「スーパーフレックス制度」とは?導入のメリット・デメリットを解説

目次

働き方の多様性が増えている中、さらに自由な働き方として注目されている「スーパーフレックス制度」。導入している企業も増えているスーパーフレックス制度について、事例を交えながら導入のメリット・デメリットを具体的に解説していきます。

スーパーフレックス制度とは

スーパーフレックス制度とは、既存のフレックス制度をベースにした上で、さらに自由度の高い働き方が可能な勤務形態です。企業ごとに定められている月間総労働時間を満たせば、出退勤時間を自由に設定することが可能というもの。働き方改革が推進される中で、さらに良好なワークライフバランスを実現できる画期的な方策といえます。欧米では、スーパーフレックス制度を活用する企業が多く、「時間」「場所」にとらわれないフレキシブルなワークスタイルを実現しています。近年、日本でも少しずつこの制度を導入する企業が増えており、これからの新しい人事制度として注目を集めています。

スーパーフレックス制度とフレックス制度の違い

スーパーフレックス制度とフレックス制度との違いは、コアタイムの有無です。フレックス制度は、フレキシブルタイムとコアタイムがあるのに対して、スーパーフレックス制度にはコアタイムがありません。これにより、出社しなければならない時間帯がなく、社員ひとりひとりが自分の都合で出社・退社時間を設定して働くことができるのです。

コアタイムとフレキシブルタイムとは

コアタイムとは、1日の中で必ず出社しなければならない時間帯のこと。業種や雇用状況に応じて、企業ごとにコアタイムを設定する時間帯は異なります。一方、フレキシブルタイムとは、社員の裁量で決めることができる時間帯のこと。企業が定めた複数のフレキシブルタイムから、自分の働く時間帯を選べます。

スーパーフレックス制度にコアタイムがない理由

スーパーフレックス制度にコアタイムがない理由は、現代社会のビジネスパーソンが抱える“問題”が関係しています。超高齢化社会へと突入した日本において、介護を理由とした離職者数は年間で9万9000人(平成29年就業構造基本調査より/総務省統計局)に上ります。従来のフレックスタイム制度では、必ず出社しなければならない時間帯があるため、親の介護をすることになった社員は仕事との両立が困難となり退職するという悪循環が続いています。そこで、時間的拘束のあるコアタイムを廃止したスーパーフレックス制度が導入されるようになりました。

コアタイムのない裁量労働制との違い

スーパーフレックス制度と同じくコアタイムのない働き方のひとつに、裁量労働制があります。社員の裁量で業務の進め方や時間配分が可能な点はスーパーフレックス制度と似ていますが、あらかじめ決められた労働時間を働いたものとする“みなし労働制”であるところが大きな違いと言えるでしょう。例えば、“1日8時間労働したものとみなす”と定めた場合、実際の労働時間が6時間であっても、8時間働いたものとみなされます。

また、裁量労働制は大きく分けて「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。専門業務型裁量労働制は、新聞記者やデザイナーなどの高度な専門性を要する全19業務が対象。一方、企画業務型裁量労働制は、企業などの本社にて企画立案や調査および分析を行う業務が対象となり、具体的な業務名称は定められていません。ただし、導入に必要な場所・業務・労働者の3要件をクリアし、かつ労使委員会で多数決(5分の4以上)による議決を経る必要があります。

スーパーフレックス制度を導入するメリット

  1. メリット1:働き方の多様化と優秀な人材の確保
  2. メリット2:長時間労働の常態化を防ぐ
  3. メリット3:仕事のパフォーマンス向上に繋がる

コアタイムのないスーパーフレックス制度を導入することにより、社員は今まで以上に自由な働き方が可能になります。導入企業の中には、出社せずに仕事をするリモートワークを認めるケースも増えてきました。ここでは、スーパーフレックス制度を導入することで企業と社員の双方が得られるメリットをお伝えします。

メリット1:働き方の多様化と優秀な人材の確保

育児や介護など、社員それぞれが抱える事情に対して、固定の勤務時間で働くというのは簡単なことではありません。そこにスーパーフレックス制度を導入することで、家事をした後に出社したり、子どものお迎えに合わせて退社したり、親の通院に付き添う時間の確保なども自由に設定できます。

また、育児や介護を理由に退職せざるを得ない優秀な人材も、自由度が高く柔軟に働ける環境があれば、辞めずに働き続けるという選択をすることができます。これは、多くの企業が抱える離職率の問題解消にも繋がるでしょう。

メリット2:長時間労働の常態化を防ぐ

一般的な働き方の場合、定時以降の勤務は残業となりますが、スーパーフレックス制度を導入することで残業の概念が変わります。例えば、20時に私用の予定がある社員は、そのスケジュールに合わせて出社時間を遅らせるなどの調整ができるようになります。これにより、無駄な長時間労働をすることがなくなり、企業にとっても残業代の削減という恩恵が得られます。

メリット3:仕事のパフォーマンス向上に繋がる

朝の通勤ラッシュや、周囲が遅くまで仕事をする文化が根付いた職場環境などにより、日常的にストレスを蓄積しているビジネスパーソンは少なくありません。そのような生活を送り続けていれば、仕事でのパフォーマンスはどんどん低下してしまいます。

スーパーフレックス制度を導入すれば、朝の混雑をさけた出勤や周囲ではなく自分主体の働き方が可能になり、仕事でも高いパフォーマンスを発揮する社員が増える傾向にあります。健全な働き方によりモチベーションが高まり、生産性の向上にも繋がるでしょう。

スーパーフレックス制度を導入するデメリット

  1. デメリット1:コミュニケーションの低下
  2. デメリット2:外部(顧客)と異なる時間軸
  3. デメリット3:有給消化率の低下

社員ひとりひとりが時間調整を自由にできる一方で、業務の進捗管理や社内の連携が難しいスーパーフレックス制度。導入する上で知っておきたいデメリットについてお伝えします。

デメリット1:コミュニケーションの低下

個々が働く時間を選べるため、社内または部署内のすべての社員が顔を合わせる時間帯は少なくなります。そのため、直接会話をする機会が減少し、マネジメントや業務上での意思疎通が疎かになり、コミュニケーション不足が起こり、それが原因でトラブルに繋がってしまうリスクがあります。

デメリット2:外部(顧客)と異なる時間軸

スーパーフレックス制度を導入する企業はまだ少ないため、一般的な企業が顧客の場合には営業時間が異なるケースがあります。午後から出勤する社員宛に顧客から問い合わせがあった場合の対応策はしっかりと練っておいた方がいいでしょう。顧客への対応不足が続いてしまうと信用を失ってしまうため、職務内容によって慎重に判断する必要があります。

デメリット3:有給消化率の低下

月間で決められた総労働時間内で自分の働く時間帯を調整できるため、午前中に用事があるときに半休を使うのではなく、今月分の時間貯金を消化するというケースが発生します。これは、スーパーフレックス制度を既に導入している企業で起こっている事象で、人事や衛生委員会が有休取得の促進キャンペーンなどで有給消化率の低下を防いでいる企業もあります。

スーパーフレックス制度の導入事例

ここ数年で徐々に導入する企業が増えてきているスーパーフレックス制度。企業規模や事業は異なりますが、導入した某企業3社の事例をご紹介します。

事例1:約1万人の社員がフレキシブルな働き方で生産性を向上

某大手通信会社では、社員の最適な働き方を追求し、生産性を最大化するために2017年からスーパーフレックス制度を導入しました。元々フレックス制度を導入していたので、そこからコアタイムを撤廃した形で約1万人の社員を対象にスタート。個々の状況に応じて働く日時を決められることで、フレキシブルに働くことが可能になり、社員からも好評です。また、育児や介護にあたる社員の在宅勤務制度においても、スーパーフレックス制度と並行して進めています。

事例2:勤怠状況の見える化でコミュニケーションを活性化

遺伝子解析に関するシステム開発などを事業とする某企業では、スーパーフレックスタイム制のデメリットとして挙げられているコミュニケーションの低下を防止する対策を行っています。それが、全社員を対象としたクラウド管理システムの導入です。自分で時間を調整できる分、複雑化する勤怠管理を行う面でも嬉しいシステムですが、さらに全社員の勤怠情報を見られるので、誰がいつ出社しているかがリアルタイムで把握できます。これにより、打ち合わせやマネジメントを行いやすい環境がつくられています。

事例3:時間や場所に縛られない“仕事本位”を実現

インターネット光回線や個人向け映像・音楽配信事業などを展開する某企業では、バックヤードを含めた希望者全員がスーパーフレックス制度を選択できる働き方改革プロジェクトを発足。この取り組みを行った背景は、社員が新しいことにチャレンジする風土をつくるため。決まった時間、決まった場所で仕事をすることが当たり前と考えるのではなく、仕事は時間や場所に関係なくできるもの、つまり“仕事本位”であるというメッセージと共にスーパーフレックス制度を浸透させ、導入後は社員の86%が働きやすさを実感しています。

スーパーフレックス制度を導入するには

スーパーフレックス制度を始める際は、まず労働組合に導入する旨を伝え、労使協定を締結して就業規則を労働基準局へ提出するというのが一連の流れ。ここで重要になるのが就業規則をどう定めるかです。既存の就業規則と異なる条項が増えるので、社員が混乱するケースは大いにあります。この対応策として、ある企業では就業規則の内容を複雑化させないために、労使協定を就業規則の一部にするという方法をとっています。

例えば、「第〇条 労使協定によりスーパーフレックス制度を適用する従業員の始業、終業時刻については、労使協定第○条で定める始業、終業の時間帯の範囲内において従業員が自由に決定できる。」という具合に労使協定と連動させます。

また、自由に働ける一方で総労働時間に対して過不足が生じる可能性があります。そのため、著しい過不足時間が生じないよう努めることを定めた上で、やむを得ず過不足時間が発生した場合の規則として、「1ヶ月で〇時間を超えないようにしなければならない。」などの内容も併せて記載されると良いでしょう。

変化の時代に適したスーパーフレックス制度

個人が裁量をもち、勤務時間や場所を選べる自由度の高い働き方を実現することで、生産性を高める。これが、スーパーフレックス制度を導入する企業が実現したい共通の目的です。ダイバーシティや超高齢化という変化の大きい時代において、個人の働く目的も変化しています。育児・介護などのプライベートと仕事との両立や、男女関係なく幅広い年齢層の方が働く社会を実現するためにも、自由な働き方ができるスーパーフレックス制度は有効だといえます。この機会に、企業と社員の目的に沿った運用が可能かどうか、検討してみてはいかがでしょうか。