人事お役立ち

大切なことは、メンバーの話を聴く姿勢。これからのリーダーに必要なこと

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昨今、多様な価値観の人材を活用することが企業に求められています。

そんな状況だからこそ、チームを支える優秀なリーダーの存在は重要です。

では実際に、リーダーに求められているものはなんなのでしょうか?

今回は、株式会社HRインスティテュート代表取締役社長の稲増美佳子さんに「これからのリーダーに求められるものとは?」というテーマでお話を伺いました。

プロフィール:稲増美佳子(いなます・みかこ)さん

Thunderbird School of Global Management(米国サンダーバード大学院) 国際経営学修士。2013年から同校のグローバル・カウンシル・メンバー。 2006年からビジネス・ブレークスルー大学大学院 経営学教授。 1993年HRインスティテュート設立。以降、事業戦略策定支援、ウェイマネジメント支援などの コンサルティングおよびノウハウ ドゥハウシリーズのトレーニングプログラムの開発&実施に携わる。現在はグローバル化支援プログラムの開発・提携を推進中。HRI著作物の主要執筆メンバー。

まずはリーダーの役割について教えてください。

昭和型のリーダーと、21世紀型のリーダーはまったく異なります。昭和の頃はGDPが伸び、市場が拡大している環境下でしたから、リーダーは下に指示を伝えるだけで企業は成長していきました。社内のヒエラルキーに沿って、現場を無駄なく動かす。そうやって組織を率いることが昭和型のリーダーでした。

しかし21世紀になって時代は変わりました。日本の状況を見ても、そんなに市場が拡大しているとは言えません。競合との戦いはますます厳しくなってきています。まったく予期しなかった異業種から競合がやってきたりするような「まさか」な時代に入ったのです。

この時代においてリーダーは、自分がわかっていることが正しく、「あれをやれ、これをやれ」と言うのではなく、メンバーたちが働きがいを持って働いていく環境を作り、お客様一人ひとりに自社が持っているサービスや価値を提供することが求められているのです。

メンバーの意思を叶える環境づくりが大切

21世紀型のリーダーに向いている人と向いていない人はいますか?

誰がリーダーに向いているかを論じる前に、リーダーになりたい人がどのくらいいるのかというところから考えたほうがいいですね。今の時代、リーダーになりたい若手はほとんどいないと思います。「課長になったら忙しくなって、余計責任を持って大変になるだけじゃないか」と思う人も少なくないはずです。

昇給や昇格でモチベートできないからこそ、「リーダーになったら何ができるのか」ということを伝えていくことが重要なのです。企業側はリーダーを育てると言いますけど、一人ひとりがもしリーダーになったら、何をしたいのかということを掴んでいるのでしょうか。「リーダーになることで何がやりたいのか」、「何を成し遂げたいのか」ということに対し、もっと会社側も聴く耳を持つことなのではないでしょうか。

人は皆、「こういうことをやりたい」とか「こういう風な自分になりたい」という目標を持っています。ただ、もしそのやりたいことを諦めさせるような組織や風土だとしたら、上司が部下に「何をしたいか」聴いても答えは引き出せません。

だからと言って、相手のわがままを全部聴くような甘い組織になる必要はありません。ただ、その人がしたいことを実現できる組織をつくっていかないと、リーダーになりたい人は増えません。メンバーの意思を叶える姿勢を人事や経営者が持つことが大切なのです。

リーダーになりたいと思う人が少ないのは、価値観が多様化しているからでしょうか。昔だったら、みんな出世してお金を儲けたいと思うのですが、今はいろいろな生き方が許容されます。

ワークライフバランスを考えたときに、自分はプライベートのほうが大事だと思う人は当然いらっしゃいます。もちろん役職や給料を重視するからリーダーになりたいという人もいます。これから転職をして頑張っていこうという方は、おそらく中途で移ることも、自分が転職をして何か新しいことにチャレンジすることについても、「こうなりたい」という姿があるはずです。

会社として、そういう希望をきちんと聴いてあげれば良いリーダーになる可能性があります。そうではなく、「あなたを採用したのはリーダーとしてやってもらうためなのだから、リーダーとして頑張りなさい」という押し付けでは、相手はなかなか本気になってくれません。リーダーに向き不向きがあるというよりも、本当は誰だってリーダーになれる可能性は持っているのですが、それを引き出せるか否かは会社側にかかっているのです。

人を尊重することが良いリーダーの条件

21世紀型のリーダーが大切にすべきことを教えてください。

ポイントは、人を尊重できるかどうかです。「人を尊重する」といろいろな企業が理念として語っているのですが、本当に人を尊重したコミュニケーションを現場で取れているのかというと、そうでもありません。人を物のように扱うコミュニケーションをしていたりします。「あの子」とか「あの女の子」とか。名前がありますから尊重したほうがいいですよね。

会社がメンバー一人ひとりを尊重しているかどうかは、小さなコミュニケーションの中でも読み取れます。尊重とはわがままを許容することではありません。その人の主体性や可能性を引き出すことです。そんな尊重ができるコミュニケーションの会社であれば、一人ひとりが自分の中にある可能性をきちんと信じて「もっとこうしたほうがお客様のためになるのではないか」とか、「うちのチームもみんな活き活きと働けるのではないか」とか、心の中で思っていることを実現しやすくなります。

それが言いづらい環境になっているのであれば、リーダーや経営層が言いにくくしているかもしれません。だから経営層や上司はメンバーをもっと尊重して「あなたはどう思うのか」ということをちゃんと聴いてあげることが大切です。これが「サーバント・リーダーシップ」と呼ばれる、新しいリーダーとして求められる姿勢です。話を聴く姿勢を持つことで、「ここは自分の意見を表明しても大丈夫な場だ」ということと、一人の人間として尊重されるという経験をメンバーが持ち合えば、もっといろいろなアイディアが出てくると思うのです。そういう議論を活性化できる場を作らないと、お客様のニーズが多様化し、テクノロジーも変化していく中で、一人ひとりが思っていることをすぐに出せない組織はチャンスを失ってしまいます。

逆に、どんなタイプのリーダーが嫌われるんですか?

嫌われるリーダーは手のひら返し、はしご外し、手柄取りをするタイプです。この3つをやったら、だいたい信頼されません。「良いリーダーになろう」なんてことは考えず、とにかく信頼を失うことをしないことを意識するべきです。

リーダーとして部下の行動を変えていくにはどうしたらいいですか?

「過去と他人は変えられない」わけですから、自分と未来を変えるしかありません。部下が何かを変えることに抵抗するのなら、その理由をしっかり聴いてあげる必要があります。そして「もし変えたらこんなに良いことがあるよ」というメリットを見せてあげます。そうすると負の部分は減ってきますから、本人の行動が変わるかもしれません。

もし変化が心底嫌いな部下だったら、その人を無理やり変えることはできません。その場合には、少なくとも信頼されるリーダーになりましょう。「この人が言うのだから聴いてみよう」と思える関係性ができていれば、部下もリーダーの声に耳を傾けてくれるでしょう。「これをやるとこんな価値があるし、こういう考え方をしてみたら自分にとってプラスだよ」、と導いていくことが大切です。

部下の意欲を引き出すには、どんな方法が有効ですか?

安心して話せる相手でなかったら、何が部下の意欲の源泉なのかがわかりませんよね。お金かもしれないし、褒めることかもしれません。人によって意欲を出すモチベーションの源泉は違いますから、しっかり話し合って聴いたほうがいいと思います。

例えば、新しいプロジェクトで最新のテクノロジーを使いたいと思っているのだったら、それを使わせてあげる。長い会議が嫌なら、リーダー自身が時短を提案してみる。とにかく、諦めてイヤイヤ働いている人がいる組織ほど無駄なものはないと思うので。そうならないようにコミュニケーションをしっかりとって改善してあげることが大切です。

丁寧なコミュニケーションが部下を動かす

これからのリーダーに求められるのは、メンバーの話を聴く姿勢。

メンバーの本音を引き出し、信頼関係を築くことで、メンバーそれぞれの主体性を引き出すことができるでしょう。また結果的に強いチームづくりにつながるのではないでしょうか。

本稿を参考に、自社が求める「リーダー」について考え直してみてはいかがでしょうか。

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