業などは認知資源を消費します。(科学的に証明されているわけではないようですが、)一日に使える認知資源には限界があり、浪費してしまえば、ここぞというときに使えなくなるようです。

つまり、洞察力を使いたいのであれば、重要な認知作業以外にはなるべく認知資源を使わないという優先順位付けが必要ということになります。実際、ある特定の領域において「洞察力がある」と言われるような人材は、他の領域において徹底的に手を抜いている(頭を使わない)ことがよくあります。

ジョブズやザッカーバーグなど、多くの成功者が毎日同じ服を着るというのも、服を選ぶという彼ら的にはどうでもよいことに、極力認知資源を使わないようにしているということなのでしょう。

対象を見る際の「解像度」の高さが必要

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物事をじっくり見るための認知資源に余裕を持つことに加え、次に洞察力を発揮するうえで必要なことは、対象を見る際の「解像度」の高さです。

解像度とは、どれだけ細やかに見ることができかということです。例えば、色を見たときに、「青」という言葉・概念しか知らなければ、群青色も藍色もライトブルーもスカイブルーもすべて「青」としか認識できません。

細やかに見るためにも認知資源が消費されますが、いくら認知資源があっても、そもそも解像度が低ければ認識する情報はざっくりとしたものになってしまい、他人が気づかないような洞察を得るには至らないでしょう。

ちょっとしたことに気づくためには、その「ちょっとしたこと」が他の「いつものこと」と弁別されて認識されなくてはなりません。結局、解像度の高さとは、物事を認識する際のフレームの細かさ、つまり直截的に言えば「語彙」の豊富さと一致します。

語彙の豊富さは、世界をどれだけ細かく分類できるかにつながります。ですから、洞察力を発揮できる人材は高い語彙力を持っている場合が多いのです。

「引き出し」の多さ

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認知資源を配分しつつ対象を注視し、細かいレベルで情報を得ることができれば、最後は、そこからどんな意味や解釈を導き出せるかが、洞察力の発揮に大きく関わります。

この最後のプロセスに関係するのが、知識の「引き出しの多さ」です。しかし、単純に知識が多ければよいわけではなく、物事を見たときに、それと関連付いたものを直感的に連想できるかどうかが重要になります。

頭の中にある知識そのものと、それらを結びつけるネットワークの豊かな人が「引き出しの多い人」、ひいては、対象を観察して直感的な認識を得ることができる「洞察力のある人」ということになるのです。

持てる知識へのアクセスのしやすさ

人間には「プライミング効果」という心理作用があります。これは、あらゆる言葉や音・形態などが前もって認識されていると、その類似物が認識されやすくなるというもの。例えば、先に果物の話をしておくと、「赤」という言葉から「りんご」などが連想されやすくなります。

このように、まるで頭の中でつながっていたかのように、先行した情報に引っ張られる性質があることから、人間の頭の中にはさまざまな概念がネットワーク状に存在していると推定されています。

そして、上述した洞察力につながる「引き出しの多さ」については、そもそもの知識の豊富さに加えて、この概念同士のネットワークがお互いにしっかり結びつき、かつアクセスしやすい状態になっていることが必要となります。

こういった連想のネットワークを増強するためには、一にも二にもインプットしかありません。「AとBは類似している」「〇〇という関係がある」というつながりの意味を何度も繰り返し使うことによって、自然とAを見たらBを思い出すようになるはずです。それを蓄積できれば、ネットワークはより強固なものとなるでしょう。

ですから、洞察力を発揮できる人を見極める最後のポイントは、どれだけ物事や概念のつながりを知っているか、すなわち、どれだけ深い教養を得ているかという点に行き着くのです。

認知資源・語彙・教養が洞察力につながる

固定観念にとらわれることなく注意深く対象を見るための十分な認知資源と、そこで得た情報を細かく分類して認識することのできる語彙の豊富さ、そして、それをもとに自分の頭の中にある広大な知識のネットワークに上手くアクセスできるかという教養の力が、洞察力の本質と言えます。

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