2020年6月施行「パワハラ防止法」企業が気をつけるべきポイントとは?

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プロフィール
行政書士/井手 清香
滋賀大学経済学部ファイナンス学科卒業。大手システム会社に勤務後、退職。ライターとして各種記事を執筆。2014年、ライター事務所「ライティングスタジオ一清」を開設。2018年度行政書士試験合格、2019年、滋賀県大津市に「かずきよ行政書士事務所」を開業。法律関連のライター兼現役の行政書士として活躍中。楽しく、分かりやすい法律の記事をお届けするために、日々奮闘中。

「うちの会社は社員の仲が良いので、パワハラ(パワーハラスメント)は関係ない」、「パワハラが起きたことがないので、今のままで大丈夫だろう」と思っていませんか?

2020年6月1日から、「パワハラ防止法」(正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)が施行されました。今回は、施行にあたり企業が気をつけるべきポイントを解説します。

パワハラ防止法が施行された背景

近年、パワハラが問題視されるようになってきたことを踏まえ、2019年5月29日に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が参議院本会議にて可決、成立しました。この法案の中には、

  1. 女性活躍推進法
  2. 労働施策総合推進法
  3. 男女雇用機会均等法
  4. 労働者派遣法
  5. 育児・介護休業法
の、5つの法改正が含まれています。

この5つの法改正のうち、「労働施策総合推進法」の第30条の2に、パワハラを防止するための規定ができたことにより、「パワハラ防止法」と一般に呼ばれるようになりました。

厚生労働省は、パワハラの他にも、セクハラ(セクシュアルハラスメント)やマタハラ(マタニティハラスメント)の対策についても講じるよう企業に求めています。ちなみに、セクハラについては「男女雇用機会均等法第11条」が根拠法令となり、マタハラについては、「男女雇用機会均等法第11条の2」と「育児・介護休業法第25条」が根拠法令となります。

このように、より良い職場環境の実現に向けて、パワハラだけでなくセクハラやマタハラなどの対策も含めて、予防策や対応策を講じるべきであるとしています。

そもそもパワハラとは何か

そもそも、パワハラとはどのようなことを指すのでしょうか。ここではパワハラの定義について詳しく見ていきましょう。

厚生労働省によるパワハラの定義

厚生労働省の公表した文書によると、パワハラは以下のように定義されています。

「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については 、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。」
出典:厚生労働省|厚生労働省告示第5号労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

具体的には、たとえば以下のような行為がパワハラに該当すると言えるでしょう

  • 殴打、足蹴りや相手にものを投げる
  • 人格を否定する
  • 他の従業員の前で大声で繰り返し叱る
  • 能力を否定したり罵倒したりする内容のメールを社内で回す さらに、以下のような行動も、パワハラの一種です。
  • 過大な要求(業務上明らかに不要な仕事の強制、など)
  • 過小な要求(合理性なく、能力に見合っていない程度の低い仕事を命じる、など)
  • 個の侵害(許可なく私物の写真撮影をする、病歴を他の労働者に暴露する、配偶者の悪口を言う、など)

「必要な指導ができなくなる」は間違い

「何でもパワハラだと言われたら、上司は部下に指導ができなくなってしまう」という意見もあるかもしれません。しかし、先ほどの厚生労働省が定めたパワハラの定義には「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導は該当しない」と記載されています。つまり、適正な方法で、必要な範囲内での業務指示や指導であればパワハラではないということです。ただし、重要なのは「自分が必要だと思ったから」というのではなく、「客観的にみてどうだったのか」という点です。

厚生労働省がパワハラをはっきりと定義したことで、指導をしにくくなったのではなく、むしろ気をつけるべきポイントがわかりやすくなったと言えます。

パワハラ防止法の対象と義務

そもそも、パワハラとはどのようなことを指すのでしょうか。ここではパワハラの定義について詳しく見ていきましょう。

厚生労働省によるパワハラの定義

厚生労働省の公表した文書によると、パワハラは以下のように定義されています。

「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については 、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。」
出典:厚生労働省|厚生労働省告示第5号労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

具体的には、たとえば以下のような行為がパワハラに該当すると言えるでしょう

  • 殴打、足蹴りや相手にものを投げる
  • 人格を否定する
  • 他の従業員の前で大声で繰り返し叱る
  • 能力を否定したり罵倒したりする内容のメールを社内で回す

さらに、以下のような行動も、パワハラの一種です。

  • 過大な要求(業務上明らかに不要な仕事の強制、など)
  • 過小な要求(合理性なく、能力に見合っていない程度の低い仕事を命じる、など)
  • 個の侵害(許可なく私物の写真撮影をする、病歴を他の労働者に暴露する、配偶者の悪口を言う、など)

「必要な指導ができなくなる」は間違い

「何でもパワハラだと言われたら、上司は部下に指導ができなくなってしまう」という意見もあるかもしれません。しかし、先ほどの厚生労働省が定めたパワハラの定義には「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導は該当しない」と記載されています。つまり、適正な方法で、必要な範囲内での業務指示や指導であればパワハラではないということです。ただし、重要なのは「自分が必要だと思ったから」というのではなく、「客観的にみてどうだったのか」という点です。

厚生労働省がパワハラをはっきりと定義したことで、指導をしにくくなったのではなく、むしろ気をつけるべきポイントがわかりやすくなったと言えます。

パワハラ防止法の対象と義務

それでは、必要な措置とはどのような措置のことを言うのでしょうか。義務化されたからには、しっかりと中身を知っておきたいところです。ここでは、企業が講ずるべき措置について具体的に解説します。

措置の具体例

厚生労働省は、企業がパワハラを防止するために講ずるべき措置について、具体例とともに、以下のように定めています。

  • 「職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。」……(例)社内報やパンフレットなどで、パワハラの内容や発生原因などを、労働者に対して周知・啓発をする。
  • 「職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。」……(例)就業規則などで、パワハラをおこなった者への懲戒規定を定めて労働者に周知する。現在の就業規則において、パワハラを行うと懲戒規定の対象となることを周知する。
  • 「相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。」……(例)相談に対応するための制度を作ったり、相談担当者を配置したりすること。
  • 「相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること」……(例)パワハラの相談を担当者が受けた場合、相談窓口と人事部門が連携できるような仕組みを作ること。相談窓口の担当者に、相談を受けた場合の研修を行うこと。相談者のプライバシーの保護に関する周知や研修をすることも含みます。

以上の4点が、必要な措置として挙げられています。

必要な措置を講じなくても、現時点では罰則はありません。ただし、今後社内でパワハラが起きてしまった場合、「企業が適切な措置をしなかった」「相談する先がなかった」と訴えられてしまった場合は、厚生労働省の助言や指導、勧告の対象となる可能性があります。また、企業の信頼にも関わってくるでしょう。もちろん、パワハラの内容が暴行罪や脅迫罪などに当たれば、パワハラをおこなった人には刑法に定められた罰則が適用されます。

罰則がないから対応を後回しにするのではなく、企業のリスクに備えるためにも早急に対応することが求められます。

まとめ

今回は、パワハラ防止法施行に伴い、パワハラの定義と、企業の義務について詳しく解説しました。今回の法改正は、パワハラはもちろんですが、セクハラやマタハラなどを排除し、働きやすい職場を作るためのものです。必要な指導までパワハラだと言われないためにも、社員同士のコミュニケーションをきちんとはかり、「必要な指導だったか」を冷静に考えられる環境が必要です。