【2020年版】今年は改正女性活躍推進法施行の年!労働を巡る法律の改正とこれから

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プロフィール
行政書士/井手 清香
滋賀大学経済学部ファイナンス学科卒業。大手システム会社に勤務後、退職。ライターとして各種記事を執筆。2014年、ライター事務所「ライティングスタジオ一清」を開設。2018年度行政書士試験合格、2019年、滋賀県大津市に「かずきよ行政書士事務所」を開業。法律関連のライター兼現役の行政書士として活躍中。楽しく、分かりやすい法律の記事をお届けするために、日々奮闘中。

2019年は、メディアでも盛んに働き方改革が取り上げられた年でした。働き方改革や労働に関連する法律の中には、2020年にかけて施行されるものがいくつかあります。そこで、今回は2019年に施行された労働関連の法律と、2020年に施行される予定の法律を簡潔にご紹介します。

2019年に施行された法律(一部、中小企業は2020年4月から)

労働時間の規制・管理が厳格化

残業時間に規制ができたという話は知っている方も多いでしょう。時間外労働の上限規制ができました。これまでは36協定を特別条項付きで締結すれば実質的に残業時間は青天井になっていました。しかし、規制が導入されたことで、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)が限度となりました。この法律は、大企業については2019年にすでに施行されています。一方、中小企業は2020年の4月から施行されることになっており、中小企業の対応が急がれます。

さらに、フレックスタイム制が拡充されました。精算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。また、収入が一定額以上の専門職を中心とした高度プロフェッショナル制度が創設されました。

労働時間の適正把握も義務化されました。量より質という働き方の高度プロフェッショナル制度を除いては、全体的に労働時間について厳しく管理するようになったことが特徴的な年でした。

年休の義務化

年次有給休暇取得が義務化されました。年10日以上の有給付与者(企業)は、対象の従業員について、毎年時季を指定して年5日の取得をさせなければなりません。従業員一人あたりの年次有給取得日数が5日未満の企業は、年次有給休暇の取得義務違反になる可能性がありますので、計画的に年休を取るよう取り組みましょう。

外国人雇用関連

新たな在留資格「特定技能1号」

新たな在留資格が創設され、外国人を14分野で正社員として雇用できるようになりました。2018年に国会で「改正出入国管理法」が成立し、2019年に施行されました。 特に注目したいのは、建設業における外国人労働者が今後増えていくだろうということです。実務経験や学歴の必要条件なしに、現場作業をすることも可能です。これまでも建設業は人手不足対策で外国人雇用が例外的に認められてきましたが、特定技能1号の創設によりさらに受け入れが多くなるということです。ちなみに、オリンピックを念頭においた一時的な制度「外国人建設終了者受入事業」については、2020年で終了します。

注意点としては、外国人労働者が受け入れられるのは、14業種のみである点です。次に、文化の違いから雇用契約をする際には十分な説明と相互の理解が必要ということです。というのも、よく理解されないままに雇用契約をしてしまうと、後々訴訟などのトラブルに発展する可能性があるためです。日本人相手でも説明は尽くさなければなりませんが、日本語がよくわからない方に対しては、なおさら気を使う必要があるでしょう。最後に、在留資格の更新が漏れてしまうと、就労できなくなってしまうので在留資格の管理を徹底することが重要です。在留資格に関する法律の改正は頻繁ですので、今後外国人を受け入れようと考えている場合は、早めに在留資格に詳しい行政書士に相談することをおすすめします。

2020年は女性活躍の年!女性活躍推進法改正関連

女性活躍が具体化

これまで、2019年に施行された法律についてご紹介してきました。2020年は女性活躍に関する法律が施行される特徴的な年になります。女性活躍推進法の改正によって、101人以上の一般事業主行動計画の策定、届出及び公表が義務化されます。また、公表義務の項目が追加されます。

女性活躍推進法への適合はお早めに

この法改正に対応するためには、かなりの時間が必要なので現時点からできることを始めなければ間に合わないでしょう。改正法については令和2年6月1日、同法附則第1条第2号に掲げる規定については令和4年4月1日に施行されることが決定されました。 早いに越したことはありません。女性活躍のための数値目標を決め、数値目標を達成した事業主には両立支援等助成金受給などのメリットがあります。今までは「えるぼし」という家庭と仕事との両立を支援するための認定制度がありました。現在えるぼしをお持ちの企業もあると思います。今後は、「プラチナえるぼし」というさらに上位の認定制度が創設される予定です。「えるぼし」認定企業は公共調達で有利になるなどの利点もあります。支援策としては、「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」があります。

いずれにせよ、改正女性活躍推進法へすぐに対応するのは難しいと思われるので、時間をかけて体制を整備していく必要があります。有効に時間を使って準備しましょう。

同一労働同一賃金「パートタイム・有期雇用労働法」

同一労働同一賃金の明確化

2020年4月から始まる(中小企業は2021年4月)同一労働同一賃金は、正社員と非正社員の格差を是正するために設けられた制度です。これまではガイドラインとして、厚生労働省が基準を作っていましたが、あくまでもガイドラインなので強制力はありませんでした。新しい同一賃金同一労働では、労働者の待遇(基本給始め、各種手当など)の差について、不合理かどうかがしっかりと線引きされることになります。企業には、ガイドラインの策定・遵守も求められますし、労働者に対しても待遇について説明をしなければなりません。さらに、労働者と企業の間に紛争が起きてしまった場合に備え、行政ADR(裁判外紛争解決手続き)が整備され、スピーディーに紛争解決に向かうことが可能になります。

未払い残業代の消滅時効が3年に延長

賃金の事項について、労働基準法では2年と定められています。元々は、民法で賃金の請求権が1年で消滅してしまうと決められていました。ところが、2020年に改正民放が施行されることにより、民法の規定は、消滅時効の期間は権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使することができるときから10年のうち、いずれから早い時期となりました。つまり、労働法の規定の方が民法より早い消滅時効となってしまうので、修正することになったというわけです。そこで当面は、3年に延長されることになりました。

今後、賃金の消滅時効は5年まで延長される可能性があります。残業代を支払う側の会社としては、いつまで賃金の請求権が残るのかという点は気にしておくべきでしょう。

まとめ

今回は、2019年に施行された主要な法律の動きと、今後施行される予定の法律について簡潔にご紹介しました。労働時間の規制、外国人雇用、女性活躍など、労働を巡る法律は次々と新しいものが出てきています。問題は、様々な改正にきちんと対応していけるかどうかということです。国は新しい制度に適合しようという企業についての支援策も用意しているので、上手に活用しながら対応して行きましょう。