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ニーズの高まる「事業所内保育所」
企業が導入する際に押さえておきたい現状と課題

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ニーズの高まる「事業所内保育所」 企業が導入する際に押さえておきたい現状と課題

企業や病院などが事務所、工場といった施設内に設置する「事業所内保育所」。その数は、この10年で約1,100か所増加し、全国に4,000か所を超える事業所内保育所があります。労働人口の減少や共働き家庭の増加などにより事業所内保育所へのニーズが高まる一方、コストや運営面の問題で導入に踏み切れない企業も多いのが現状です。

企業にとって事業所内保育所を設置するメリットとは何か、導入への負担を軽減するにはどのような方法があるのかなど、今回は事業所内保育所を取り巻く状況やその課題についてご紹介します。

「事業所内保育所」が企業にもたらすメリットとは?

社員の希望に寄り添うブリヂストンの取り組み

タイヤメーカーのブリヂストンは、東京都小平市の技術センター/東京工場敷地内に定員120名という都内最大級の事業所内保育施設「ころころ保育園」を設置しています。2008年6月に開設されたこの保育園は、対象が生後9週目~小学校前と幅広く、保育時間も7:30~18:30(最大21:00まで延長可能)と長いのが特徴です。

職場から近いだけでなく、多様なワーキングスタイルに柔軟に対応する、子供の様子を見られるスペースを設置するなど、社員の要望に沿った運営が心がけられています。こうした努力もあって社員からの評価は高く、2013年度には育児休業からの復職率100%を達成しています。

ブリヂストンは、こうした事業所内保育所の設置を含むダイバーシティ推進への取り組みが評価され、女性活躍推進に優れた上場企業として、2013年度、2014年度と連続して「なでしこ銘柄」に選定されています。「多様な人材を活かすマネジメント力」や「環境変化への適応力」が高く、「成長力がある企業」として経済産業省からお墨付きを得た形になっているのです。

社員だけでなく、企業にとってもメリットは大きい

ブリヂストンの例からもわかるように、事業所内保育所を設置するメリットは、保育所への送り迎えにかかる時間や労力が節減できる、休憩時間に子どもの様子を見に行けて安心できるといった、社員にとってメリットにとどまりません。

「出産・育児」は女性の退職事由の多くを占めますが、事業所内保育所を用意することで「保育所に空きがない」といった理由での人材流出を防ぐことができます。

また、労働人口が減少するなか、新卒採用でも中途採用でも、人材を獲得する際の大きなアピールポイントになるでしょう。男性社員が保育所を利用するケースももちろん想定されますが、女性活用に積極的に取り組む姿勢を示すことができ、企業イメージのアップにもつながります。

企業にとっては負担が大きい?保育所設置に潜む問題点

そうはいうものの、全国の事業所内保育所のうち約6割は病院内の設置であり、企業の設置数は少ないという現状も。企業による導入が進まない理由としては、設置にかかるコストの負担といった費用面の問題にくわえ、安定的な運営をどのように実現するかといった運営面の問題もあります。

なかでも、設置や運営に要する費用は非常に大きく、設置には700万円~4,000万円、運営には年間2,000万円かかるともいわれています。事業所内保育所は認可外の保育所であることから、国からの補助金を受けることができないのも多額の費用がかかる一因となっています。

事業所内保育所に特化した「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」という国の助成金制度もあるにはありましたが、支給要件が厳しいうえ、新たな制度に移行するため平成27年度末で廃止されます。国の動きにあわせて、地方自治体や財団法人で行っていた助成制度も軒並みストップし、様子見の状態にあります。

新たな国の制度は、「企業主導型保育事業」として、待機児童解消することが大きな目的になっているようです。既存の事業所内保育所を広く地域に開放したり、多様な保育サービスを担える事業所内保育所の新設を促したりといった助成内容となる予定です。

目的をはっきりさせて、できる範囲からはじめてみる

こうした国からの助成金を受ける、受けないにかかわらず、事業所内保育施設の設置を検討するなら、まずは「なぜ我が社に保育所が必要なのか?」を突き詰めることが重要です。多額の費用をかけ、さらには直営か委託かの検討をし、保育士・調理師・栄養士を採用するといった運営面の手間をかけてまで保育所を設置するには、それ相応の意義が必要です。

同業者との差別化を図り、優秀な人材を確保するための「採用戦略」とするのか、せっかく育った人材が離職するのを防ぐ「技術力の維持」とするのか、企業によって目的はさまざまでしょう。目的は違ってもそれを明確にすることで、担当者の責任感は強くなり、周囲のサポートも得られやすくなります。

目的が定まったら、実質的な設置・運営の問題に着手することになります。保育所という専門外の施設を企業内につくることに大きな不安が生じる企業も多いでしょう。そこで、まずはできる範囲から試験運用してみるというのもひとつの有効な方法です。

例えば、空いている工場の一角を保育に活用したいと考えているなら、最低限の内装工事と保育に必要なおもちゃや備品をそろえ、一時保育からはじめてみる。徐々に保育時間を長くし、1年間運営して定着したところで本格導入といった具合です。

担当者も保育所を利用する従業員も少しずつその形態に慣れていくという状況をつくり、無理せず導入することを心がければ、必要な費用を最小限にとどめることにもなります。

現場に女性社員を集めるきっかけにも

大手メーカーでは、工場内に保育所を設置する動きも活発化しているようです。労働人口の減少を見込み、男性中心だった職場を女性にもアピールするための施策の一環とのこと。実際に、女性の工場勤務者も徐々に増えているそうです。

このように、人材を確保するうえで予想以上の効果を発揮する事業所内保育所。今後、人材戦略のひとつとして重要な役割をはたす可能性も大きいといえます。

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