採用ノウハウ

採用の法律知識|人事担当者が特に知っておくべき 「女性」にまつわる労働法のポイント

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ダイバーシティ戦略の重要性がますます注目されている昨今。個々の労働者の多様性を受け入れ、それぞれに価値を見出すことで企業の成長につなげていく姿勢は、21世紀を生き抜くために欠かせない戦略の1つです。中でも「女性労働者」の活躍を重視する企業は増えており、優秀な人材の獲得と同時に、さまざまなライフステージを迎えた既存の女性労働者にとって、働きやすい環境の整備が喫緊の課題となっています。
そういった重要なダイバーシティ戦略を持続的に展開していくためには、女性にまつわる労働法について人事担当者が基本的な知識を押さえておくことが大前提となります。そこで、以下ではそのポイントをご紹介します。

人材募集の際の落とし穴――性差別と判断される求人広告とは?

求人広告は、労働市場へ向けて自社PRを発信する1つの重要なツールでもあります。この求人広告に、うっかり女性差別的な文言を書いてしまったとしたら、「この会社は、果たして女性が働きやすい環境なのだろうか……」と疑問に思われてしまいます。

「女性向きの職種です」?

求人サイトや新聞広告、企業のHPなどに掲載されている求人情報に、「女性限定」「男性歓迎」「女性向きの職種です」などと書いてあるケースがありますが、実はこれは男女雇用機会均等法に違反している可能性があります。
男女雇用機会均等法は、性による差別を禁止しており、事業主は労働者を募集・採用する際に、性別に関係なく均等な機会を保障しなければなりません(第5条)。
ですから、求人広告に「女性限定」などと明記するのは原則として違法となります。

ただし、職種によっては男女どちらかでなければならないものもありますので、こういった場合は適用外職種として例外的に「女性限定」とすることも認められています。たとえば、俳優やモデルなどの芸術分野や、宗教やスポーツ競技の性質上、男女のどちらかでなければならない職種などが、これに該当します。

「カメラマン急募!」「ウェイトレス募集」?

また、「カメラマン」「ウェイトレス」など、男性または女性のみを表す職種の名称を用いることは、いずれかの性別を差別するものとして法律に抵触する可能性があります。この場合は、「フォトグラファー」「ホールスタッフ」など、男女いずれの場合でも使う名称で表記するとよいでしょう。適切な名称がない場合は、「○○(男女)」などと表現するとベターです。

「定年は女性65歳、男性68歳です」?

男女の定年に差をつけることは、男女雇用機会均等法に違反します。たとえ定年が65歳を超えていたとしても、性別によって定年に差を設けることは禁じられています。

はっきり書かなくても性差別に当たる?――間接差別とは

間接差別とは、「①性別以外の事由を要件とする措置であって、②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、③合理的な理由がないときに講ずること」をいうとされています。
厚生労働省令によれば、「労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの」がこれに当たるとされています。

たとえば、求人広告に「男性歓迎」とは書いていないけれど、「身長170㎝以上の方限定」などの要件が書いてあれば、該当者のほとんどが男性ですから、間接的に女性を差別することになります。ただし、「体力に自信のある人」「ガッツのある人」などの抽象的な書き方であれば、間接差別には該当しないとされています。

一方、いわゆるコース別人事の総合職採用において、「転居を伴う転勤に応じることができること」を要件とする場合も、間接差別に当たるとして禁じられています。 このような間接差別は、募集・採用の段階のほかにも昇進の段階で問題になりますので、注意が必要です。

採用試験でやってしまいがちな性差別

採用選考では、ペーパーテストや面接を通じて、応募者の能力や資質をチェックすることになります。この選考の方法や基準について男女で異なる取扱いをすると、性差別として法律に抵触するので要注意です。

男女でペーパーテストの有無・内容が異なる

どちらかの性別の応募者のテスト内容を簡単なものにしておけば、そちらの応募者のほうが採用基準に達しやすくなります。こういった男女でテストの内容に差をつける方法は、法律に抵触します。
また、そもそもどちらかの性別の応募者についてはテストや面接を実施しない、というケースも差別に当たります。

面接で聞く質問内容が男女で異なる

採用面接の際に、たとえば女性の応募者に対してのみ「実家か一人暮らしか」「結婚の予定はあるか」「結婚や妊娠・出産しても仕事を続けるか」といった質問をする場合があるかもしれません。面接官としては、簡単に辞められてはこまるので、面接で確認しておきたいかもしれませんが、男性の応募者には聞かないような一定の事項について女性にのみ質問することは、法律に抵触します。

男女どちらかを優先して採用する

たとえば、採用試験をした結果、選考基準を満たす応募者が5人いたとします。その中から2人を選ぶ場合に、女性だから(あるいは男性だから)という理由のみで2人を決める、というやり方は差別に該当する可能性があります。また、男女別の採用人数枠をあらかじめ設定しておき、これを明示したうえで採用することも法律に抵触すると考えられます。

結局、男性も女性も採用しなければならないのか?

以上、募集・採用の段階で男女雇用機会均等法に抵触し得るケースをみてきました。
ここまで差別差別といわれると、「男性と女性、どちらも採用しなければならないの?」と不安に思われるかもしれませんが、決してそうではありません。男女雇用機会均等法は、募集・採用のあらゆる段階において男女の性差別を禁止しているのであって、個々の応募者の能力や資質を公平に審査した結果、女性のみ(あるいは男性のみ)を採用することとなったとしても、何ら問題はありません。
なお、自社の具体的なケースにおいて、差別に該当するかどうか不明な場合は、管轄の労働局雇用均等室へ問い合わせてみるのがよいでしょう。

まとめ

均等法をはじめとする法律を守ることはもちろん大切ですが、忘れてはならないのが、「差別を生む・助長するような企業風土の撤廃」です。
「この会社は社員が働きやすい環境なのか?」「コンプライアンスがしっかりしている会社だろうか?」 ――求人広告や面接において、企業は応募者から詳細に観察されています。
逆に、こういった募集・面接の機会にしっかりとした対応をとることで、自社のコンプライアンス意識の高さや職場環境の良さをアピールすることができるのです。このような姿勢が、これからのダイバーシティ戦略を支える基礎として不可欠ではないでしょうか。

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