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なぜAmazonには、手当て付きの自主退職制度があるのか?

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米・アマゾンは、Pay to Quitと呼ばれる自主退職制度を導入しています。退職を推進するかのようなこの制度。いったい何のために、どのようなきっかけで導入されたのでしょうか?

AmazonのPay to Quitとは

Pay to Quitの対象となるのは、配送センター勤務の社員のみ。対象社員は年に一度、会社から勤務継続の意思を確認されます。そして退職を希望する場合に手当てが支給されます。その金額は、入社1年目には2,000ドル、その後は毎年1,000ドルずつ増えていき、最高5,000ドルまでとなっています。

この制度は、もともと2009年にアマゾンに買収された靴の通販サイトZappos.com(ザッポス)が始めたものです。ザッポスといえば、徹底的に顧客満足度を追求することで話題となり、米・アマゾンを震撼させる唯一の企業とまで言われました。結果的には米・アマゾンの子会社となりましたが、買収の条件はザッポスに非常に有利なものだったと考えられています。米・アマゾンは、ザッポスのノウハウを取り入れることにしたのです。

「自分が本当は何をしたいのか」考える機会となるPay to Quit

米・アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は「誰にもこの制度を利用してほしくはありませんが」と前置きをしたうえで、Pay to Quit導入の目的について、以下のように株主への手紙につづりました。

「社員のみなさんに、自分が本当は何をしたいのか考えてほしいと思っています。長い目で見て、その仕事をしたくないと思っている人が働き続けていることは、本人にとっても会社にとってもよくありません。」

配送センターで働く人達が、自らの意思で「ここで働きたい」と思って仕事を続けていくこと、それを考える機会をつくることが、Pay to Quitの目的です。

アメリカの経済ニュースサイトCBS money watchは、米・アマゾンが長い間、配送センターで働く社員との関係に悩まされていたことも、この制度を導入した理由と推測しています。

2009年には、15分未満は切り捨てられる時給制度に不服があるとして元社員がアマゾンを訴えました。また2010年にも、シフト勤務や休憩時間の前後に行うセキュリティチェックの時間(1日約30分)に給与が払われないとして、社員が訴訟を起こしています。さらに、非常に暑い倉庫内の労働環境が劣悪であると国の機関に苦情を申し入れた社員もいました。

CBS money watchは、ニュース記事の中で、このような不満を持つ社員との関係を修復するためにもPay to Quitが役立つはずだと、レポートしています。

やる気がない人には、全体に影響が出る前に抜けてもらう

退職を決めた社員に何千ドルも手当てを支払うことにリスクはないのでしょうか? ザッポスが始めた米・アマゾンと同様の自主退職制度の効果について、ビジネス誌Fast Company Magazineの創設者、ビル・テイラー氏がハーバードビジネスレビューに分析を載せています。テイラー氏によれば、ザッポスの場合、退職者に手当てを支払うほうが、社風に合わない人や仕事をしたくない人を雇い続けることよりもコストが少なくてすみます。

さらにテイラー氏は、企業の成功には気持ちのつながりが大切であることを指摘。たとえば顧客満足度は働く人の気持ちで大きく変わってしまうものです。全員が「少しでも早く正確にお客様に商品を届けたい。」という気持ちで働いていなければ、お客様が驚くほど早く商品を発送することはできません。しかし、やる気のない社員がいると、組織全体の動きが鈍ってしまうのです。やる気がない人には、全体に影響が出る前に抜けてもらうべきです。

テネシー州の新聞The Tennesseanに米・アマゾンのスポークスマンが話した内容によれば、Pay to Quitの制度を使って退職をする社員の数は、そう多くはありません。しかし、制度を利用せず職場に残った社員は、自主的に「アマゾンで働き続ける」という選択をしたことになります。その意識の変化こそがPay to Quitのもっとも大きな効果といえるでしょう。

企業に大切にされている社員は、顧客も大切にする

米・アマゾンではPay to Quit以外に、配送センターで勤務する社員が将来のために何かを学びたいとき、学費を95%まで支給するという制度もあります。直接業務に関わる学習に限らず、例えば看護士や、飛行機の整備士になるための学費も支給対象となります。

配送センターというフロントラインで働く社員には、この仕事で家計を賄いながら将来別の仕事に就いてステップアップしたいと考えている人が多いことを、米・アマゾンは理解しています。社員が目標を達成するための手助けをし、その社員が別のことに挑戦したいとアマゾンを離れるときには、手当てをつけて送り出すのです。

「顧客満足度をあげたければ、社員を大切にすること」「企業に大切にされている社員は、顧客も大切にする。」多くの成功企業に共通する法則が、ここでも活かされています。

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