採用ノウハウ

ビジネススキルの見極め方|「コミュニケーション力」~他者と円滑に連携をとり、ビジネスを成功に導く能力~

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昨年末、日本経済団体連合会(経団連)が発表した「2016年度 新卒採用に関するアンケート調査結果(※)」によると、コミュニケーション力(能力)は企業が採用選考で重視する要素として13年連続の1位となりました。

もちろんこのスキルは、中途採用においても重要です。コミュニケーション力を持ったメンバーを採用できなければ、社内外のメンバーと円滑に業務を進め、ビジネスを成功に導くことは夢のまた夢となってしまいます。

それでは、コミュニケーション力とは一体何を指しているのでしょうか。さまざまな人に質問してみても、曖昧な答えしか返ってこない場合がほとんどです。各人が多種多様な能力を、十羽一絡げにコミュニケーション力と見なしてしまっているのではないでしょうか。

「○○力」の詳細について解説する本連載。今回は、「コミュニケーション力」とは何かについて考えてみたいと思います。

※…https://www.keidanren.or.jp/policy/2016/108_kekka.pdf

筆者:株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント 曽和利光

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して事業を展開。

どんな意味で使われることが多いのか?

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ひとくちにコミュニケーション力といっても、会社によってその捉え方が異なります。これまで私が多くの人事や経営者から伺ったことを要約すると、次のような4つの能力のどれかを表していることが多いようです。

まずは、「読み取り力」です。これは、曖昧な情報を受け取った際に、それを概念化できる力を指します。たとえば営業マンがお客さまに商品を勧めたとき、相手の表情や口調を元に、買う意思があるかを見極める力などがこれに当たります。

次は、「表現力」です。これは、ある概念を具体的に表現して相手にイメージさせる力。たとえば比喩などを交えて、わかりやすく説明できる力などがこれに当たります。

「論理的思考力」も、コミュニケーション力の1つの意味として用いられることが多いです。自分が思っていることをわかりやすく、筋道立てて話せる力。人の話を筋道立てて聞き、理解できる力を指します。

最後に「発想力」。これは、一見すると違うもの同士に共通点を見つけたり、AとBを組み合わせればCが生み出せることに気づいたりする力です。

人事は、経営者や人事部長などが「コミュニケーション力の高い人を採用してほしい」と言っているとき、これらのどの意味で用いているかを注意深く確認する必要があります。そうでなければ、言葉は同じでもお互いに思っていることが違い、全く別の基準で採用をしてしまうことになるからです。

読み取り力=国語的スキル 論理的思考力=数学的スキル

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この4つのうち採用時に特に重要視されるのは、「読み取り力」と「論理的思考力」です。前者は国語的な能力、後者は数学的な能力と言えるかもしれません。

たとえば、「小説の本質は何か?」と質問されたとき、「読み取り力」が強い人は「行間を読むことにより、心に湧き起こる感情の浮き沈み」などと答えたりするでしょう。このタイプの人は物事の細かい部分まで吟味し、その裏側にあるエッセンスを読み取ることができます。しかし、余計な情報を捕捉しすぎて、ロジカルさに欠ける傾向もあるでしょう。

一方、「論理的思考力」の方が強い人は、骨組みや構造を重視し、誤差のない結論を出すことを得意とします。たとえば、このタイプの人は小説の本質を「あらすじ」と答えるかもしれません。物事をシンプルに捉えるので、ノイズが少なく、論理性を発揮しやすいのです。ただし、人の表情や場の空気など“雰囲気”を捉えるのは、苦手な傾向にあります。

数学が得意だと国語が苦手、その逆もしかりというように、多くの人は「読み取り力」と「論理的思考力」はどちらかに偏っているようです。

そのため、経営者や人事部長などから「コミュニケーション力の高い人を採用してほしい」と言われたとき、その意味(「読み取り力」と「論理的思考力」どちらなのか)を取り違えると、大変なことになってしまいます。

読み取り力や論理的思考力を持った人材のチェック方法

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読み取り力や論理的思考力を持った人材を見分けるには、以下のような方法がおすすめです。

読み取り力 ⇒ ヒアリングにより「どうすれば○○できる?」を深掘りしよう

読み取り力をチェックするには、求職者に過去の経験プロジェクトから学んだこと、わかったことを答えてもらいましょう。

この際、「この経験から、どうすれば人の気持ちを動かすことができるか学びました」といった抽象的な回答だけでは不十分。上手にヒアリングすることで、その「どうすれば」を具体的に語ってもらいます。この内容に、読み取り力が表れるのです。

また、こちらの言っていることを理解しているか確認するには、逆質問(求職者から面接官に質問)させ、求職者が持っている意見を聞くとよいでしょう。

論理的思考力 ⇒ 数学的要素を持ったテストをしよう

論理的思考力をチェックするには、面接よりも客観テスト(SHL社のGAB、OPQのような筆記テストなど)が適切です。読み取り力を省き、純粋な論理的思考力を見たければ、“数学的”なテストをすべきということです。

外資系コンサルティング会社ではよく論理問題のケーススタディを実施することがありますが、この方法は評価者が求職者よりも論理的思考力が高い場合にしか正確に評価できないという欠点があります。

表現力や発想力を支えるのは、知識

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また、残り2つの能力である「表現力」や「発想力」を重視している企業も多いでしょう。

これらの能力を持っているかどうかは、ある程度は「知識の量」で見分けることができます。知識をインプットすると、世の中に対する解像度が高まり、概念と具体例について考えることが自然とできるようになっていくからです。

解像度の低い写真は写っている景色もガタガタした輪郭になり、逆に解像度が高い写真はさまざまなものが鮮やかに詳細に見えます。世の中を見る目の「解像度」が粗い人は、藍色も群青色もスカイブルーもすべて青色として認識してしまうでしょう。そうなると、グラデーションが美しい夏の空を表現しても「青かった」にしかなりません。

ビジネスにおける情報伝達も、それと同じです。伝える側も、受け取る側も、解像度が高いからこそ密なやり取りが可能になります。そして、それを支えてくれるのが知識なのです。

表現力や発想力を持った人材のチェック方法

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表現力や発想力を持った人材を見分けるには、以下のような方法がおすすめです。

表現力 ⇒ 求職者に、話を「具体化」してもらおう

表現力をチェックするには、読み取り力で実施したように、求職者が語るエピソードを徹底的に「具体化」させることが必要です。そのためには、応募者がわかりやすいだろうと思って抽象化したエピソードを、「それは具体的にはどういうことですか?」と何度も何度も確認しなければいけません。

数字にできるものは数字にしてもらい、具体的な事例が示せるものはそうしてもらう。そうすることで、求職者が持つ表現力が可視化されていきます。

発想力 ⇒ とにかくアウトプットしてもらおう

この能力は、作文を書かせたり、実際に何かをつくらせたり、とにかく具体的なアウトプットをさせてなければなかなかわかりにくいです。そのため、何かしらの方法でアウトプットをしてもらいましょう。

また、領域固有性(特定の領域では力を発揮できるが、違う領域だと力を発揮できないという傾向)が強いので、なるべく自社の仕事に近い領域でチェックします。

フリートーク(雑談)にどこまで耐えられるかで引き出しの多さがわかりますが、人と話すのに緊張するタイプは発想力があっても会話スキルが低いケースがあるため要注意です。そういう人は上記のように、何らかの具体的なアウトプットをベースに語らせると意外にすごいことがわかったりします。

おわりに

今回解説してきたように、「コミュニケーション力の高い人材」と言っても、それが指し示す意味合いは多岐にわたります。自社に必要な“コミュニケーション力”の種類を見極め、その能力を持った人材を適切に採用していきましょう。

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