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適性に合わせた人材管理「タレントマネジメント」システム導入のメリットと陥りやすい“罠”とは?

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個々の才能を引き出し、企業内の人事を活性化させる手段として、今注目を集めているのが「タレントマネジメントシステム」。自社の戦略と紐付け、適材の配置やスキルアップ、人材の育成に取り組むことで企業競争力の強化にもつながる一方、導入してはみたものの「うまく利用できていない」ケースも多くあるようです。システムを効率的に活用するために必要なポイントについて考えてみましょう。

従来型の人事考課では、有効な人材活用に限界が?

タレントマネジメントシステムとは、簡単にいえばITをフル活用した人材管理システムのこと。社内の人材発掘から適材適所への配置、そして人材育成の総合的な実現を図るためのツールです。まず欧米での普及が先行し、日本国内ではグローバル展開している大手企業を中心に導入が検討され、広まりつつあります。

従来、日本の企業で人事のIT活用といえば、出退勤管理や給与管理が主体ではなかったでしょうか。これまでの日本企業における人材育成は、通常は採用から研修などを経て、実務では先輩から後輩へのスキルや経験知の伝承によって行われてきました。
そうして蓄積された社員個別の能力の評価は、概ね部署単位で管理され、その詳細な情報は部外者がいつでも自由に引き出せる類のデータではありませんでした。

また、人事考課が全社的に管理されていたとしても、そこに含まれる項目は、人材の発掘や配置、育成を効率的に行うという機能において十分とはいえなかったのではないでしょうか。

適材適所、有用な人材情報が即座に引き出せる体制こそが求められている

ただ、時代の流れとともに顧客の価値観や志向は変化しています。技術革新サイクルの速度アップなどもあってビジネスモデルが変容し、これまでのような部署単位での人材管理では対処できない、新たなビジネス課題も生じるようになってきました。

また、性別や雇用形態、社内でのキャリア意識など、雇用される側の多様化が進み、企業サイドの一律的な人事管理と雇用者の意識がニーズに対して大きな隔たりを生じてしまうこともあります。
つまり、年次管理的な昇進・昇格や画一的な人事育成だけでは、新たなビジネス課題に対処するばかりでなく、社員のモチベーションを高め、それを維持していくのが難しい時代になりつつあるといえます。

こうした現状を打開するために取り組むべきなのが、「社員一人ひとりの志向や価値観を尊重しながら、能力を最大限に生かせる機会の提供」ではないでしょうか。まずは従来のような、「それぞれの社員の能力を把握しているのは部署内の上司や同僚だけ」という状況を変えなくてはなりません。

本社も支社も海外支店も、企業規模が大きくなるほど末端に至るまで全社員の詳細な人事データが一元的に管理され、どんな人材がどこにいて、どのようなスキル・能力を持っているか、何に強みを発揮できるかといったような情報がすぐに引き出せる体制を組んでおく必要があるでしょう。

タレントマネジメントシステム導入! どんなメリットが考えられる?

ここでもう一度、タレントマネジメントシステムを導入することによるメリットを整理してみましょう。組織によってもさまざまですが、大きく分けると以下の3つが考えられます。

今ある人材資源を最大限に活用できる

今、国内の労働人口は減少を続けています。優秀な人材の流出は、多くの組織にとって頭の痛い問題でもあります。

しかし、タレントマネジメントシステムによって限られた人材資源を有効に活用できれば、それは仕事をする側にとってモチベーション向上につながるため、離職される事態は起きにくくなると考えられます。人材を適切に配置し、コストを無駄にすることなくそれぞれの業務に対して高い成果を引き出すことも不可能ではありません。

中・長期での成長を見越した人材育成が可能

人材ごとに蓄積されたさまざまなデータ量に応じ、人材の“見える化”が深化し、全社的に「足りている人材タイプ」と「不足しているタイプ」が判断しやすくなります。

各社員の育成に関しても、経営者や部門長の“イメージ”に基づいた育成プランを押し付けることなく、客観的な人事情報と、その企業の経営戦略とを照らし合わせた中・長期の育成プランを計画・実行できるでしょう。

また、経営者が「○○年後にこの組織のリーダーとして活躍する人材は?」といった中・長期の組織図をイメージし、計画を立てる際にもシステムを利用できます。
社内のチームごとのパフォーマンスや成果に差が生じた際、その原因を客観的に判断しやすいので、組織内の相性やリーダーのマネジメントスタイルの評価にも活用しやすいと考えられます。

経営戦略に適合する採用計画・人材育成の最適化

既存社員一人ひとりを最適な部署・チームに配属し、育成プランを検討することで、おのずと自社に足りない人材像が浮かび上がってきます。そのため、採用計画を立てる際にもタレントマネジメントシステムの活用は効果的です。

全社的な年間採用計画を決める際や、部署ごとに必要な人材の人物像をハッキリさせるなど、新卒採用・中途採用、どちらの場面にも役立てることができるでしょう。

陥りやすい“罠”と“失敗”。導入にあたって注意すべきポイントは?

しかし、システムを活用していく上で、多くの課題も指摘されています。例えば、次のようなケースも報告されています。

①海外展開を機に導入したN社のケース

海外支店の人材も本社に登用できるよう、社員それぞれのスキルなどを詳細に管理できるマネジメント系の機能を備えた大規模人事管理システムを導入。

ところが、N社には従来型の人事考課データはあるものの、ふたを開けてみれば効率的にタレントマネジメントを行うための、入力すべき詳細な個別データ(個人のスキル等)の蓄積がもともと不足していたことが判明。

改めて各部署から情報を吸い上げようと試みたがうまくいかず、システムさえ導入すれば運用できるだろうという上層部の甘い考えから、大金を投じたせっかくのシステムが空回りし続けている。

②歴史の古いF社のケース

人材管理は伝統の方式で、長い間それなりに実のある運用を行ってきたというF社。ただ、それは概ね部署ごとによる書類管理であったため、本社や支店間で人材情報の連携を持つべく、経営コンサルのアドバイスに従ってタレントマネジメントシステムのパッケージを導入。

ところが入力に膨大な時間と労力がかかり、計画は途中で失速。しかも、人事部は従来の慣れているやり方に拘泥し、結局導入したシステムは今のところ無用の長物となっている。

実は、これまでの人事管理に必要なデータと、タレントマネジメントシステムの運用に必要なデータは、必ずしも同じものではありません。①のケースでは、その見通しができていなかったのです。

一方で、導入後にあれもこれもと闇雲にデータを集めてシステムを構築してしまった結果、本来タレントマネジメントに必要なデータをタイムリーに引き出すことができないといったケースも聞かれます。

特に、日本企業がよく直面するのが、旧来の人事管理からの脱却がうまくいっていないことによる問題です。②のケースはそれに相当するでしょう。

タレントマネジメントシステムの導入前に「あるべき人材管理」の議論を

これまでの日本企業の人事管理のスタイルは、個人の能力や状況に応じて全社的に人材の最適な配置・育成を行っていこうというタレントマネジメントの新しい概念とはなかなか合致しにくいものです。つまり、タレントマネジメントシステムを生かすは、この従来型のスタイルから脱却する覚悟が不可欠なのです。

タレントマネジメントの最終的な目的は、経営戦略に沿うように人材戦略を立てるということ。そのためには、それぞれのビジネスに必要とされる人材の経験やスキル、能力を、企業側がしっかりと把握していることが求められます。
単にシステムを導入するだけでなく、従来の人事管理の概念に捉われることなく、事業の成長を支える“本来あるべき人材管理の姿”を明確にすることが重要といえるでしょう。

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