採用ノウハウ

ビジネススキルの見極め方|「忍耐力」~苦しい局面に耐え、成功の芽を育てる能力~

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最近ベストセラーとなった「やり抜く力 GRIT」(ダイヤモンド社)では、成功するために大切なのは、才能よりも「情熱」と「粘り強さ」(≒「忍耐力」)による「やり抜く力」であるという主張がなされていました。

この主張は、多くのビジネスマンが賛同するところでしょう。仕事をしていれば、つらい局面や苦しい局面はいくらでも訪れます。そんなとき、「やり抜く力」がなければ、その困難を乗り越えて結果を残すことは不可能です。

にもかかわらず、「近ごろの若者はこらえ性がない」と、忍耐力の低下を嘆く声が増えてきました。もし本当であれば、これは若者たちの「やり抜く力」が減退しているということ。由々しき事態です。

しかし実際のところは、そうではないと私は考えます。なぜなら、新卒3年目までの離職率はここ30年ぐらいずっと3割程度で変化はなく、最近になってこらえ性がなくなってきているとは言い切れないからです。

では、なぜ「近ごろの若者は~」と言われてしまうのでしょうか。この原因は、「こらえ性」≒「忍耐力」という言葉の意味合いが過去と現在で変化しているためだと思います。

「○○力」の詳細について解説する本連載。今回はこの「忍耐力」について考えてみたいと思います。

筆者:株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント 曽和利光

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して事業を展開。

過去の「忍耐力」=「くり返しに耐える力」

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高度成長期の日本には、「欧米」という目指すべき明確な目標がありました。そのため、そのゴールに向かって追いつき追い越せで努力するのが「頑張ること」だったのです。

方向性はある程度決まっているため、現代と比べると、正解がはっきりしない局面での試行錯誤や創造性は必要ありませんでしてた。それよりも、決まったことを長期にわたり、早く、丁寧にやることが重要だったのです。

その当時における「忍耐力」とは、仕事の「くり返しに耐える力」だったのではないかと思います。毎日、同じ仕事を、同じように安定して行うこと。それが結果を生み出しました。

「くり返しに耐える力」を持つ人の特徴

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くり返しに耐える力を持つ人には、大きく分けて3つのパターンがあります。

1つ目は、「意味づけ力のある人」です。これは、日々の行動は単純なくり返しであっても、その先に得られる結果が何かを考えて、自分のやっていることに意味づけをし、モチベーションを維持する力のことです。

かつて、アメリカのケネディ大統領がNASAの門番の方に、「あなたは何をしているのか?」と尋ねたところ、「私は人類を月に送る手伝いをしている」と答えたそうです。これは、意味づけ力を持つ人の回答パターンとして非常にわかりやすい例でしょう。

2つ目は、「フロー状態に入れる人」です。これは「時間の感覚がなくなるほど、その行為に没頭してしまう状態」のことを意味し、この状態になると高い集中力やそれに伴う高いパフォーマンスが生まれるとされています。

この状態が生まれるには、いくつか条件があります。「適切な難易度のタスクであること」「自分でコントロールできる感覚があること」「やったことに対するフィードバックがあること」「注意を妨げられないように周囲の雑音などからシャットアウトされていること」などです。

逆に言えば、「こうした状態となるように、タスクや環境を適切な状態に調整できるスキル」を身につけている人は、くり返しの作業に没頭できるのです。

3つ目は、「曖昧耐性の低い人」です。曖昧耐性とは文字通り、「曖昧なことに耐える力」を指します。

それが低い人は、「楽観」よりも「慎重」、「変化」よりも「秩序」、「多様性」よりも「一様性」、「未知」よりも「既知」を好むという特徴があります。そうした人は、「くり返しが心地良い」というケースが多いのです。

「くり返しに耐える力」を持つ人の見分け方

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「くり返しに耐える力」を持つ人を見分けるには、採用面接の場で、求職者が携わり続けてきたプロジェクトや企画などのエピソードを聞きましょう。それも、半年とか数年の長期間にわたったものを。

多くの場合、求職者に「過去に担当した仕事のエピソードを話してください」とお願いすると、イベントや印象に残っている出来事など単発の話をする傾向があります。しかし、短期間での成果は再現性があるかわかりませんし、くり返しに耐える力もわからないのです。

現在の「忍耐力」=「失敗に耐える力」

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近年、「忍耐力」の指し示す意味合いが徐々に変化しています。高度成長期と異なり、くり返しに耐えることで成果が得られる仕事が少なくなってきているからです。

むしろ、何をすれば成功するのか不明確なプロジェクトが増えているため、創造性を高め、さまざまなプランを出し、数えきれないほどの試行錯誤をすることが必要になってきています。そして、試行錯誤には失敗がつきものです。

そのため、最近言われる「忍耐力」は「失敗に耐える力」を指すケースが多くなっています。

「失敗に耐える力」を持つ人の特徴

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「失敗に耐える力」を持った人にも、いくつかパターンがあります。

1つ目は、「ベーシックトラスト(世界に対する基本的信頼感)」を持っている人です。ベーシックトラストとは、「努力は報われる」「未来は明るい」「人は信じるに足るものである」など、世界に対してポジティブな見方を持ち、他人を信頼できる能力のことです。

ベーシックトラストのある人は、成功率が限りなく低い新規事業の立ち上げや新商品の開発など、たくさん失敗をする仕事にも耐えることができます。「いつかはきっとうまくいく」と希望を失わないからです。

また、先ほども出てきた「意味づけ力」のある人も、失敗に耐える力を持っています。かつてエジソンが「私は失敗したことがない。1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ」と言ったように、失敗に対して適切な意味づけができれば、ショックに打ちひしがれてしまうことはないからです。

「失敗に耐える力」を持つ人の見分け方

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「失敗に耐える力」を確認するには、採用面接で求職者に「過去の失敗経験」をヒアリングします。その回答から、どれだけ物事を肯定的に楽観的に捉えられる人かがわかるのです。

辛い失敗経験を、明るい話、何かを学べた話であると意味づけできる人は、失敗に耐える力を持っている可能性があります。

今も昔も、「忍耐力」は重要なスキルのひとつ

今回解説した通り、ひとくちに忍耐力といってもさまざまな意味があります。そして、時代の流れやそれに伴う業務内容の変化により、必要とされるスキルは変化してきたことがご理解いただけたのではないでしょうか。

現代においては、ややもすると「忍耐など必要ない」「耐えるのであれば、新しいことに目を向ければよい」と簡単に言われてしまうことも多いものです。しかし、やはり今でも「忍耐力」は、ビジネスを成功に導くために重要なスキルであることを再認識していただければ幸いです。

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