目標の可視化が人材と組織の成長を促す!人事評価制度の重要性

目次

プロフィール
株式会社HRBrain
代表取締役社長/堀 浩輝
(株)サイバーエージェント入社後、Amebaにて事業部長に就任。以降もAmebaブログやAmebaOwndなど様々なサービスの責任者やエグゼクティブプロデューサーを経験。2016年3月に(株)HRBrainを創業、代表取締役社長に就任。2017年HRBrainをリリース後、「Forbes起業家ランキングRising Star Award」にて3位入賞。

キャリア人材や外国人労働者の採用が進む昨今、年功型の給与体系から個々の能力に合わせた給与体系への見直しが求められています。しかし、まだまだ見直しが進んでいないのが現状です。その原因にあるのが、人事評価制度。これからの時代に合った人事評価制度の導入が優秀な人材の獲得、定着につながっていきます。

今回は、人事評価クラウドサービスを提供する株式会社HRBrainの代表である堀浩輝さんに、個々を評価する人事評価制度が経営にどのような影響を与え、企業成長にどう貢献していくのかを具体的にお伺いしました。

目標設定の問題点

人事評価制度を考えるうえで「目標設定」が一つ重要な要素になるかと思いますが、堀さんはこれをどのように定義付けられていますか?

いくつかの見方があると思いますが、目標設定というのは「目標に対する航海ルート」のようなもので、「大目標に対する因数分解の結果」が企業の目標や個人の目標となります。

中長期で継続的に業績を高めている企業というのは、もちろん「ビジネスモデルが強い」ということも理由として考えられますが、“継続的に”成長をするためには、その目標設定をしっかりと考える必要があります。

目標設定時につまずきがちな問題として、どのようなことが原因であると考えられますか?

第一に、先ほど言った「大目標に対する因数分解」が足りていないことが考えられます。また、目標の制度設計以前に「目標分解力」や「目標達成力」が大枠の問題となっている場合もあります。

経営において、目標達成のための航海ルートや背骨にあたるような部分であるにも関わらず、そもそも制度がなかったり、仕組み化されていなかったりというケースも散見されます。

次に、「目標を効率的に可視化できていない」ということが挙げられます。成果を生み出す組織作りのためには、メンバー個々人が何をどれだけ頑張ればいいのか、どれくらい目標を達成できているのかを一目でわかる状態にしておく必要があるのです。

経営者にとっても、人事にとっても、メンバーにとっても、そこが可視化されていないと意識や執着が下がる原因となってきます。

目標の可視化を妨げる要因はどこにあるのでしょうか?

例えば、役員やマネジメント層の視点から見たときに、ブラックボックスになっている箇所がいくつかあると思います。特に多いのが「メンバーに対するリーダーからのフィードバックが可視化されていない」というケースで、各リーダーに任せきった属人的なマネジメントが目標の可視化を妨げる要因となっていることがあります。

目標設定や評価において、リーダーからのフィードバックというのは非常に重要で、そこがブラックボックスになっていると、そのフィードバックが適切な内容や方法ではなかった場合の改善ができなくなってしまい、メンバーの目標を管理するリーダー陣のマネジメント力も向上していかないので、まずはそこをしっかりと可視化していく必要があるのです。

リーダーがどのようなフィードバックをメンバーに与えるかによって、成長の角度も大きく変わってきますからね。

リーダーといえど育成していかなければならない人材なので、メンバーに対するフィードバックの内容や方法を可視化することは、リーダーを育てるという面においても、また業績の面においても相当なインパクトを与えます。そして、ボード陣がそれらをレビューするという仕組みにすることが大切です。

他にはどのような要因が考えられますか?

もう一つの要因としては、「メンバー個々の目標設定が可視化されていない」というケースが考えられます。一緒に働いているメンバーの目標をオープンにしていないという企業も多いのですが、改めて考えてみたときに、クローズにする意味や必然性はないんです。

例えば、自分のチームの稼ぎ頭のようなスター社員が何を目標としているのかが見えることで、そこにメンバー間でのベクトルが生まれ、社員の目線も高くなります。

つまり、目標の可視化というのは「上から下に」という縦の見方と、「メンバー間で」という横の見方があり、それを誰もがアクセスしやすい形で仕組み化するということが非常に重要なポイントとなってきます。

フィードバックをオープンにすることで、リーダー陣のマネジメント力がレビュー可能になったり、メンバー間の目標をオープンにすることで、より協力や理解を得られやすくなったり。結果的にチームワークの向上につながるなどの効果が期待できると思います。

人事評価制度が経営に与える影響

評価制度が経営に与えるメリットについて教えてください。

経営の観点で大きな話からすると、評価制度というのは「経営陣とメンバーの付き合い方」を言語化・仕組化するようなものなので、そこをしっかりと定義することで、経営陣からのメッセージをメンバーに伝えることができるというメリットがあります。

また、自走できる人材が増えるということも大きなポイントです。HRBrainではメンバーが自分自身で目標設定をすることを基本的に推奨していて、それにより、自分で自分を駆動できるセルフスターター型の組織にシフトしていくことが可能となります。

今後のアップデートでも、そうして溜まっていく個人のパフォーマンスデータをもとに、組織をより効率的・効果的に駆動させ、成果や業績の最大化に結びつけることを目指しています。

能動的に考えて行動できる人材が増えることで、組織が活性化し、経営にも良い影響を与えるのですね。御社のサービスを活用し、実際に企業課題を解決できたという事例にはどのようなものがありますか?

離職率が問題となっていた企業様からは、HRBrainを導入したことで、メンバー一人一人が「自分が何を頑張ったら、どれくらい評価されるのか」という部分の透明性が向上し、結果として、生き生きと仕事ができる環境となったことで離職率が下がったという声をいただきました。

先ほどの「目標の可視化」と合わせて、「評価の可視化」も制度を設計する際の重要なポイントと言えそうですね。

目標設定から評価までの従来のプロセスは、メンバーにとっても上司にとっても非常に煩雑で不透明な作業が残っている部分なので、それらを可視化することで、メンバーの「目標を設定することに対する意欲」や「目標を達成していくことに対する意欲」が向上していきます。

上司としても、部下の目標を評価する本気度合いが上がり、目標設定から評価までのプロセスがしっかりと正しい形で回っていくようになるので、結果として、組織の作業効率化にもつながり、もっと創造的なことに対してそれぞれが時間を使えるようになっていきます。

創業から間もないような中小企業の場合はどのように評価制度を考えればよいでしょうか?

中小企業の場合、評価制度を最初から作りすぎてしまうことが落とし穴になりがちです。最初から大企業のような大規模かつ複雑な評価制度を作りすぎてしまうと、その後の運用ができず、回しきれないという場合が多いので、まずはできるだけシンプルな形で始めてみるというのがポイントとなります。

そこから一周、二周と評価をしていくなかで、自分たちの企業文化・企業価値に合うような制度にブラッシュアップしていくとよいでしょう。

中小企業の課題に対して、今後はどのようなサービス展開をお考えですか?

日本の中小企業が抱える課題としては、一つは「今いる従業員の限られたリソースで最大の成果を出すこと」、もう一つは「採用市場で優秀な人材を集めてくる力を付けること」が挙げられます。

現在HRBrainでは、限られた人材で成果を出すための「目標設定と評価」に重きを置いたサービスを提供していますが、今後は蓄積していく様々なデータを用いて、人材採用に対してより戦略的なブラッシュアップをかけていくような展開を考えています。

可視化された人事評価制度によるデータの蓄積は、企業の成長を促す起爆剤となることが今回とてもよく分かりました。本日はありがとうございました。

目標を可視化し、メンバーの自走を促す人事評価制度に

適切な人事評価制度の有無はメンバーのモチベーションに直結し、組織全体の成果や業績にも大きな影響を与えます。企業が掲げる目標をメンバーに可視化することはもちろん、メンバー個々人の目標を可視化し、マネジメント陣がそれらをしっかりと把握することも重要なポイントです。人事評価制度を改善する際には、「今どこが可視化できていないのか」を考えるところから始めてみるのもよいかもしれません。