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目標管理制度(MBO)とは|評価制度を解説します

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人事担当者は、採用や育成のことだけを考えていればいいわけではありません。各社員の仕事ぶりが正しく評価され、人材が適切なポジションに配置されるように「評価制度」を設定するのも重要な仕事の1つです。

しかし、評価制度の設定はその他の人事業務と比べて、指標や手段が多種多様のため「どの制度が自社にマッチしているのか」を判断するのは難しいもの。

そこで本連載では、各評価制度についての概要やメリット、そして運用にあたり注意すべき点などを解説していきます。連載第2回の今回は、「目標管理制度(MBO)」について見ていきましょう。

筆者:株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント 曽和利光

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して事業を展開。

目標管理制度とは

目標管理制度とは、半年や1年という期間で達成すべき目標を決めて、その目標を満たしている度合いによって段階的な評価をするというものです。

マネジメントの権威であるドラッカーが提唱した「目標による管理と自己統制」(Management by Objectives and Self control)という手法から生まれ、それを人事評価にも適応したものが、日本では一般的に目標管理制度として認識されています。

比較的自由度の高い評価制度であるため多くの企業で導入されていますが、実際にはどのようなメリットや注意すべき点があるのでしょうか。

目標管理制度を導入する3つのメリット

目標管理制度には、以下のようなメリットがあります。

①メンバーの自律的行動を促す

1つ目は「メンバーの自律的行動を促せること」です。この制度を導入することで、メンバーはマネージャーに何から何までお伺いを立てなくてよくなりますし、マネージャーもメンバーの行動の全てを管理する必要がなくなります。なぜなら、目標を立てることでマネージャーとメンバー間で仕事の方針や目線を一致させることができるからです。

また、内発的動機付け(自分がやりたいから、やる)による行動は、外発的動機付け(他人にやらされるから、やる)に比べて、創造性を発揮しやすくなると言われています。

②「改善すべき点」を指摘しやすくなる

一度でも上司をやったことのある方はわかるかもしれませんが、やる気を出させることと、厳しく注意をすることを両立させるコミュニケーションはなかなか難しいものです。特に日本人の場合、他の国民と比較して、マネージャーがメンバーに対してネガティブなフィードバックをすることが苦手な国民であると言われています。

そのため、目標管理制度のような「場」の力を借りることが有効になります。目標について話し合う機会を定期的に設けることによって、マネージャーがメンバーに「改善してほしい」と思っている点を指摘しやすくなるからです。

③評価の客観性が高まる

もう1つのメリットは、「評価の客観性が高まる」ということです。なぜなら、目標の達成基準が明確になっているため、「達成できたか」「できなかったか」を判断しやすくなるからです。

ただし、達成基準が明確であることと、評価される側が納得できることとは別です。文句は言わなくとも納得していなければ、パフォーマンスやモチベーションは下がってしまいます。「達成基準を明確にしたから、日々の細かなコミュニケーションは不要」ということにはならないので注意してください。

目標管理制度の評価結果を、報酬の金額に反映させる際の注意点

前述のようなメリットを期待して、目標管理制度の評価結果を報酬の金額に反映させる企業が多いのですが、一方でこの制度には注意すべき点があります。

①「各メンバーを同じ基準で評価する」ことの難易度が高い

評価結果を報酬に反映する場合、当然ながらその評価は厳密に行う必要があります。しかし、各メンバーがバラバラに立てた目標を元に、同じ基準で評価をするというのは非常に難易度が高いのです。

例えば、普通に考えれば「高い報酬をもらう人=高い目標レベル」「低い報酬をもらう人=低い目標レベル」となるのが自然です。しかし現実には、中途採用で高い報酬の条件で入社してきた人に、いきなり高い目標を要求するのは厳しいでしょう。また、低い報酬の人であれば、相対的に易しい目標レベルを設定しなければいけないわけですが、期待の新人には背伸びした高い目標を求めたいのがマネージャーの本音です。

このように、メンバーの成長フェーズによっては「報酬」と「目標レベル」との間に乖離が生じるケースがあります。それを考慮した上で評価をしなければいけないからこそ、難しさがあるのです。

②評価の「分布」を制限する必要がある

目標の達成度合いを報酬の金額と直結させてしまうと、困ったことが起こる可能性があります。それは、「企業が報酬のために使える予算には限度があるため、高い評価のメンバーが多数いた場合に、予算が足りなくなってしまう」ということです。

そのため、目標設定を明確にしたとしても、最終的には他のメンバーとの相対評価にして評価分布を制限する必要があります。

評価分布は制限せずに、評価に対応した報酬金額の増減を調整するという方法もありますが、結局は同じこと。「せっかく高い評価を取ったのに、昇給額が低い」という不満が発生するだけです。

目標管理制度において、マネージャーには「言語化する能力」が必要

また、目標管理制度を運用するにあたって、マネージャーにはある能力が求められます。それは、目標を「言語化する能力」です。

目標管理制度は、何らかの目標や達成基準を決めて、それができたかどうかで期末に評価するという極めて自由度の高い制度です。「やったかどうか=行動」を目標にしてもいいですし、「できたかどうか=結果」を目標にしてもいい。売上も、人材育成も、何でも目標にできます。

何でもいいというのは、一見運用しやすい制度のように見えます。しかし、目標を設定する側からすると、その自由度の高さゆえに何を設定すべきか路頭に迷ってしまうケースもあるのです。そのため、目標管理制度を導入する場合には、各マネージャーが目標設定のための「言語化する能力」を持っているかを十分に確認しましょう。

まとめ:制度はただのハコ。大切なのは“運用”

目標管理制度はメリットもデメリットもありますが、それはどんな制度でも同じです。特にこの制度は自由度が高いだけに、運用の方法次第で成否がかなり分かれます。

そのため、導入・実施の際には、この制度を使うマネージャーやメンバーの育成コストがかなりかかることを知っておきましょう。よく検討した上で、導入を決めることが重要です。

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