人事お役立ち

「義務」から組織を変える「チャンス」に!
ストレスチェックをどう生かす?どう変える?

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2015年12月から実施が義務化(従業員50名以上の事業場の場合)される「ストレスチェック」。もちろんその背景には、メンタルヘルスに不調を抱える社員が増加傾向にあることが挙げられます。
社員一人ひとりが健康に、安心して働くことのできる職場環境をつくることは、経営者の重要な責務の一つ。メンタル不調を未然に防止するためにも、正しい知識・認識による抜本的な対策・対応が求められています。

では、今後、各企業がメンタルヘルスに対してどのような認識を持ち、どのように対策していけばよいのか。そして、メンタルヘルスへの取り組みを生産性の向上へとつなげるためにはどうしたらよいのか。その「打ち手」について考えていきます。

メンタルヘルスの不調は「個人の問題」?

上の表は、全国の従業員10名以上の民間事業所14,000カ所を対象とした「職場におけるメンタルヘルス対策による調査」(2012年3月/独立行政法人 労働対策研究・研修機構)によるもの。この調査からも、企業全体でも約6割、従業員1,000人以上の企業では、実に7割以上が社内に「メンタルヘルスに問題を抱えている労働者がいる」と答えています。

では各企業は、どこにその「原因」があると考えているのでしょうか?

複数回答での調査の結果、注目したいのが「職場の人間関係」(58.4%)、「上司と部下のコミュニケーション不足」(29.1%)、「上司が部下を育成する余裕がない」(5.6%)など、メンタルヘルスに不調をきたす大きな要因として職場での人間関係、特に“上司”との関係性を挙げる企業が多いこと。これは、逆の視点から考えれば、「職場での人間関係、特に上司との関係性を見直すことがメンタルヘルスケアの“要”となる」ともいえるでしょう。

しかし、上の表からも分かる通り、実際にはメンタルヘルスケアにおける職場の「上司」の役割は決して大きいものではありません。定期的な面談などで、積極的にメンタルヘルスケアを行うように指示しているという企業は、全体でも12%程度。25%の企業においては、役割すら定められていない状態です。
メンタルヘルスの要となるのは「上司」であると認識していながら、メンタルヘルスケアにおける「上司」の役割を明確にせず、機能しきれていない――。それは健全な職場環境をつくり、業績を向上させるチャンスを放棄してしまっているようなもの。まずは、普段、上司が部下にどのように働きかけているのか、そしてどのような関係性ができているのかをしっかりと把握し、「日常のマネジメント」を見直していくことが重要です。

上司と部下の関係性を見直すポイントは?

企業のメンタルヘルスは、現場の上司が“要”となる――そう認識したら、まず取り組んでいきたいのが「上司と部下の今の関係性の見直し」と「日常のマネジメント改革」の2つ。上司と部下の関係が健全かどうかを見極め、もしも上司への拒絶感が強いなど、ストレスの基となる関係性が見られる場合は、それを改善していかなくてはなりません。
親切で面倒見がいいといった、いわゆる「いい人」だからといって、部下にとって本当に頼りになる、心から信頼できる上司であるとは限りません。では、部下と「理想的な信頼関係」を築くために、上司に求められる“マネジメント力”とはどのようなものなのでしょうか。4つのポイントを挙げていきたいと思います。

親近感

この人となら一緒に仕事に取り組める、信用できるといったように、人間的に「いい人」だと認識され、親近感を与えられるか。

リーダーとしての指導力

規律を守らせる、業務上欠かせないスキルを身に付けさせるなど、「さすが頼りになるリーダーだ」と、部下に納得させる的確な指導力・リーダーとしての行動力があるか。

パートナーとしての信頼感

部下の仕事に目を向け、足りないときには適切な支援を行う、部下一人ひとりの“強み”を伸ばすなど、仕事のパートナーとしての「この人となら成長できる」という信頼感を築けるか。

使命感醸成力

理念を部下と共有し、「やりたいこと」を見直す機会を与えることでやる気・仕事への使命感を醸成。「この人となら成果を生み出し続けられる」といった共創の関係を築けるか。

 

これらのどれかが一つ欠けただけで、部下は上司に対して抵抗感や、敬遠感といったマイナスの感情を持ち、それがストレスとなって蓄積されてしまう恐れがあります。そのリーダー(上司)に足りないものは何か、それによってメンバー(部下)との関係に“悪玉ストレス”はないか。それを見極め、改善ポイントを探り、的確なテコ入れを行う――。発生するストレスを健全化することで、イキイキと仕事に取り組むことのできる組織が生まれ、業績向上へとつながる理想的な信頼関係(=共創関係)を構築することができるはずです。

上司と部下との「共創関係」をつくるために

X理論

人間は本質的に働くことが嫌いであり、なろうことなら仕事はしたくないと思っている。
強制されたり、統制されたり、命令されたりしなければ、企業目標を達成するために十分な力を出さないものである。

Y理論

人間は働くことが好きになる本質を持っており、目標達成のためなら努力を惜しまないものである。
創造的な能力を仕事上の問題解決に「発揮しようとするもの」である。

これは、アメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーが提唱した人間観・動機付けに関わる2つの対立的な理論をまとめたもの。マクレガーは、このX理論とY理論のいずれの前提に立つかに応じて、以下のようにモチベーション・マネジメントのあり方が異なってくると主張しています。

X理論に基づいたマネジメント

=嫌いなものをやらせるために、指令命令のみ、もしくは嘘でもほめる「仲良しごっこ」のマネジメントを行う恐れがある

Y理論に基づいたマネジメント

=目標の設定、自由裁量の余地など、社員の自己実現を通じたマネジメントによって、個人の主体性を引き出すことができる

上司と部下の理想的な信頼関係(=共創関係)を構築するためには、Y理論に基づくマネジメントを行うことが重要だといわれています。人は、尊重され、自分で考え、そしてリーダーと共有した目標はやり遂げたいと思うものであり、仕事を通じて自己実現ができれば、メンタルヘルス的にも良好な状態を保つことが可能になります。
リーダー(=上司)は、部下に対して「こちらから仕事を与えないと何もやらない」と決めつけたり、「あれをやれ」「これをやれ」と一方的に指示を出すのではなく、Y理論に基づいて「自分自身に目標を掲げさせる」「仕事への意欲を高め、やりがいを感じさせる」マネジメントをするように心がけるべきなのです。それによって、働くことに意欲が持てないといった、いわゆる「X型」の部下の意識も、Y型へと変わり、結果として業績アップ、メンタルヘルスの強化などの相乗効果も期待できます。

これから導入される「ストレスチェック」や、メンタルヘルスへの投資を「義務だから仕方ない」「時間とお金のムダ」だと考えるのではなく、社内にくすぶる“ストレス因子”を見つけ、社内の人間関係や職場環境を改善し、業績向上へとつなげるチャンスだと認識しましょう。メンタルヘルスの問題を克服した企業には、生産性やパフォーマンスの向上など、想像以上の成果・パワーがもたらされるはずです。

「ストレスチェック」を業績向上へつなげるカギは?

「義務だから…」ではなく「業績向上のチャンス」と意識を変える

メンタルヘルスと生産性は密接な関係にあり、健全な職場環境をつくることが業績向上の第一歩であると認識しましょう。ストレスチェックは「現状」を知るための大切なツールなのです。

上司と部下の“今”を知り、必要なら適切な改善を!

企業のメンタルヘルスは、現場の上司がカギを握っていると認識し、上司と部下の関係性にストレスの要因となるものがないか、もし問題点があるときは、人事によるテコ入れなど、改善に向けた対策を。

モチベーションを高めるマネジメントで共創関係を築く

Y理論に基づいたマネジメントで部下に自らの目標を掲げさせ、理念を共有し、仕事への意欲・やりがいを高めることが重要。それによって「この人となら成果を生み出し続けられる」という理想的な信頼関係(=共創関係)を築くことができます。

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