リテンションマネジメントで離職防止!定着率を高めて勝ち抜く組織づくりを!

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採用に力を入れるだけではなく、入社後の定着、戦力化してからも長く働いてもらえる組織づくりが今求められています。そこで効果的なのが「リテンションマネジメント」です。定着率を高め、市場を勝ち抜ける組織づくりに一役買うリテンションマネジメントについて解説していきます。

リテンションの意味とは?

リテンションとは、「保持・継続・維持」などの意味をもつ言葉であると同時に、マーケティング用語では「既存顧客を維持すること」として使われています。リテンションがもつこれらの意味から、HR領域では「人材の維持・確保」を意味する言葉として定着し、従業員が長く働き続けてもらうために行う環境整備の施策や人事管理(マネジメント)に有効であると注目されています。

リテンションマネジメントの定義

リテンションマネジメントは、「企業と従業員との間に良い関係性を構築し、維持させていくこと」であると定義されています。既に欧米諸国の人材マネジメント分野では、優秀な人材が高い能力を長期的に発揮できる環境整備などの具体的な施策として認知され、定着しています。

それを受けて日本国内でも、従業員が長期的にスキルを発揮し、高い生産性を維持できる働き方や環境づくりの必要性が高まり、リテンションマネジメントの導入を検討する企業が増えてきました。

リテンションマネジメントが求められる背景

終身雇用や年功序列など、日本企業の特徴でもあった雇用の在り方は、高度成長期とは異なり、グローバルかつ多様性が求められる時代を迎え、大きく変化しています。さらに、労働人口は減少の一途をたどる中で、優秀な人材を確保することは企業成長における重要課題といえるでしょう。

しかし、これまでの雇用ルールが当たり前ではなくなったことで、転職や副業に関する世間の捉え方も寛容になり、新たな環境やチャンスを求めてフレキシブルに行動に移すことが一般的になりつつあります。そのため、雇用の流動化による人材流失を防止する人材確保の方策としてリテンションマネジメントが求められるようになったのです。

【リテンションマネジメントが求められる要因】

  • 終身雇用の崩壊による定着率の悪化
  • 労働人口の減少による人手不足
  • 転職に対する価値観の変化
  • 副業などによる従業員エンゲージメントの低下

働き方の多様化と人材の流動化による影響

オフィスにいなくても仕事ができるテレワークの拡張や、ポートフォリオワーカーの増加など、自分に適した仕事や環境、条件を求めて働くという選択肢が広がる今、業界にもよりますが、これまでのような雇用関係を継続することは難しいという現状があります。

それによって、競合となる業界や企業間の人材争奪は激化し、優秀な人材を新たに採用することが非常に難しくなるでしょう。つまり、新たな人材確保が難しくなるということは、既存の従業員をいかに定着させるかが需要です。

リテンションマネジメントの目的や重要な理由

リテンションマネジメントの目的は、

・長期的な人材活用

・離職の抑制

この両方を実現することです。

ダイバーシティの観点から、多様性のある働き方が推進される現代社会において、今までのような年功序列による横並びの評価や待遇を維持することが難しい状況にある企業は増えています。

このような変化とスピードが目まぐるしい時代である以上、企業の持続的な成長のためには、優秀な人物の継続的な活躍は必要不可欠。あらゆるコスト面からみても、時間と労力をかけて採用した人材の流出は、企業や人事にとって非常に大きなダメージです。

厚生労働省による「入職と離職の推移」に関する調査では、年間の入職者数が約760万人に対して離職者数は約720万人という結果が出ています。入職と離職の差引を見ても、出入りの激しい社会であることは間違いありません。

出典:厚生労働省「入職と離職の推移

リテンションマネジメントの方法と効果

リテンションマネジメントの導入により、従業員は安定的に組織の中で働く喜びを実感しつつ良好なキャリア形成が図れるようになるでしょう。

企業側も、人材の流出に伴う組織の成長ロスを防ぎ、新たな事業展開などにチャレンジできるマンパワーを獲得できるメリットがあります。

リテンションマネジメントの内容は、企業のステージや従業員ごとに異なりますが、具体的な人事企画や施策について「評価制度」「給与体系」「成長機会」「関係づくり」という4つの観点から、その方法と効果をご説明します。

従業員に裁量を与え成果を適正評価

優秀な従業員ほど、横並びの評価制度ではなく成果に対して評価されることを望む傾向があります。そのため、与えられた機会の中で業務を行うことよりも、個々に裁量・権限を与えることで自ら業務プロセスを構築でき、事業のミッションを自分事化して捉えられる。それにより、従業員満足度が高まり、組織への帰属意識の向上にも繋がります。

役割と成果に応じた給与体系

組織など、何らかの目的を持った集団には、優秀な行動をする従業員と普通の行動をする従業員、そして普通より劣る行動をする従業員が、それぞれ「2:6:2」の割合でいるという262の法則があります。

これは、同じ条件で入社したとしても、組織の中で自然とリーダー的存在の人と従順な人、怠ける人に分かれてくるというものです。そうなった時に、横並びの評価では、労働の対価としての報酬を得られず優秀な層の従業員は不満を覚えるでしょう。

世間一般的な給与水準を把握したうえで、成果に対して公正かつ適正な給与体系に改善することもリテンションマネジメントとして効果的な施策のひとつです。

ジョブチェンジなど成長機会の創出

成長意欲のある従業員の中には、長期的に勤務していくうえで、新たな経験やスキルを習得したいと考える方も少なくありません。

その際、昇格などのキャリアアップを行う企業は多くありますが、他セクションへのジョブチェンジも可能にすることで、従業員の新たな強みやモチベーションに繋がるチャンスを与えられます。このようなチャレンジへの機会を明確に示すことで将来へのキャリアプランや目標が生まれ、従業員エンゲージメントの向上にも効果が期待できるでしょう。

当事者意識を高める関係づくり

組織や部門の運営に関する考え方や具体的な取り組みを従業員も巻き込んで議論することにより、社内コミュニケーションを活性化させ、何でも意見を言い合える社風を目指しましょう。特に、人材活用や経営戦略を熟知した人事とのコミュニケーションが円滑になれば従業員に経営感覚が身につき、従業員同士の関係構築だけではなく、組織への信頼も向上します。

リテンションマネジメントの実施事例

リテンションマネジメントを導入することにより、どのようなケーススタディが生まれるのでしょうか。その具体的な事例をご紹介します。

社内部活動によるコミュニケーション活性化

サイボウズ株式会社は、リテンションマネジメントの施策として「社内部活動」を推奨し、コミュニケーションの活性化を図っています。部活動は複数の部署から5人以上を集めて設立するという条件を設け、組織における横のつながりを強め、部署間の連携をスムーズにすることが目的。

他にも、ライフスタイルの変化に合わせて働き方を選択できる「選択型人事制度」などを導入していますが、特にこの「社内部活動」の効果が著しく、離職率は28%から4%へと改善しています。

ブラザー・シスター制度の導入で悩みを解消

株式会社テイルウィンドシステムは、入社した従業員ひとりに先輩が1年間ついてサポートする「ブラザー・シスター制度」を導入。先輩たちの対応に差が出ぬよう対処法のマニュアルを作成し、負担が少なく効果的な新入教育を実施できるように工夫しています。

悩みを抱える従業員は減少し、ブラザー・シスター役の先輩はマネジメント能力が向上。離職率はほぼ0%という結果に繋がっています。

離れた店舗へも人事部がフォロー役にまわる

主要都市を中心に焼鳥屋を展開する株式会社鳥貴族は、人材を採用した後の育成を配属店舗に任せきりにしていた環境を改善。入社後1ヶ月以内を目途に配属店舗に人事(面接官)が訪問し、新人のサポートをすることで、店舗の負担軽減と従業員のメンタルケアが可能になりました。

また、社長室などを撤去し、本社の全従業員が同フロアで仕事をするスタイルに変更。本社と店舗それぞれの縦と横の壁を払拭するリテンション施策により、人材流出が問題視される外食産業の中でも、低い離職率を実現しています。

人材定着の施策は課題を知ることから生まれる

企業にとって、生命力ともいえる「人材」が、長く働き続けてもらうために必要なリテンションマネジメント。その施策には、汎用性のある内容はあるものの、基本は企業ごとに異なります。なぜなら、離職理由は企業ごと、もしくは従業員ごとによって違うからです。

そのため、まずは自社の従業員としっかり向き合い、どのような課題があるのかを精査する必要があります。実は、そこであぶりだされた課題解決の施策こそが、リテンションマネジメントなのです。

コミュニケーションの活性化を図ることによって解決できる課題もあれば、評価体制や待遇面の改善が必要なケースもありますが、取り組むべき優先順位をしっかりと見定めたうえで、ぜひ自社オリジナルのリテンションマネジメントを見つけていきましょう。