テレワーク9つのメリット!企業と就業者に及ぼす効果とは

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働き方改革の一環として、総務省が関連省庁と連携して進めているテレワークの普及促進。企業のテレワーク導入率は少しずつ増えており、今後さらに拡大していくでしょう。一方で、導入を検討しているものの、メリットを見出せずに躊躇している企業が多いのも事実です。そこで、今回はただ流れに乗ってテレワークを導入するのではなく、導入することで企業側と就業者側の双方にどのようなメリットがあるのかをいくつか抜粋してお伝えしていきます。

企業がテレワーク導入で得られる5つのメリット

離れたところ(tele)と働く(work)の意味をもつテレワークは、ICT(情報通信技術)を活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を可能にします。近年、このICTは革新的な進化を遂げており、パソコンだけでなくタブレットやスマートフォンなどの端末でもテレワークを実施できるようになりました。そのため、以前に比べて企業が導入しやすい傾向にあり、得られるメリットの幅も広がっています。

メリット1:生産性の向上

総務省が2019年5月に公表した企業の通信利用動向調査によると、定型的業務の効率化(生産性)の向上を目的としてテレワークを導入した企業は全体の56.1%と過半数を占めている状況。これは、多くの企業がテレワークの導入によって、業務の効率化と生産性の向上を見込んでいるという表れでもあります。

生産性の向上に有効である理由として最も大きいのは、柔軟な働き方を実現できること。テレワークは働く場所により、自宅利用型の「在宅勤務」、施設利用型の「サテライトオフィス」、移動中や出先で行う「モバイルワーク」という3つのスタイルに分類されます。

「在宅勤務」は自宅にいながら会社とインターネット(チャットなど)や電話、ファックスなどで連携した働き方で、「サテライトオフィス」は勤務先以外のオフィススペースにてパソコンなどの端末を利用した働き方です。今まで社内で対応していた突発的な打ち合わせや雑多な業務、顧客対応や定例の会議などがないため、自分の業務が中断されることなく集中力を持続できることから生産性の向上に繋がります。

場所を選ばない「モバイルワーク」は、空き時間を利用して、移動中の電車や顧客先、コワーキングスペースやカフェでパソコンやスマートフォンなどの端末を使用した外勤型のテレワークです。今まで無駄に過ぎ去っていた時間やすきま時間を活用できるため、非常に効率的かつ生産性の高い働き方といえます。

※出典:総務省「平成 30 年通信利用動向調査の結果

メリット2:優秀な人材の確保・離職防止

ダイバーシティの観点から多様性が求められ、グローバル化が進む社会への適応力が企業に求められています。そんな時代の中で柔軟な働き方を与えてくれるテレワークは、効率的にパフォーマンスを発揮できる働き方を望む、優秀な人材の確保や離職防止にも期待できます。

企業にとって、人材の確保や離職率の低下は事業を発展させる上で必要不可欠。特に優秀な人材へのアプローチで重要なのは、安定した経営基盤や給与、福利厚生だけではなく、柔軟な働き方ができるかどうかです。そのため、テレワークを導入していることは、自ら計画して自律的に働きたい人材にとって魅力的なPRになるのです。

また、プライベートで家族と過ごす時間や自己啓発などの時間が増えるため、仕事と生活の調和がとれ、ワーク・ライフ・バランスに大きく貢献します。その結果、既存の社員が結婚や育児、親の介護といった人生の転機を迎えた際にも、退職せずに仕事を継続する選択肢が生まれ、「自社で働くことの意義」を見出すことができるでしょう。

メリット3:コスト削減(ペーパーレスなど)

テレワークは、企業のコスト削減にも大きく貢献します。社員は通勤せずに自宅で働けるので、交通費(定期代・移動代など)のコストは減少。また、オフィスのコスト削減としては、書類の共有や情報伝達の手段がデータや音声になることにより、ペーパーレス化を実現。紙や印刷にかかるコストや保管するために確保していた場所も不要になります。

さらに、オフィスのスペースを拡張することなく人員を増やすことができるので、本来であれば軽減が難しい家賃などの固定費を抑えることも可能。ちなみに、平日すべてをテレワークにするのは難しいという企業は、対象となる社員ごとに曜日をずらしたり、フリーアドレスにしたりと工夫することで柔軟な対応ができます。

メリット4:事業継続性の確保(BCP)

多くの市区町村に影響を及ぼす地震や台風などの自然災害や、パンデミックを起こすウイルスや感染症などは、いつの時代も経済に大きなダメージを与えます。それらの緊急事態に備え、企業が事業の継続に関して実施する対策「BCP(事業継続計画)」においてもテレワークは有効です。

リスクヘッジの一環としてテレワークを導入しておくことで、自然災害などにより交通機関や人々の移動が制限されても、社員が在宅での作業に慣れていれば、生産性を維持することができます。感染症が大流行した時は、ウイルスなどの感染リスクや周辺への拡大回避に繋がり、地域社会に貢献しつつ損益を最小限に抑えた状態で事業を継続できます。

特に震災は事前に予測することができません。テレワークを通じて、日頃からICTに関するナレッジマネジメントやWEB会議などの活用方法を蓄積していれば、いざという時に社員の安全を守り、迅速かつ有益な対応ができる企業としての強みになるでしょう。

メリット5:採用手法の多様化

テレワークの導入により、ITのインフラ整備などが進むことで、これまでの採用手法にも新たな価値を与えてくれます。そのひとつがオンライン面接や説明会です。一部のIT系・グローバル企業やベンチャー企業では、Webによる面接などは実施されていましたが、多くの企業は対面による面接や会場を用意して行う説明会が主流でした。しかし、社内でのテレワークが進み、オンライン上でのコミュニケーションに慣れることで、PC越しに行う面接でも自社のアピールや質疑応答がスムーズに行えるようになります。

特に、新卒採用などを実施する際には、地方に住む学生にわざわざ時間をかけて来社させることなく、一次面接などを行えるため、移動にかかる交通費や場所の確保など、さまざまなコストを削減できます。また、これから主流になりつつあるテレワークに対して、オンラインシステムやWeb会議などに柔軟な対応ができる求職者を見極める上でも、オンライン面接や説明会はひとつの採用基準となり得ます。

中途採用においても、まだ退職していない求職者にとって、オンライン面接はスケジュールの確保がしやすいため、好印象に映ります。より優秀な人材を採用するには、こうした柔軟な対応が競合との差別化につながるでしょう。

就業者がテレワーク導入で得られる4つのメリット

テレワークを導入することにより、社員は今まで以上に自由な働き方ができます。近年では、大手企業やIT系のベンチャー企業だけではなく、一般の中小企業でもテレワークを導入または検討するケースが増えてきました。ここからは、それらの企業で働く就業者が得られるメリットをお伝えしていきます。

メリット1:多様で柔軟な働き方の確保

場所を選ばずに働くことができるテレワークは、引っ越しや地元へのUターンなどにも有効です。業務内容によりますが、転勤などをせずとも業務が継続できるため、結婚やマイホームの購入時に仕事面で抱える悩みが解消されます。

厚労省の調査によると、若年労働力人口(15~34歳)は、2007年の2,035万人から2017年は1,711万人と10年間で約320万人も減少。さらに2040年には1,364万人になると予想しています。このことから、若年層に限らず幅広い年齢層に向けた働き方の改善策は急務と言えるでしょう。その点でも、テレワークは優れた能力とノウハウをもつ高齢者や障がいのある方たちの就業機会を拡大することができ、労働力を確保する上でとても有効です。

※出典:厚労省「若年者雇用対策の現状等について

メリット2:仕事と育児・介護・治療の両立

育児や介護期にある就業者にとって、通勤を必要とする働き方では時間の制約があり、継続して働き続けるのはとても大変なこと。しかし、テレワークの推進により仕事との両立ができるようになったという事例が増えています。

小学校 2 年生と 0 歳児のお子さんがいる方の例では、3歳未満の子供をもつ労働者が対象の「育児短時間勤務制度」を利用し、毎週水曜日にテレワークを併用。この働き方により、週 1 日のテレワークでも通勤時間が削減され、ストレスや疲労の軽減と仕事面での生産性向上を実感できているそうです。

母親の介護を目的として週1日(月曜)テレワークを利用している方の例では、土曜から月曜までを実家で過ごすことで病院への送迎や話し相手をする時間が増え、介護の内容が改善。また、テレワークで時間的なゆとりが生まれ、兄弟の介護負担も軽減できたとのこと。

持病がある方も、通勤時間を削減できることで、日々の業務と定期的な診察とのタイムマネジメントが容易になるでしょう。このように、すべての就労者が直面し得る育児や介護、治療に対応できるテレワークは、働き続けるという選択肢を与えてくれます。

※出典:厚労省「テレワーク活用の好事例集

メリット3:通勤時間の削減

会社に通勤する必要がないテレワークは、通勤にかかっていた時間を仕事やプライベートの時間に充てることができ、効率的なスケジュール管理ができます。

ビジネスパーソンの多くは、職場への勤務が当たり前という生活を送っており、朝の通勤ラッシュや周囲に合わせた行動が根付いている状況。しかし、知らぬ間にストレスは蓄積されており、仕事でのパフォーマンスが低下してしまうケースも少なくありません。

健全な働き方をする上でも、通勤に費やしていた時間を趣味や睡眠などの休息時間として確保することで、ストレス削減に繋がり集中力を高めることができるでしょう。

メリット4:日々の業務効率化を促進

テレワークに適した職業に就いている方は、今までの働き方では実現できなかった業務の効率化が期待できます。例えば、事務職の方は基本的にひとりで作業することが多いので、リモートにスイッチしやすく電話応対からも解放され、業務に集中できる時間が大幅にアップします。

システムエンジニアやプログラマー、WEB・DTP関連のクリエイターなどは、最もテレワークに適した職種といえるでしょう。どれもPCに向かう時間が多くひとりで黙々と作業を進めるので、周囲のペースに左右されずに自分のペースで仕事を進められるテレワークは、環境面で非常に効率が良いのです。また、仕事の成果が分かりやすいため、フレキシブルなタイムスケジュールを組み立てられるところも魅力。

バックオフィス系の職業ではありませんが、営業職もテレワークに適した職業のひとつです。営業という仕事柄、外回りがメインで社内にいる時間が少ないという傾向があります。テレワークは、会社に出社する必要がないので、自宅から顧客先に訪問することができます。会社に戻る必要がないため、移動にかかっていた時間を情報整理や企画書の作成などに充てられる、効率よく仕事を進められます。プライベートに使える時間が増え、健全な働き方を実現できます。

テレワークは企業価値を高める

企業と就労者それぞれにとって、テレワークを導入するメリットは沢山あります。テレワークには、在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイルワークと3つのスタイルがありますが、どのスタイルにも共通しているのは、会社に出社しないこと。満員電車から解放されるだけでも、ストレスや疲労が軽減され、社員は高いパフォーマンスを維持できるようになるでしょう。その結果、エンゲージメントが向上して、企業に対する愛着や感謝が増える。つまり、社員が働きやすい環境づくりによって、企業価値の向上に繋がります。テレワークの導入を悩んでいる企業は、これらのメリットを踏まえた上で検討してみてはいかがでしょうか。