採用ノウハウ

Uターン、Iターン転職の鍵を握る里山資本主義

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昨今、Uターン、Iターン転職が注目されています。背景にはさまざまな理由がありますが、求職者の価値観の変化が大きな要因のひとつであり、その鍵を握るのが「里山資本主義」です。

里山資本主義とは、新書「里山資本主義」による造語。本著は藻谷浩介氏とNHK広島取材班の共著であり、新書大賞2014年に選出されました。里山資本主義の概念とライフスタイルを読み解くことで、近年多様化しつつある求職者のマインドを探ります。

里山資本主義という概念

里山資本主義とは、金融システムに振り回されるマネー資本主義の対立軸として、「お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークをあらかじめ用意しておこうという実践」のこと。

本著では、間伐材や木くずから木材ペレットを作り、地域の発電をまかなう岡山県真庭市の例や、林業マイスター制度から林業の再生に成功し、脱原発に成功したオーストリアの例を挙げています。
単に自然を大切にする「地産地消」というキーワードだけではなく、実際に産業を勃興させ、エネルギーの自給を行う、里山資本主義という概念に着想を与えています。

これらの例は、資源やお金の一極集中からの分配という、資本効率を優先したがゆえに起きている先進国の課題を、地域と民の力で自然と共存するライフスタイルを成立させることで解決できることを示しています。

里山資本主義的ライフスタイルとは

一度モノや情報などの価値を市場に集約してからお金に変えるマネー資本主義は、どうしても人の生き方を都市有利の型にはめます。就職先が寡占化し、人口密度が過剰に高くなり、人が快適に暮らすためのコストが上がる一方で、収入が高くても幸福な生活はできないという矛盾をきたすのです。

一方で、里山資本主義は地域の特性に合わせ、コミュニティを重視したボトムアップ型のライフスタイルがフィットします。どんな高級な寿司屋でも、海沿いで穫れたばかりの魚をさばいたものにはかないません。生物として最も重要な要素である食や空気や水の質は、お金を出して確保できるものではないのです。

これらの質は生きることに直結しているので、一度地方での暮らしを経験してしまうと、なかなか離れがたくなるのも無理はないでしょう。また、2011年3月に発生した東日本大震災をきっかけに、近隣のコミュニティが希薄になった集合住宅での暮らしに不安を覚える若者も増えています。若者の間に、高い家賃を払って都市に住み、消耗する生き方に疑問を持つ人が増えているのは、自然なことといえるかもしれません。

Iターン、Uターンを受け入れる企業の考え方

こうした背景を踏まえた昨今のIターン、Uターン転職者の増加は、従来のそれとは若干異なることを企業側も踏まえる必要があるでしょう。求職者は、前途のとおり単純に田舎暮らしを求めているだけではないため、自然、コミュニティ、エネルギーといったキーワードが重要になってきます。

地方企業の採用担当者は、大都市型の事業形態に追随するのではなく、その地域でしかできない労働形態や商品開発、福利厚生など、地域性を踏まえたうえで、持っている資源をより活かしていく方向性を模索していくことが求められるでしょう。

もちろん、時代の流れとしても、一瞬にしていまのマネー資本主義が崩壊し、里山資本主義に移行するという話ではありません。あくまで里山資本主義は、身近なコミュニティや自然との共存を実現させることで、マネーのみが支配する社会では得られない安心を、経済的にも精神的にも得ようとする試みです。

時代の潮流と求職者が求めていることがどのようにリンクするかは、個々人によって大きく異なります。Iターン、Uターン転職を受け入れる採用担当者は、多様化しつつある求職者のマインドを踏まえつつ、それぞれの転職希望者が何を求めているのか、面談を重ねて深く知ることが必要になるでしょう。

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