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多様な採用が新たな価値を生む! 「ダイバーシティ・マネジメント」のススメ

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今、多くの企業が取り組みはじめている「ダイバーシティ・マネジメント」。よく聞く言葉ではあるけれど、実態を知らない人も多いのでは?
女性活躍推進、ダイバーシティ・マネジメントに関する数多くの研修・講演活動を行っている福井夏子氏にその現状についてお話を伺いました。

日本で「ダイバーシティ採用」が叫ばれるようになったワケ

近年、女性やグローバル人材の活用法など、「ダイバーシティ・マネジメント」についての相談や、講演の依頼を受けることが増えてきました。
ダイバーシティ(多様性)とは「違いがある」「バラエティがある」という意味を持ち、企業においては「多様性ある人材を活用していくか」という考え方のことを指しています。
こうした考え方は、海外、特に北米では20年以上前から研究され、その重要性が叫ばれてきました。

一方、日本企業にこうした考え方が入ってきたのは、6~7年前くらいからではないでしょうか。当時はゴーン氏を招聘した日産のように、トップに外国人を登用する企業が増えており、こうした指導者によってダイバーシティの重要性が説かれ、さまざまな取り組みも展開されていったのです。

しかし、こうした取り組みはまだまだごく一部の企業に限られていて、今のように多くの企業に「ダイバーシティ」という言葉が浸透し、その重要性が急激に広がってきたのは、ここ3~4年のことだと思います。 ちょうど「ライフ・ワーク・バランス」への取り組みが叫ばれてきた時期でもありますので、その点とも関連しているのではないかと思います。

当時はちょうど第二次ベビーブームの時代に生まれた女性たちが、年齢を重ね、自分のキャリアと家庭の分岐点に立たされていました。「子どもは欲しいけれど、自分のキャリアを中断したくない」と考える女性が増えたことで、企業側も女性の活用法や、女性が仕事を続けやすい環境づくりについて、真剣に考え始めた時期でもありました。

こうした背景もあり、日本では「ダイバーシティ・マネジメント」というと、まずは女性活用、続いてシニア、外国人、障がい者といった切り口から取り組みを始める企業がほとんどですね。
そして、2016年4月からは「女性活躍推進法」も施行されます。今よりもさらに各企業が「女性をどう活用するか」「女性を含め、すべての従業員が働きやすい職場」について考え、取り組むこと(=ダイバーシティ・マジメント)が求められているのです。

ダイバーシティ・マネジメントの「メリット」とは?

ダイバーシティ(多様性)には、その次元が2つあるといわれています。

ひとつは性別や人種、年齢、身体的特徴など目で見ればすぐにわかる「表層の多様性」。そしてもうひとつが働き方や育ってきた環境、価値観や感性、経験といった外から見ただけではなかなかわからない「深層の多様性」です(下図参照)。
ダイバーシティ・マネジメントの効果という点から見ると、表層的な多様性はすぐに変化もわかりやすく、その取り組みアピールもしやすいでしょう。しかし、企業の競争力を高めるためには、組織の中にゆっくりと浸透し、影響を与える深層の多様性への取り組みが重要となってきます。

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ではこうした表層・深層両方の面からダイバーシティ・マネジメントに取り組むことで、企業にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。

新サービスや新商品の企画につながった事例

まず、多様な視点や価値観、意見を取り入れることによって、これまで考えもしなかった新たなアイデアやサービス、商品が生まれる可能性があるということです。
例えば60年の歴史を持つ老舗の製菓会社では、経営トップの強い信念のもと、企画開発部門は全て女性を登用、会議においては男性の発言禁止タイムを設けるなど、女性の活躍推進に取り組んだ結果、若手女性が考案した「揚げパスタ」が売上全体の9%を超えるほどの大ヒット商品に成長。
さらに売上の30%を新商品が占めるなど、高い開発力を発揮、APEC女性活躍推進50選、日本企業5社にも選出されています。

このように、従来とは違った考え方、視点、価値観、アイデアを取り入れることで、驚くような成果を生み出しています。

業務改善につながった事例

また、もう一つ言われているのが「生産性の向上」です。
実際に国内の大手食品会社では、やはり「ダイバーシティは経営戦略である」という経営トップの想いから、女性管理職の積極的登用や経営トップと社員との直接会話、ダイバーシティ・フォーラムの開催などに取り組み、その結果、勤務シフト改革により製造原価の削減や生産額の増加、残業時間の削減を実現。
ダイバーシティに取り組む中で、これまでの業務を見直し、さらに「どうしたらもっと働きやすい環境になるか」というさまざまな意見を取り入れ、改善したことでその生産性が大きく向上させたのです。

これまで日本企業では、総合職で採用された高学歴の男性社員がエリートコースに乗って出世し、こうした社員の業務を一般職の女性社員がフォローする――というのが大部分の就業パターンでした。
しかし、一般職として組織を支える女性社員の方が経験も長く、会社のことを理解し、実力のある人もいる。また、定年後、嘱託社員として時短勤務となっているシニア社員には、これまで培ってきた経験があります。こうした価値観・経験を受け入れ、活用しない手はないと思うのです。

自社ならではの「ダイバーシティ」が、新たな価値を生む近道に

ダイバーシティ・マネジメントについての講演などを行っていると、よく「他社の事例を教えてください」という質問を受けます。確かに他社の事例を知り、参考にすることも大切かもしれません。
でも企業の文化や風土はそれぞれに異なります。他社の事例をそのまま取り入れたからといって、同じように成功するとは限りません。それよりも「社員の声」にもっと耳を傾けるべきだと思います。

先に成功事例として紹介した食品会社でも、業務改善の観点から全従業員との面接を実施し、その時に出た意見をもとに時短勤務社員の勤務時間の区分を変更。それが生産性の向上へとつながっています。自分たちの会社名・組織にはどんな問題があるのか、ダイバーシティ・マネジメントに取り組むうえでどういった点が障害となるのか、それは“中からの声”を聴かないとなかなか見えてこないのではないでしょうか。

また、日本企業は「同一性」が重んじられ、“足並みを揃える”ことが良しとされている傾向があります。そのため、子育てとの両立のために部署を異動したり、時短勤務にしている女性が「(他の人に)迷惑をかけている」と思ってしまうケースも多いようです。

しかし、時短勤務は「=迷惑」ではなく、工夫次第では時短勤務でも生産効率を上げることはできますし、今は決められた時間に出勤しなくてもいいフレキシブルな勤務形態を採用して成功している企業もたくさんあります。「○○だからダメ」なのではなく、「どうしたら○○でも活用できる」のか。トップや管理職はもちろん、そこで働くすべての人が意識を変えていくことが必要なのです。

まずは「こうしなければならない」「こうあるべきだ」という固定観念を破る。これがダイバーシティ・マネジメントには欠かせません。社内の声に耳を傾け、自社の“現状”を把握することから始めてみてください。

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