採用ノウハウ

ビジネススキルの見極め方|「決断力」~判断材料が少ない状況で、方針を決める能力~

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物事を「判断すること」と「決断すること」は似ているようで、実はかなり違う能力です。

事実を集め、解釈をし、論理的に考えて、ベストの選択肢を判断する。つまり、今あるエビデンスを元に、何がよさそうかを知的に検討するのが「判断力」です。日常業務で生じる小さな選択をするには、この能力があれば十分でしょう。

一方で、「決断力」は「判断材料が少ない状況で、方針を決める能力」のことを指します。もし、10個エビデンスが揃っていれば簡単に判断できるとしても、ビジネスでは2個ぐらいしかエビデンスがないけれど何かを判断しなければいけないことは多々あるのです。

現代においては、特にこの「決断力」が重要視されるようになってきました。ビジネスにスピードが求められるようになり、エビデンスが揃うのを待っていられないケースが多数生じてきたからです。

決断力は複合的な能力であり、いくつかの要素にブレークダウンできます。決断という行動が生じるまでに、人間の脳内で複数のフェーズを経るからです。それでは具体的に、この能力はどのような要素から構成されているのでしょうか?

「○○力」の詳細について解説する本連載。今回は、「決断力」とは何かについて考えてみたいと思います。

筆者:株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント 曽和利光

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して事業を展開。

【決断力の構成要素①】想像力 ~揃っていないエビデンスを補完する~

決断力を構成する要素の1つ目は「想像力」です。揃いきっていないエビデンスを「多分、こうではないか」と想像し、推定するために必要になります。

これは、過去の経験の蓄積から推測してもよいですし、フェルミ推定などの論理的思考から導き出しても構いません。あるいは、制約があり短時間で決断しなくてはならない場合には、効率的に情報収集をすることでも代替になります。

とにかく、少しでも判断材料が増えれば、決断の成功確率が上がるわけです。それを実現してくれるのが、想像力になってきます。

【決断力の構成要素②】諦める力 ~決断のスピードを保つ~

じっくり時間をかけて待てば、徐々にエビデンスは集まってくるでしょう。ですが、そのときには「もう決断しても手遅れ」になりかねません。

そのため、想像力や各種資料、人的ネットワークなどを用いて可能な限り情報収集をしたら、どこかのタイミングで次の段階に進まなければいけないのです。

この際に必要なのは、いい意味での「諦める力」。つまり、いつまでも「もう少し、あと少し」と粘るのではなく、区切りをつけて前に進む力が必要なのです。

よく日本人は「損切りが下手な国民」と言われたりしますが、その原因は諦める力の不足にあります。ベストのタイミングで諦められるかが、決断そのものの価値を左右するのです。もちろんこれは、早ければ早いほどよいです。

諦める力を高めるには、前もって「ここまで来たら情報収集は止めて、何らかの決定をする」と事前に決めておくことも有効です。

【決断力の構成要素③】徹底完遂力 ~決断の価値を上げる~

賭けごとなどでの決断とビジネスでの決断が異なっているのは「自分が賭けたものが当たる確率を上げられる」点です。カジノではディーラーが投げたカードやサイコロを勝手に変えることはできませんが、ビジネスではそれができます。

選んだものが最善案ではなく「実は2番手、3番手の案だった」というケースもあるでしょう。それでも、その案が成功するよう必死に努力することで、最終的には「最善案よりも良い結果を残せた」ということは頻繁に起こります。

よく言われることですが「正しいものを選ぶのではなく、選んだものを正しくする」のが大事だということです。一度決断を下したのであれば、後悔などせずに選んだ道を邁進する。つまり「徹底完遂力」が必要なのです。

【決断力の構成要素④】胆力 ~平常心を貫く~

ここまで挙げた「想像力」「諦める力」「徹底完遂力」のすべての裏にあるのが「胆力」です。胆力とは端的に言えば、物事を恐れたり気おくれしたりしない気力や勇気、度胸、覚悟のようなものを指します。

情報が不足している中で大きなことを決める際、平常心でなければ想像力も働きません。諦めるにも勇気が必要です。徹底完遂の邪魔になる雑念を封じ込めるには、決めたことを正しいと信じ抜く力も欠かせません。これらを実現するのが胆力なのです。

胆力を鍛えるには、わざと自分自身を逆境に追い込み、その状況下で自分の体や脳を制御できるように訓練するのが効果的です。武道の寒稽古や仏教の座禅や瞑想などをイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。

では、ビジネスにおいては胆力をどのように鍛えるべきか。答えはシンプルで、最も効果的なのは「決断そのものをくり返すこと」です。緊張感のあるシチュエーションでの決断を何度も経験することで、徐々にそういった場面で物怖じしなくなってきます。

決断力を身につけるには、決断し続けるしかない

サイバーエージェント社は、新卒の若い社員を子会社の社長にアサインしていますが、これはメンバーの決断力を鍛えるために大変よい方法です。小さな会社であっても、社長は社長。最終決裁者です。決断力やそのコアである胆力は、日々決断し続けることによって身につきます。

これはつまり、求職者に決断力があるかをチェックするには、採用面接で決断してきた経験を聞くことが効果的だということを意味します。しかし、過去の案件で大きな決断をくり返してきた人は決して多くないでしょう。その場合には、決断力の“伸びしろ”を推測して評価しなければいけません。

決断力を構成する、「想像力」「諦める力」「完遂力」「胆力」、これらの4要素が試された経験はあるかどうか。それはどのようなものか。そのときに苦労したことは何か。それらをヒアリングすることで、相手の決断力は可視化されるのです。

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