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派遣法 2015年改正のポイントを徹底解説!何が変わる?なぜ変わる?

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第189回通常国会において、改正労働者派遣法が成立しました。9月11日に成立し、同月30日に施行されるという異例の急展開に、驚いた方も多いことでしょう。
報道などで「派遣労働者にとってデメリットしかない」「改悪だ」などという意見が見られる一方で、派遣労働者にもメリットがあるなどと指摘もされていますが、そもそも今回の改正はどういった内容なのでしょうか。
派遣労働者を受け入れている企業であれば、実務への影響も免れない派遣法改正。改正法成立から施行までの周知期間が短く、実際のところよく分からないという方も、ぜひ今のうちにポイントを押さえておきましょう。

労働者派遣とは

労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先のための労働に従事させることをいいます。
雇用関係があるのはあくまで「派遣元事業主と派遣労働者」との間で、派遣労働者と派遣先との間にあるのは指揮命令関係のみです。

労働者派遣のあゆみ

派遣法制定当時

日本で労働者派遣法が成立したのは、1985年のこと。翌年の施行から現在に至るまで、実に30年もの間、労働者派遣という雇用形態が合法化され、運用されてきました。派遣法制定前でも労働者派遣は実態として存在していましたが、不当なピンハネが行われないようになど、派遣労働者を保護する趣旨のもと、当初は13業務(後に16業務)の専門職に限定して認められていました。今では当たり前の「一般事務職」の派遣は、当時は認められていませんでした。

規制緩和の流れ

その後、バブル崩壊等で日本が長期的な不況に陥ると、労働者へ支払う給与を押さえたいという企業側のニーズの高まり等を受けて、規制緩和措置がとられることとなります。
具体的には、1996年改正では、それまで限定されていた対象業務が26業務へ拡大されました。また、1999年改正では、対象業務が原則として自由(ネガティブリスト化)となり、派遣期間が専門業務については3年(自由化業務は1年)となりました。

その後、2000年改正ではいわゆる紹介予定派遣が解禁され、さらに2004年改正では専門業務の派遣期間の制限が撤廃・自由化業務の派遣期間が3年に延長されたほか、製造業務への派遣が(1年間に限り)解禁されるようになりました。
2006年改正では一部の医療関連業務への派遣が解禁され、その後2007年には製造派遣期間が3年間に延長されました。

再び規制強化へ

それまでの規制緩和の流れで派遣労働者市場が急速に拡大する中、2008年9月のリーマンショックに端を発する世界的不況の影響が日本を直撃します。製造業や家電業界を中心とした、いわゆる「派遣切り」が社会問題化したり、年越し派遣村などが注目を集めたのもこの頃です。安易に派遣を認めると派遣労働者の生活が不安定になってしまう、との懸念が生まれ、派遣労働者の保護の視点から、規制緩和から規制強化へと議論がシフトしていきます。こういった派遣労働者保護の要請を受けて、2012年の派遣法改正では日雇い派遣を原則として禁止したほか、離職後1年以内の人材を派遣労働者として再び受け入れることを禁止するなど、さまざまな規制を強化しています。

そして、2015年改正へ――なぜいま改正が必要なのか?

過去に2回も廃案になりながらも、ようやく成立にこぎつけた改正派遣法。2012年に改正されたばかりで、なぜまた改正が必要なの? と思われる方も多いでしょう。
そこで、厚労省が公表している資料「労働者派遣をとりまく現状と課題について」に沿って、現行法の抱える4つの問題点を検討してみましょう。

①特定労働者派遣事業者の抱える問題

派遣事業には、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の2種類があります。特定労働者派遣事業とは、常用雇用労働者だけを労働者派遣の対象とする労働者派遣事業のことで、厚生労働大臣への届出が必要となります。一方、一般労働者派遣事業とは常用雇用労働者以外を派遣対象とするもので、登録型派遣や臨時・日雇い派遣がこれに含まれます。こちらは厚生労働大臣への許可申請が必要となります。実態として、必要な許可要件を満たしていないにもかかわらず、特定労働者派遣事業と偽って一般労働者派遣事業を実施しているなどの悪質な事業者が見られ、これが問題となっているのです。

②不安定な雇用

派遣期間が満了するとその時点で雇止めになる場合が少なくありません。派遣労働者が引き続き雇用されたいと思っていたとしても、継続的に雇われる保証はどこにもないのです。こういった点で、派遣労働は不安定な雇用形態であるといわれています。

③派遣期間の制限がわかりにくい

現状の派遣法では、26の専門業務については期間制限がありませんが、実際にこの26業務に該当するのかしないのかが判断しにくく、雇用の現場では混乱が生じています。

④派遣労働者の多様な働き方へのニーズ

報道などでは「正社員になりたくてもなれない」「不安定な派遣よりも安定した雇用形態にシフトしたい」といった派遣労働者の声が多く聞かれますが、中には派遣労働者として働く道を積極的に選んだ、という人もいます。厚労省の調査によると、「正社員として働きたい(43.2%)」に対し、「派遣として働きたい(43.1%)」というデータがあり、それぞれの雇用形態に応じてそれぞれに待遇の改善を図っていく必要があることを示しています。

2015年改正の4つのポイント

上記の4つの問題点を解消するために、今回の改正法では4つのポイントを掲げました。

①派遣業界の健全化

悪質な業者が横行している実態にかんがみ、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の枠を超えて、すべての業者について許可制とすることにしました。悪質な業者については監督・指導等により、許可を取り消すことができるとしています。また、許可の更新要件に「キャリア形成支援制度を持つこと」を加えました。

②雇用安定措置の義務化

派遣期間を満了した派遣労働者が希望すれば、①派遣先への直接雇用の依頼、②新たな派遣先の提供、③派遣元での無期雇用等のいずれかの措置を講じなければならないとしました。これにより、不安定だった雇用形態を安定したものにシフトしていくものとされています。

③個人単位・事業所単位の期間制限に改める

これまで26業務とそれ以外とで分かりにくかった期間制限が廃止され、業務を問わずルールが一元化されることで明確になります。また同じ人を同じ課へ派遣する場合は上限が3年とされ、課を変えたとしても派遣先事業所全体の派遣労働者について3年の上限が設けられることになります(3年後に期間を延長する場合には、過半数労働組合等の意見を聞いて手続をする必要があります)。たとえば、同じ派遣労働者を東京本社の庶務課で3年間受け入れた場合、引き続き庶務課で受け入れることはできませんので、期間を延長するなら別の課で受け入れることとなります。

④正社員への道を開く・派遣希望者へは待遇の改善を

正社員になりたい派遣労働者については、そのためのキャリアアップ(計画的な教育訓練やキャリアコンサルティング)を行います。そのほかにも、正社員募集に関する情報を提供するなどして正社員への可能性を模索することが設けられています。また、派遣労働者として雇用されることを希望する労働者については、賃金・教育訓練・福利厚生施設の利用の面について、均衡待遇を強化することも盛り込まれました。

審議が紛糾した理由

与野党で激しく対立したポイントが、「雇用の安定」です。今回の派遣法改正により、果たして派遣労働者の雇用は安定するのかという論点で、与野党の考えは真っ二つに分かれました。与党側は派遣労働者の雇用は安定すると主張しましたが、改正に反対の野党は、雇用が不安定になると指摘したのです。

たしかに、26の専門業務に従事している派遣労働者にしてみれば、これまでは期間の制限がなかったのに一律3年の上限が設けられてしまい、3年後には職を失うリスクが出てきてしまいます。与党側は、上記④の雇用安定措置を義務化することで対応できるとしていますが、これが果たしてどこまで実効性があるものか疑問だという声があります。
この義務を果たしているかどうか、厚労省としては厳しくチェックする姿勢を打ち出していますので、運用でどこまでカバーできるかが今後注目されます。

派遣労働者を受け入れている企業の対応

現在、派遣労働者を受け入れている企業としては、派遣元と雇用の方針をすり合わせるとともに、3年を越えて継続的に受け入れる見込みがある場合には、直接雇用に切り替える・または無期雇用派遣に切り替えるなどの措置を講じることとなります。
とくに、その派遣労働者が26の専門業務に従事している場合には、これまでと取扱いが異なりますので、派遣元と今後の継続雇用について十分に確認をするべきでしょう。

今回の派遣法改正については、施行までの周知期間が非常に短かったこともあり、改正内容だけでなく手続面においても施行前からさまざまな批判があったところです。こうした動きを受けて、所轄省庁の厚生労働省ではHPにわかりやすいパンフレットをアップするなど、法律の内容の周知に務めていますので、ぜひ1度内容についてチェックしてみてはいかがでしょうか。

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