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採用の法律知識|人事部長の解雇からひも解くジョブディスクリプションの重要性

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ジョブディスクリプションがもたらした「解雇」

もう20年近く前の話ですが、外資系企業に中途採用された人事部長が解雇された判例が、法律雑誌に掲載されていました。人事を担当している者として、今でも人事部長が解雇されたというインパクトは強く記憶に残っており、採用における戒めとなっているのです。

解雇理由は、職務遂行能力の欠如、つまり「無能」ということでした。経歴詐称ではなかったので、前職でも人事部長の経験があったのは事実として確認されたのでしょう。
しかし、入社後に実際に仕事を担当させてみたら、人事部長としての知識、実務の経験や能力が求めているレベルに達していなかったということで解雇となりました。そして、その判断を裁判所も有効と認めたわけです。

中途採用を行う場合、特に主要な役職であるほど、その業務に習熟した即戦力を採用することが多くなります。その際、応募者の職務経歴書を仔細に検討し、企業が用意するジョブディスクリプションに最適な人を選んでいきます。

もし「前職で人事部長を経験した」と書いてあっても、それだけで判断することはできません。面接を通じて、人事部長として本人がどのように業務を遂行してきたのかを具体的に確認する必要があります。

たとえば、大企業の出身者でジョブローテーションの一環で人事部長を数年間経験しただけだった場合は、実務の内容を熟知しているとは判断しにくいでしょう。部下が実務をしっかり固め、直接実務に携わることはないからです。

ジョブディスクリプションに明示された業務を経験していたとしても、主体的にプレーイングマネジャーとして業務を遂行していたのか、コンサルタントに任せていたのか、実務に精通した部下に実際の業務を任せていただけなのか、実態はさまざまです。職務経歴書に書かれた職務経験は、字面だけでは正しいかどうかはわからないのです。

ジョブディスクリプションの果たす役割とは

一般的に、企業が求人を出す場合、そのポストに求める業務内容をジョブディスクリプションに記述し、提示します。
そのことによって、応募者が職務に適性を持つかを事前に選別したり、能力の満たない人を応募の段階で排除する役割を果たします。

求職者側から見ると、「自分はその職務を遂行できる」と自ら判断して応募するわけですから、採用された以上はその職務を遂行しなければなりません。
万が一できない場合は、採用後の人事評価の場面において、その従業員が求められる役割を果たしているかどうかをはかるための指標となります。

一方で業務が遂行できないとなると、先の人事部長のように解雇されても致し方ない、というのは当然のことです。しかし、ジョブディスクリプションの記述に不備があった場合は、解雇不当として争う余地を残すことになります。それを防ぐためにも、職務内容は具体的に明示しておく必要があります。

このように、それぞれの場面で使われる名称は異なりますが、人事採用や人事考課の基礎となる文書が、ジョブディスクリプションというわけです。

効率的に作成・運用するための3つのポイント

では、ジョブディスクリプションの最適な作成方法と運用はいかにして行えばよいのでしょうか。そのためのポイントが、次の3つだと考えます。

1つ目が、ジョブディスクリプションの重要性を、経営者や人事部だけでなく、すべての従業員に理解させることです。
人事部長の解雇のケースのように「会社を守るもの」になるということも一つですが、従業員のキャリアアップにも大きく関係するもので、労働環境を改善させる可能性があるものだということをしっかりと伝えておくことが必要です。
そのため、経営者や人事部だけではなく、従業員にもきちんと開示をしたり、説明をしたりし、意見を求めたりし、従業員にも「理解」が出来ている状況つくりをしていく事が大事になってきます。

2つ目が、ジョブディスクリプションの作成は、経営者や人事部が一方的に行わないことです。
できるだけ現場側にも協力をお願いし、多角的な視点で作成できる状況をつくっておくことが好ましいでしょう。そうすることで、良質のジョブディスクリプションを最小限の工数で作成できるはずです。
そのため、ジョブディスクリプションを作成する段階にて、現場に対してヒアリングを行ったり、ジョブディスクリプションを作成後に、現場に問題ないか否かの確認をしたりする事で、現場とのすり合わせやコンセンサスを取っておく事が大事になってきます。

そして3つ目が、新たに求人を行う場合や、評価面談で活用する際には、必ず再考する必要があるということです。
つまり、企業と従業員の成長に合わせて、ジョブディスクリプションそのものも成長させていかなければなりません。そのため、常に会社の経営陣やマネジメントライン、現場とコミュニケーションを取る事をしてください。
そうする事で、会社の現状と従業員の現状を把握する事ができますので、再考の余地を把握出来ている状況が作れ、円滑に修正をする事が出来ます。求人を行うために取りあえず作成したが、そこからの追記や再考までは実行できていない企業も多いようですから、忘れないようにしてください。

ジョブディスクリプションの今後

良質のジョブディスクリプションがあれば、会社が欲しい最適な人材を社内の誰しもが把握することができます。それがきちんとできていれば、採用の効率とともに質を上げることが十分に可能となるでしょう。
また、訴訟になった場合でも会社を守ることができます。さらに、労働市場の変化や、求職者側が得る情報量も多くなる中、詳細なジョブディスクリプションを用意できることは企業の評価につながることも予測されます。

ジョブディスクリプションを軽視せず、市場の変化を敏感にキャッチアップしながら最適なジョブディスクリプションを作成し続けていくことが、経営者や人事担当者に求められることなのです。

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