採用ノウハウ

Aランクの人材を採用する方法

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人材が足りない時に慌てて募集をかけて、必要な人数を補充するだけの採用活動になっていませんか?

『HOW TO HIRE A-PLAYERS』の著者エリック・ヘレンコール氏は、組織開発や人材開発のコンサルティング会社Herrenkohl Consulting を経営してきた経験をもとに、人数を揃えるだけの採用ではなく、企業の成長に不可欠なAランクの人材を採用する方法を本書の中で解説しています。

Aランクの人材とは?

「Aランクの人材とは、同じ仕事に就いている大多数の社員と比べて、ずば抜けてよい結果を出す“ロックスター”のような人です。Aランクの人材は、職業倫理を理解し、人と係わることが上手、さらに知的でリーダーシップに優れているという非常に貴重な存在でもあります」

ヘレンコール氏は、本書を出版しているWiley社のインタビューに、このように答えました。特に中小企業ではAランクの人材を採用することが大切で、経営者のワークライフバランスなど、私生活にまで影響を与えることもあるといいます。

Aランクの人材が持つインパクト

Aランクの人材を雇うことが、どれほど大切かを説明するために、本書ではマイクロソフトの例をあげています。マイクロソフトには世界中に80000人を超える従業員がいますが、ビルゲイツ曰く、この会社を創り上げたのは20人にも満たない人達だといいます。

ビルゲイツが裕福になるために20人しか必要なかったのだとしたら、中小規模の企業で2、3人のAランクプレイヤーを雇うことが、どれだけ大きなインパクトになるか想像することは難しくありません。

Aランクの人材の人物像をはっきりさせる

どの組織でも良い人材を採用したいと思って採用試験をしているはずです。それなのに採用に失敗してしまうのは、組織に合うAランクの人材がどのような人か、よく分かっていないことが原因のようです。良い人材だと思って採用しても、その組織に合わない人だと力を発揮することができません。

まず必要なのは、採用担当者が組織に必要な人材を理解することです。ヘレンコール氏は、本書の中で10のステップを通して組織に合うAランクの人材を特定する方法を提案しています。ここでは、そのステップがどのようなものか、簡単にご紹介しましょう。

組織に合うAランクの人材を特定する10のステップ

  1. 採用したいポジションをあげる
  2. そのポジションで成功する人物像を2、3行でまとめる
  3. 2の結果から、具体的にどのようなことができればいいのかを5つから7つあげる
  4. 過去に、そのポジションで働いていた人の名前を全部あげて、誰が最もAランクの人材の理想に近かったか考えてみる
  5. このポジションで成功するために必要なスキル、才能、経験を書き出していく
  6. 組織に合うAランク人材の素質が、後からでも簡単に学べるものか、生まれつきの才能など変えることが難しいものか考えてみる。もし後者であれば、素質を持った人を始めから雇わなければならない
  7. いま組織にいるAランクの人材は学校でどのような勉強をしてきているか、BランクやCランクの人材と学歴の違いがあるか確認してみる
  8. 現在活躍している社員が、どのルートで入社しているか確認する
  9. 全ての評価を総合してみて、人材を見つけるために当たってみるべき場所があるか考える
  10. Aランクの人材候補にリーチするための採用活動を考える

Aランクの人材を見つけるための面接テクニック

候補者一人にあてる採用試験の時間はどれくらいが適当でしょうか? 本書には、採用試験が長くなることに採用担当者が躊躇するべきではないと述べられています。なぜならAランクの人材は、採用試験にも高水準を求めるからです。拘束時間が増えることに気を使って採用試験を手短に終わらせてしまうのは逆効果です。

面接官を変えた複数回の面接や、グループ面接は、違った角度から候補者を見ることができることから、より良い決断につながります。また、適性検査は、感情を交えずにデータから候補者の特性を知ることに役立ちます。そして最も大切なのは、企業に必要なAランクの人材の人物像を事前に決め、その人物像に採用担当者全員がこだわりを持つことです。

ユニークな採用試験事例

見込みのある候補者を絞り込むときに、実践に近い試験を取り入れると、候補者が職場でどのように活躍できるのかイメージしやすくなります。本書に掲載されているユニークな採用試験の事例をあげてみます。

  • 候補者を顧客訪問など外に連れ出す
  • 候補者にセールスコールをさせる
  • 採用面接に給与を出し実務をさせる

最終候補者を顧客訪問に同伴させた企業では丸2日間の試験を実施しました。候補者にセールスコールをさせた企業では、その後、試験に協力した顧客に採用担当者から連絡を取りフィードバックを受けています。そして採用面接に給与を出すことにした企業では、採用された時に実際にする仕事を1、2時間まかせ、その間に候補者のコミュニケーション能力や、仕事に対する姿勢を観察しました。

どの企業にも共通するのは、じっくりと時間をかけて、その人の職場での行動やコミュニケーション能力を観察していることです。採用試験に、これほど時間をかけるのは簡単ではないかもしれません。しかし、間違った採用をしてしまった時の苦難に比べれば、実施が大変な採用試験のほうがまだ救われます。

Aランクの人材を採用する決め手は時間をかけること

誰でも良い人材が欲しいと思うものですが、実際にどのような人物が必要なのか具体的にわかっていなかったり、採用試験で十分に候補者の資質を見抜けていなかったりすることが、採用を失敗する原因となります。まずは、現在活躍している社員をモデルにしながら、組織にとってのAランクの人材がどのような人なのか特定することが大切です。そして、じっくりと時間をかけた採用試験でAランクの人材を絞り込みましょう。

それではAランクの人材はどこを探せば見つけることができるのでしょうか。『HOW TO HIRE A-PLAYERS』の中には、SNSやインターネットを使った募集のしかた、人材会社を上手に使う方法といった王道の探しかたのほかに、ユニークな人材発掘場所が提案されています。

レストランにいるAランクの人材

ヘレンコール氏は本書の中で、レストランのウェイトスタッフやマネージャーとして良い仕事ができる人は、Aランクの人材になる素質があると繰り返し触れています。実際にNYの企業が営業職のAランク人材をレストランからリクルートした事例や、レストランで働いている人を雇うのが好きな経営者の話を織り交ぜながら、なぜレストランで働いている人がAランクの人材になれるのかを次のように説明しています。

  • サービス指向型である
  • 常に大勢の顧客を相手にしているので、応対が上手である
  • 顧客との問題解決が重要であることを、よく分かっている
  • 売り上げを上げる方法を知っている
  • サービスの質で判断されることに慣れている
  • 収入(チップ)が、サービスの質に対して支払われるものだと理解している

別業界の経験が新しい戦力になる

この本には、レストランのほかにも、視点を変えた求人募集をすることでAランクの人材を獲得している事例が紹介されています。例えば、元教師の採用に力を入れる保険会社や証券会社は、候補者のコミュニケーション能力に注目しています。

また、スターバックスコーヒーのような社員研修に力を入れている大規模なチェーン事業出身者を好んで採用する企業や、重責から解放されたいと思っている優秀な起業家を探して採用する企業もあります。そして、企業がフリーランスとして業務を依頼している会計士、弁護士、コンサルタントを始めとする、様々なプロを正社員として雇うこともひとつの方法です。

「業界の未経験者歓迎」という文言を求人広告に見ることはよくありますが、それを人材戦略として利用している企業はまだ少ないかもしれません。この本に挙げられている事例では、違う業界で働いていた人達が組織の中で新しい力を生み出しています。組織の成長に不可欠なAランクの人材が業界の経験者から見つからない場合、他の業界にいる人達に目を向けてみるのも良いのではないでしょうか。

働きたいが働けない女性に目を向けてみる

もう一つ、Aランクの人材を見つけるよい方法として、ヘレンコール氏は女性に目を向けることを提案しています。本書では、子育てなど家庭の事情で仕事を一時中断している女性、配偶者の仕事の都合で引っ越した女性、フレキシブルな職場を探すシングルマザーを、働きたいと思っているが働けないAランク人材の人物像として挙げています。

十分な資格や経験があっても働けないAランクの人材を引きつけるのは、他の人達と同様、やりがいのある仕事、公平な給与、そして適度な拘束時間です。特にここで挙げた女性たちは、収入よりも時間に重点を置いている場合が多くなります。フルタイムで働ける資格や能力があっても、ライフスタイルを優先してフレキシブルな時間で出来る仕事を選んでいる人もいます。

もし企業が、拘束時間や勤務日数、勤務時間を調節することで、この人達が抱えている働けない理由を解決できるならば、優秀な人材を獲得できるチャンスが広がるでしょう。

Aランクの人材を呼び寄せる環境をつくる

Aランクの人材を見つけるには、外に目を向けて人材を探すことの他に、Aランクの人材が集まりやすい環境をつくる方法があります。こちらから探さなくても、Aランクの候補者が、ぜひ面接を受けてみたいと思う組織にするのです。本書には、Aランクの人材が集まる組織をつくるための3つのステップが紹介されています。その概要は次の通りです。

Aランクの人材にこだわる企業であるというマインドセット

企業のトップは、この企業が常にAランクの人材にこだわる組織であることを部下に伝え続け、マインドセットをします。採用担当者を始めとする社員や周りの人たちに「この企業は、いつもAランクの人材を探している」と思わせることができれば成功です。

そして、この気持ちを継続させます。このマインドセットにより、社員が身近にAランクの候補者を見つけたときに、企業に紹介しようと思うようになります。そして、採用担当者も、よりレベルの高い候補者を探すようになります。

面接をし続ける

面接をし続けます。本書では採用を担当するチーム全員が、毎月少なくとも2、3人の人と面接することを目標にしています。時間はかかりますが、それ以上の効果をもたらします。ただし、面接をし続けるということは、採用し続けることではありません。優秀な人材とならいつでも面接をして話し合う態度をみせることによって、転職を考えている人が相談しやすい場所であるという評判を作るのです。

Aランクの二軍をつくる

今は別の企業で働いていても、タイミングが合えば喜んで組織に来てくれそうな人達をリストアップして二軍をつくります。そして、求人がある時に二軍メンバーに連絡ができるようにしておきます。採用担当者は、いつでも二軍メンバーになりそうな人に目をむけ、情報を定期的にアップデートすることが大切です。

Aランクの人材を探すには既成概念にとらわれないこと

採用活動のパターンが一度できてしまうと、それを変更するのにも労力がいります。しかし、いつも同じ場所だけ探していると、同じような人しか集まらなくなってくることが多いものです。大切なのは、あらゆる機会を利用して優秀な人材を見つけるネットワークを広げることだと本書には述べられています。既成概念にとらわれなければ、様々な角度からAランクの人材を見つける工夫ができるのでしょう。

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HOW TO HIRE A-PLAYERS: Finding the Top People for Your Team- Even If You Don't Have a Recruiting Department
Eric Herrenkohl (著)

Wiley(初版2010/3/11) (電子版2016/5/03)

ISBN: 978-0-470-56224-6

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