人事お役立ち

ワークワイフバランス2.0――80点でもいいから改善し続ける組織を目指そう

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ワークライフバランスの向上を実現した企業として、東京都から表彰された経験を持つ株式会社ダンクソフト。リモートワークやボランティア休暇など様々な施策を導入してきましたが、ポイントは「100点でなくてもいいから改善し続ける組織になること」と代表取締役CEOの星野晃一郎さんは語ります。

そんなダンクソフトではどのような施策を導入し、どのようなマインドでワークライフバランス向上に挑戦してきたのでしょうか。話を伺いました。

下からの意見を吸い上げる

様々な新制度を導入する以前は、どんな課題があったのでしょうか?

星野:2003年頃からいろんなことをやってきました。当時、創業時に作った就業規則を変え、とにかくちゃんとした会社にしようということになりました。月に2回、土曜日の午前中に出社していたり、あるいは土曜日に全社会議を開いていたりと古い体質の会社だったのです。これを何とか改めようと思いました。

弊社はソフトウェアを開発する会社なので、我々のビジネスそのものがクリエイティビティを求められるのです。結局、頭の中で創造的なことを考えてお客さんを驚かせようとすると、社員のモチベーションを上げなければいけないのです。社員のモチベーションを上げようとした時に、簡単なのは給料を上げることでしょうが、そんなに儲かっている会社ではないのでそれは難しい。ではどうしようかと思った時に、社員が働きやすい仕事場を社員たちの発案で作れるような仕組みができれば、本人たちも喜ぶし、経営者にとっても多分メリットがあるだろうと考えました。

そして、2003年に就業規則を社員の発案で変えるところからスタートしました。その中で、例えば産休を3年にしたり、子育て有給を20日分追加したり、あるいはリフレッシュ休暇制度を導入したりしました。リフレッシュ休暇とは、賃金は出ないのですが、会社に在籍したまま最長1年間休める制度です。

2003年というと「ワークライフバランス」という言葉がまだ世間にない頃ですよね。

星野:はいそうです。次にしたことは、四大卒の新卒を採ることです。これは2004年に始めました。狙いとしては、新しく迎え入れた若い人たちの声を会社の中に反映したいということ。それから、立場の弱い人たちの意見には皆さん聞く耳を持つというか、聞かざるを得ない社風があるのです。そういうことを狙って、4月に入った人たちに、翌年の新卒採用のイベントの担当者になってもらいました。そうすると新卒入社した人は弊社のことを一生懸命話すのですが、良いと思って入った会社なのに、あちこちにほころびが見えてくるのです。

そのほころびに気づいた人たちの声を上げていってもらいました。すると、例えば当時はなかった「紙の会社案内がほしい、会社案内を家族に見せたい」とか、他社に外注していた「自社サイトの運営を自分たちでしたい、自分たちの思いを反映させたサイトを作りたい」とか、いろいろな意見が出たのです。

就業規則も改善していく意識を

会社を改革していく中で、特に苦労された点はありますか?

星野:苦労した点としては、やっぱり上の人たちがなかなか変わらないということですね。でも下からの意見には耳を傾けざるを得ない社風があるので、結局は改革を受け入れてくれました。

改革を通してどんな効果が得られましたか?

星野:得られた効果としては、徐々に会社が変わっていって、社員自身が会社を変えられそうだという感触をもってもらったことが大きいです。

就業規則などは経営者もそんなに理解していないものです。「一般的にこうだから、うちもこうしています」という例が多いと思います。最近は副業についても「もともと副業禁止と書いてあるからそうしている」ということが多いのです。

しかし、特に新制度を発案した人は制度のことをよく理解するし、「せっかく作ったものを遂行していこう」という雰囲気で社内全体が進みます。なので、皆さんよく理解して興味を持って「この文言はどういう意味だろう?」ということを意識するようになっています。おかげさまで、いろんなことをしてきているので、毎年何かしら就業規則をいじっています。社員の人たちが理解することによってモチベーションも上がるでしょうし、理解も深まるというのは会社によっても良いことだと思います。

導入した施策とツール

他にも導入した制度はありますか?

星野:最近ではボランティア休暇を導入しました。例えば東日本大震災のヘルプに行く時、1日をひとつの単位として最大10日休みを取れるのです。これも就業規則には書いていませんでしたので、社員が意見を出し合って決めた制度です。社員一人ひとりが意見をきちんと会社に言って、話し合いをします。皆で変えていけるので、「やらされている感」がありません。会社のこともより深く知ろうと思えるのです。

リモートワークも導入しているそうですね。

星野:ある男性社員が、アトピー性皮膚炎が悪化して会社に出勤できなくなったのです。それがきっかけで在宅勤務をスタートしたのですが、結局、海に浸かることでアトピーが治ったのです。人間はもともと自然の中で生まれてきたので、自然の環境が体を良くしてくれたのでしょう。男性社員はそれを契機に、伊豆高原に子どもたちが自然の大切さを遊びながら学べる施設を作りたいというリクエストを出して、それが実現したのです。

具体的には、別荘を買い取ってそこにオフィスを作ることにしたのです。我々はスマートオフィスと呼びますが、いわゆるサテライトオフィスですね。これを実現するのにはハードルがありました。いろんな申請を紙でやっていたり、交通費の精算も紙でやっていたためです。そこで電子申請のフローを社内に導入し、ペーパーレスを実現しました。僕は立場上、承認することが多いのですが、今では電車での移動中などに承認ができるのですごく便利になっています。

導入しているツールについても教えていただけますか?

星野:「Skype for Business」を導入し、本社とサテライトオフィス、在宅勤務者との間で常時接続の状態にしています。その他にはサイボウズの電子認証システムの「kintone」やマイクロソフトのオフィス製品の「Office365」を使っています。

下から声を上げやすいように、何かやっていることはありますか?

星野:「言い出しっぺ制度」と言っていますが、何かやりたいことがあれば声を上げてもらい、結果的には声を上げた人がその担当になります。自分でいろいろなことをしなければいけないのですが、周りがそれをサポートする風土にはなっていますね。

他に評判の良かった施策はありますか?

星野:私たちは全員が在宅勤務やテレワーク勤務を許可されています。普通の会社では、子育てや介護など、何かしらの理由がないとできないと思います。しかし、独身者でも在宅勤務ができるので、その分の通勤時間が削減でき、仕事が終わった1分後から自分の勉強を始めることができるとか、そういったメリットは皆が感じているようです。特に台風や雪の日など、ほとんどの人が出社しませんね。

100点ではなく80点でいい

さまざまな施策を実施されていますが、目に見える効果はあったのでしょうか?

星野:離職率は如実に下がっています。それから、ワークライフバランスの向上を実現した企業として東京都から再度表彰されて以来、中途採用には100名以上の応募者が来るようになりました。全従業員が27名の会社ですから、大きな反響と言えると思います。

また、徳島県にあるサテライトオフィスでは4名が働いているのですが、この6年のうちに6人雇用し、6人赤ちゃんが生まれています。お子さんが生まれやすい環境を作ることが地方にも貢献しているのだと思います。

こうした改革はうまく行く会社とうまく行かない会社があると思います。御社の場合は、どうしてうまく行ったのでしょうか?

星野:ポイントは100点を目指さないことだと思います。80点や90点を目指して、改善し続ける組織になることが大切なのです。

何かをやろうとしてプロジェクトを立ち上げると、「絶対に成功しなければダメ」という話になりやすいと思います。一生懸命にやるのですが、大概のプロジェクトはそんなに簡単にうまく行かないのですよね。でも8割でも成功だと思えば、次のステップに進めるじゃないですか。そういうマインドセットがすごく重要だと思っています。

重要なのは失敗を受け入れること

今回はワークライフバランスの向上を実現した企業として、東京都などから表彰された経験があるダンクソフトの取り組みを紹介しました。チャレンジし続けるためには失敗も受け入れて、「80%うまく行けばそれでよし」と思うことが重要だと星野さんは話します。そうすると、「次に『またやってみようか』というふうな気持ちになれる」と言うのです。失敗を受け入れ、100点でなくてもよいという風土を醸成していくことが何よりも重要だと言えるでしょう。

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