退職証明書と離職票の違いとは?退職時に会社が発行する書類の活用法

目次

これまでの日本型雇用システムとして定着していた終身雇用制度が崩壊し、人材の流動化が加速する昨今。

厚生労働省が発表した令和元年上半期の離職者数は461万5700人に上ります。企業にとって従業員が離職することは決して喜ばしいことではありませんが、新たなチャレンジへと進むことを目的としたポジティブな転職理由も増えているため、良好な関係のまま送り出すことが重要です。

そのため、人事をはじめ、企業側が退職時の対応に関する知識やノウハウを蓄えることは必須といえます。そこで、従業員が退職する際に発行する書類である「退職証明書」と「離職票」について詳しく解説していきます。

出典:厚生労働省「令和元年上半期雇用動向調査結果

離職票と退職証明書の違い

退職手続きに関しては、従業員が次に入社する転職先が決まっている場合と決まっていない場合で異なります。例えば、転職先が決まっている場合は、「社会保険の資格喪失届」「雇用保険の資格喪失届」「住民税の変更手続き」などの手続きが生じます。

一方、転職先が決まっていない場合は、退職者の希望に応じて国民年金・健康保険の加入手続きで必要な「退職証明書」の発行や、失業手当受給に必要な「離職票」(正式には雇用保険被保険者離職票)の発行手続きなどを会社側が実施します。

退職証明書とは

退職証明書は、会社を退職していることを証明するための書類です。利用目的は、離職票がまだ手元にない場合に、その代わりとして失業給付や国民健康保険の手続きに使用されることが多い傾向にあります。また、退職者の転職先が決まっている場合、その企業から事実確認のために退職証明書の提出を求められるケースもあります。

ハローワークなどへ提出する書類とは異なり、退職者から希望があった場合に労働基準法第22条に則り、企業側に発行義務が定められているため、公文書としての扱いにはなりません。

離職票とは

離職票(雇用保険被保険者離職票)とは、退職者が失業給付金を申請する際に必要な書類です。失業手当の申請を退職者が希望した場合に、会社側がハローワークに離職票の交付手続きを行う必要があります。ただし、離職以前の2年間で雇用保険の加入期間が1年以上あるなどの要件があるため、退職者によっては対象にならないケースがあることを覚えておきましょう。

また、「離職証明書」を企業側が準備する必要があります。この離職証明書は、ハローワークから離職票の交付を受けるために必要な書類で、ハローワークへの提出用・企業側の控え・退職者に渡す離職票の3枚複写式となっています。

退職証明書を発行するには

離職票と同様に、退職証明書も退職者が希望する場合にのみ企業側が発行する書類です。そのため、全ての退職者に対して発行する義務はありません。しかし、退職者から求められた際は即座に発行しなければならず、理由なく拒否するなどの対応をしてしまうと労働基準法違反として罰せられるため注意が必要です。

また、離職票や離職証明書のように記載すべき項目が定められていないため、必要事項を企業側で事前に決めておくことをおすすめします。

※離職証明書とは退職者が離職票を請求するために事業主(企業)が作成・交付する3枚複写の書類です。その内訳は、1枚目が事業主控、2枚目がハローワーク提出用、そして3枚目が雇用保険被保険者離職票-2となります。

退職証明書はいつ発行するのか

退職証明書が必要となるタイミングは、国民健康保険と国民年金の加入手続きを行うシーンが挙げられます。

これら国民健康保険と国民年金の加入手続きは、公文書である離職票があれば対応可能なのですが、ハローワークを経由する離職票の発行に時間がかかる場合に、退職証明書を提示するというケースが多いです。

また、退職者の転職先がすでに決まっている場合などは、入社する前に退職証明書の提出を求められるケースもあります。理由は、履歴書に嘘偽りがなく確実に入社できる状況であるかどうかの確認や退職理由を確認するためです。

その場合も、退職者から書類作成を求められたタイミングで速やかに発行しましょう。ただし、退職から2年以上経過すると退職者から発行を要求されても、企業側が発行する義務はなくなります。

退職証明書の書き方

基本的に退職証明書の書き方は企業によって自由に設定できますが、企業と退職者との間で合意のもとに作成される証明書であるため、最低限必要な記載事項を押さえておくと安心です。

一般的に記載されている項目は「退職年月日」「勤務期間」「業務の種類」「役職・地位」「賃金(収入)」「退職理由」などが挙げられます。ただし、これらの項目をすべて網羅すればいいというわけではなく、従業員が請求した内容のみ記載するというルールがあります。

つまり、退職者が求めていない事項を記載してはならないということなので、しっかりと必要項目をヒアリングしておくことが重要です。

離職票を発行するには

離職票は、大前提として退職者が必要である場合のみ発行する書類になるため、まずは退職する前にしっかりと必要であるかどうかのヒアリングをすることが重要です。こうした事前確認を行っておくことで、発行までの手続きをスムーズに進めることができるので、企業側にも退職者にも良いことしかありません。

では、離職票を発行するにあたって、具体的にどのような流れがあるのかを説明していきましょう。

離職票はいつ渡すのか

まずは、退職者から企業側に離職票発行の依頼が来ます。タイミングとしては、退職が決まったらすぐに発行手続きを進めることが後々のやり取りをスムーズに行うためのポイントといえるので、退職者にも事前にアナウンスしておくと良いでしょう。

その後、企業側で離職票の発行に必要な離職証明書の書類を準備し、各項目の必要事項を企業側が記載したうえで退職者に渡します。その後、必要事項の記入と捺印を経て再度企業側にバックしてもらいます。

次に、退職日の翌日から10日以内に企業からハローワークに離職証明書を送り、手続きが完了すると「離職票-1」「離職票-2」のそれぞれが発行されて企業宛に送られてくるので、退職者には郵送で送るケースがほとんどです。目安としては退職後10日以内で発行されると考えておきましょう。

当然、期日までに離職証明書の提出を怠ると雇用保険法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金という重い罰則が科せられます。これらのトラブルを起こさないためにも、企業側は担当者の手続きに関する知識やスケジュール管理を徹底することが重要です。

離職証明書の書き方

ハローワークから発行される「離職票-1」「離職票-2」において、「離職票-1」はハローワークにて記載された内容であるため、企業側で記入が必要なのは「離職票-2」の複写元である離職証明書です。

離職証明書は左右で記載内容が分けられており、左側には企業側が従業員に支払った1年間の賃金を記載する項目で構成されています。もし退職者の勤続年数が1年未満の場合は、斜線などを引いて対応しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス「記入例:雇用保険被保険者離職票−2」(様式第6号)

注意点は、賃金には賞与や退職金などは含まれないこと。また、賃金額の項目にあるAとBとは、Aが月給でBが日給になるので、記入する際は気を付けてください。右側には従業員の退職理由を記載する項目になっているので、企業側が記入した後に退職者から記載内容に同意を求めつつ署名と捺印を行います。

退職時の対応は企業の評判を左右する重要なポイント

従業員の退職は、企業にとって大きなダメージといえますが、終身雇用が崩壊しつつある今、人材の流動化に備えて退職時の必要な手続きや書類関連の知識を高めることは重要なことです。

新たな人材を確保する際も、退職者による口コミなどが大きく影響する時代でもあるため、退職者に対する対応にも気が抜けません。

退職証明書や離職票の発行にあたって企業側がスピーディーに対応することは、退職者が次に進むための大切な一歩を支えることにもなり、ゆくゆくは企業側の評価にも繋がります。

それは、中長期的にみれば企業側にとってもメリットになることなので、ぜひこの機会に各種手続きについて知識を高め、いざという時のための体制を整えておきましょう。