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人材育成における基礎作りを。OFF-JTの手法とメリット・デメリット

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人材育成は、その会社の未来をも左右します。良い人材を採用して終わることなく、トレーニングなどで人材を自社に最適化していくことにより、さらなるパフォーマンスの向上が期待できます。

一般的な人材育成訓練としては、OJT(On-the-Job-Training)とOFF-JT(Off the job training)が挙げられますが、多忙な業務に追われるなかでは、より実務的なOJTがメインになりがちです。新卒者ならまだしも、中途採用ならその傾向はより強まることでしょう。

しかし、優秀なビジネスパーソンを育成するためには、OJTと対をなすOFF-JTが非常に重要。ときに実用性を欠いているように思えるトレーニングも、長期的に見れば、最良のアウトプットを導くための土台作りとなります。

両者の役割の違いをしっかり理解し、効果的に人材開発に取り入れていけるよう、今回はOFF-JTの特徴や手法について学んでいきましょう。

数字から見るOJTとOFF-JTの実情

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実際に部下に仕事をさせながら、上司がスキルを伝え、計画的に部下を導いていく教育訓練がOJTです。これは現在非常に認知度が高くなっており、2016年に厚生労働省がとったデータでは、「OJTを重要視している」と答えた会社が73.4パーセントに上っています。

対するOFF-JTは、通常の業務環境を離れ、研修や外部講座などを通して仕事に必要な知識を習得させるトレーニング方法です。こちらを重要視している会社は、わずか25パーセント程度にしかすぎません。

このような観点から見れば、OFF-JTはOJTほど重要視されていない、ということになります。しかしながら、実際の教育現場においては、計画的なOJTよりもOFF-JTを積極的に行っている事業所のほうが多い、という統計が出ています。

特にこれは「電気・ガス・熱供給・水道業」や「建設業」、「情報通信業」において顕著です。これらの業種では、OFF-JTを実施している事業所の割合のほうが10パーセント以上多いといった結果もあります(正社員を対象とした場合)。

また、正社員以外を対象とした場合であっても、「製造業」以外のすべての業種で、OJTよりもOFF-JTを実施している事業所の割合が多い、というデータが出ています。

この2つをあわせて考えれば、「OJTは多くの業種で重要視されているが、実際に行われている教育はOFF-JTのほうが優勢である」と言えるでしょう。

出典:厚生労働省(平成28年3月29日厚生労働省職業能力開発局)「職業能力開発関係資料集」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000118214.pdf

OFF-JTのメリットとは?

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このようにOFF-JTとOJTは、しばしば対の関係で語られます。OJTには「現場で学ぶことができ実践的である」というメリットがありますが、OFF-JTのメリットは大きく分けて3つあります。

メリット① 体系的に学べる学習機会

OFF-JTのメリットとして大きい1つ目は、「体系的に必要な知識を学べる」ということでしょう。

OJTでは、すぐに使える現場の知識の習得に終始してしまうことも多く、それがどのような意味を持つのかなどを論理的に学ぶことが難しいという問題があります。しかしOFF-JTにおいては、その業務に必要な知識や考え方などを、系統立ててじっくり学ぶことができます。

メリット② 指導者に依存しない教育の均質化

2つ目として、OFF-JTは教育研修という形で行われることが多いため、「指導者の能力による成長度合いのバラツキが起きにくい」というのもメリットと言えるでしょう。

OJTはどうしても、指導者しだいで教わる側の成長度合いが変わるという不確定要素があります。教わる側だけでなく教える側にとっても学びの機会となる一方で、指導者の能力や教え方の相性などによって成長が左右されてしまうのです。

これに対してOFF-JTは、同じ教育からどれだけのものを学べるかは人によって異なるものの、“教える側の能力のバラツキ”という不確定要素は排除することができます。そのため、OJTに比べると成長度合いのバラツキが少なくなるのです。

メリット③ 新たな関係性の構築

3つ目のメリットは、「横の繋がりができやすい」ということが挙げられます。

多くの場合、OFF-JTの目的は、新入社員の教育もしくはマネジメント教育。新たに管理職となった社員や中堅社員に対してOFF-JTを実施している、と答えた事業所も40パーセントに上ります。

事業所の形態にもよりますが、部署が分かれている場合、横の繋がりは希薄になりがちです。自分の上司・部下のみと接する時間が長くなり、“同じ立場にある人”と距離ができてしまうこともあります。

そこでOFF-JTを実施することにより、研修生同士、つまり“同じ立場にある人”同士でのコミュニケーションが生まれます。自然に彼らと会話をすることになるので、横の繋がりを持つことができるわけです。

また、現在OFF-JTを実施している事業所のうち、46パーセントは「外部機関で学んでいる」と回答しています。このように外部機関で学ぶこともあるOFF-JTにおいては、そこで新たな繋がりができ、人間性や知識が広がる可能性があることも利点と言えるでしょう。

※数値は上記で挙げた厚生労働省のデータに基づく

OFF-JTのデメリットとは?

デメリット① 即時性・実践性

一方、OFF-JTにもデメリットはあります。OFF-JTは上でも述べたように、知識などを系統立てて学ぶという訓練方法です。そのため、OJTのような即時性・実践性はあまり求められません。

将来的には役立つ知識や考え方の基本は学べたものの、それを実践で活用する機会がないということもあり得ます。このように、「結果がわかりやすく表れるまで時間がかかる」というのがOFF-JTの大きなデメリットです。

デメリット② 時間の確保

加えて、日々の業務のなかに学びの機会があるOJTとは異なり、OFF-JTの場合は通常業務とは別に教育の機会を設けなければなりません。つまり「訓練自体にも時間がかかる」のです。

デメリット③ 研修コストの捻出

お金を払って勉強させている状態になるため、事業所にとっては「経済的な負担」がデメリットになることもあります。特に外部機関に委託した場合、その費用も発生しますので、実施する前には十分検討をするべきでしょう。

いざOFF-JTを行うとき、どんな手法をとるべきか

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ひと口に「OFF-JT」と言っても、その手法はさまざまです。それぞれの特徴とメリットとデメリットについて見ていきましょう。

① 集合研修

研修を受ける人が会議室などに集まって受けるものです。その場にいる全員に対して同じ知識を与えることができ、グループワーキングやグループトークに非常に向きます。

ディスカッションやシミュレーションを行うことに長けている手法とも言われます。しかし大人数で行うため、ともすれば受動的になりがちです。

② 通信教育

まとめられた要点を、安く、時間が空いたときに学んでいけるのが通信教育。人を集めて行う必要がなく、自席で学習ができるため、移動や場所にかかるコストも必要ありません。効率面でもコスト面でも非常に優秀な学習方法です。

ただし、これはあくまで意欲がある人を対象にするケースに限った話です。意欲がない人にこれを実施させても、まったく勉強をせず、お金と時間の無駄になります。

③ e-ラーニング

通信教育のひとつに数えられる場合もありますが、インターネットで動画などを見て学習し、途中でテストなどをする手法。一度動画を作ってしまえばそれを使いまわせるため、「依頼料が高すぎて毎回頼むことはできない……」というような、非常に高レベルな講師に依頼することもできます。

通信教育と同様に移動や場所のコストは必要ありませんが、この方法も、いくらでも手を抜くことができます。また、組織内でテストの答えが出回るケースも多いようです。

④ 外部講座

外部から講師を招いたり、外部に学習に行ったりします。上で挙げた「外部で学ぶことのメリット」がそのまま生きてきます。新しい観点からものを見たり、広い視野を手に入れたりするためにも役立つでしょう。

反面、自社にぴったりフィットした教育内容であるとは言い難いケースもあり、実践にはあまり役立たないという声が聞かれることもあります。外部講座へ参加させる際は、事前に内容を確認してベストなものを選びましょう。

OFF-JTの計画と効果の検証方法

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最後に、OFF-JTの計画の立て方と、その効果を検証する方法について見ていきましょう。先に述べたとおりOFF-JTは効果が見えるまで時間がかかるため、研修の計画はある程度長期スパンを想定して行います。

まずは参加させたい社員を選び、彼らのレベルをチェックします。理想のレベルとの間にどれくらい差があるのかを確認し、そのあとに「何をすればその差を埋められるか」を考えます。その際、今回限りの教育に終わらせず、一連の人材育成として次にどんな教育をすべきかまで意識して計画を組み立てることが重要です。

手法は基本的に上で挙げた4つのうちのどれかになりますが、扱う内容や講師・教材などについては、レベル差を埋めるために最も適切なものになっているかどうかをよく検討しましょう。

内容が決まったら、それを企画書にして上司に提出します。研修や講座の場合は特に時間を設ける必要があるため、OFF-JTが通常業務を圧迫してしまうことのないようにスケジュールもしっかり考慮しながら実行することが大切です。

なかなか効果が表れにくいOFF-JTですが、どのような変化があったのか見極めるには、カーク・パトリックが提唱した「レベル4フレーム」などの明確な枠組みを用いて検証するとよいでしょう。

「レベル4フレーム」は4段階で効果を測定するもので、まず第1段階では「反応」を見るためにアンケートで研修等の満足度を調査。第2段階では具体的な「学習」の効果を測定するために、試験を実施します。その後は実務に戻ってからとなりますが、「行動」が変化したか(第3段階)、ビジネスの「成果」を出せたか(第4段階)が評価のポイントです。

OFF-JTの要所要所でこれらをチェックし、効果を測定していきます。そして、最終的に理想のレベルまでたどり着けば、トレーニングは成功と言えるでしょう。途中であまりにも厳しい結果が出た場合は、研修の手法や内容を見直す必要があります。

会社と目的に適したOFF-JTで人材の土台を築く

OFF-JTとOJTには明確な違いがあり、またOFF-JTにもさまざまな方法があります。時間などのコストがかかりやすいOFF-JTは、いわばインプットの作業。アウトプットが主となるOJTのように即時性はないものの、優秀なビジネスパーソンの基礎作りには欠かせません。

入社時などに限らず、適切なタイミングでOFF-JTを行うことで、新たな刺激を得たり、日々の業務を冷静に見直したりする機会にもなります。OJTを含め、それぞれの会社・対象者に適したトレーニング方法を選びましょう。

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