テレワーク5つのデメリット!それぞれの課題と対策を知ろう!

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ICT(情報通信技術)を利用して、時間や場所を有効活用した柔軟な働き方を実現するテレワーク。国も推奨するその新しい働き方を取り入れる企業は年々増えており、「テレワークを始めると出社する理由がわからなくなる」という声を耳にするようになりました。

一方で、都内の企業を対象にしたテレワークの認知度調査(※)では、「聞いたことがあるが内容について理解していない」「知らなかった」と答えた企業は未だに30%以上あることが分かりました。実際に導入した企業が直面しているデメリットも浮き彫りになっています。そこで、今後テレワークの導入を検討している企業が、知識を深めてスムーズに推進できるように、事前に知っておいたほうがいいテレワークのデメリットを解説していきます。

※出典:東京都産業労働局「多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)平成31年3月」P8より抜粋

デメリット1:コミュニケーションの難しさ

テレワークは、職場に通勤することなく普段の業務を遠隔で行うことができる新しい働き方。通勤時間を短縮できることで、プライベートの時間を確保しやすくなるなどの利点があります。しかし、基本的にひとりで作業を行うことになるため、社員同士が直接会って仕事に関する相談や雑談などの会話をする機会は減少します。こうした社員間のコミュニケーション不足は、テレワーク導入にあたり多くの企業が悩む要因のひとつです。

課題

これまで主流だった職場通勤型の働き方は、部署内のミッションに対して個々が連携しながら仕事を進めるというのが一般的。そのため、すぐ近くで会話や相談ができないことに不安を感じてしまう方や、同じ空間で働く仲間がいないことに孤立感を抱く社員が増えるでしょう。

組織や部署をまとめる側にとっては、何か問題点があったとしても社員が共有を後回しにする可能性があるため、チームワークや生産性の低下、マネジメントへの影響が危惧されます。

対策

リモート(遠隔)作業に適したコミュニケーションツールを導入することで、離れた社員との協働や円滑な情報共有を行うことができます。具体的には、インターネットを通じて映像や音声のやり取り、資料の共有ができる「Web会議」やリアルタイムで文字ベースの会話ができる「チャット」などのシステムが有効です。

また、全営業日をテレワークにするのではなく、週の中で出社する曜日を決めたり、月ごとに出社日を設定したりと、社員同士が顔を合わせる機会を捻出することで、協調性やチーム力を維持できます。このように、リモート作業にこだわり過ぎず、接点をつくりながら働く仕組みを構築することは、円滑なコミュニ―ションを図る上で重要です。

デメリット2:情報の管理・漏洩のリスク

テレワークで柔軟な働き方ができると理解しつつも、なかなか導入に踏み切れない理由として、情報管理やセキュリティの観点から漏洩リスクを警戒するケースが挙げられます。事実として、都内の企業がテレワークを導入しない理由を調べた結果(※)「情報漏洩が心配だから」が40.6%でした。

※出典:東京都産業労働局「多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)平成31年3月」P47より抜粋

課題

テレワークの働き方は、自宅で働く「在宅勤務」、移動中やコワーキングスペース、カフェなどで働く「モバイル勤務」、オフィスなどの職場以外の関連施設で働く「サテライトオフィス勤務」の3パターンが代表的です。そのすべてが、特定のオフィス内ではない外部になるので、社員が情報を外に持ち出すことによる情報漏洩のリスクは当然のことながら高まります。

対策

テレワークで使用するパソコンなどの作業端末に対して、セキュリティ対策を万全にする必要があります。そのためには、まず企業全体の指針や方針を定めたルール「セキュリティポリシー」の見直しを行い、不正アクセスや自社システムを守るウィルス対策ソフトを導入しましょう。端末のパスワードを長期的に使用し続けている場合は、その変更と管理を徹底することをおすすめします。

社外で作業する際にリスクが高まる盗難や紛失などに対する対策も必要です。例えば、端末がどこで使用されているのか、社外秘などのデータは暗号化されているか、といった進捗管理をリアルタイムで行います。いざという時のために、外付けハードディスクやクラウドなどを利用して小まめにバックアップを取ることも忘れてはいけません。

また、テレワークを実行する社員一人ひとりが情報セキュリティに対する知識や危機感を得ることも対策のひとつ。その方策としては、テレワークを導入する前にコンプライアンスや情報管理に関する勉強会や研修の実施などが挙げられます。社員育成にも繋がるので、リスクマネジメントの観点からも有効でしょう。

デメリット3:実働の実態を把握しづらい

テレワークを実施することで、オフィス勤務よりも社員の自由度は増しますが、タイムマネジメントができていなければ、日々の労働時間に大幅なブレが生じます。中には、自宅で働くことになかなか馴染めず、集中力が散漫になってしまうという方も見受けられます。より良い働き方を描いていた企業側も、社員がサボってしまわないかという要らぬ心配事が増えてしまっては本末転倒です。

課題

オフィスでの勤務は、目の届くところに社員がいるので就労状況の把握は比較的容易です。しかし、それぞれ離れた場所で業務を行うテレワークの場合は、社員が業務を開始した時間や休憩の頻度、仕事を終えた時間などの実働が把握しづらいという課題があります。日中に終わらなかった業務を就労時間外の深夜帯に行うなど、サービス残業の問題も発生しかねません。

対策

自宅で終日テレワークを行う在宅勤務時は、朝礼や終礼などの区切りがなく、周囲に同僚や上司がいないことから、オンとオフのメリハリが難しいと言われています。そのため、社員の実働状況を正しく把握するためにも、遠隔でスムーズに勤怠の把握ができる仕組みづくりは必須といえるでしょう。

すぐに始められる有効な手段は、正確な労働時間をメールや電話で報告するルールを作ること。また、スマートフォンなどのモバイル端末やICカードに対応した勤怠管理システムを導入するなど、最新のテクノロジーを活用することで精度の高い実働チェックが可能です。中には、パソコンの起動とシャットダウンの時刻ログを調べて記録している企業もあります。

適正な実働を把握できる体制が構築されることで、ダラダラと時間をかけて働く社員への注意喚起ができ、生産性の高い社員が損をすることもなくなるでしょう。その結果、社員同士が離れた場所にいたとしても、仕事に取り組む姿勢や働く意欲を高めることに繋がります。

デメリット4:仕事面での評価のしづらさ

テレワークを導入した企業で働く管理職には、在宅勤務をしている社員の評価が難しいと感じている方が多くいます。テレワークと人事評価に関する調査(※)では、「オフィス出社時と比べて難しい」と答えた方が73.7%もおり、7割以上が困難を強いられている状態。一方、テレワーク中の社員は、同じ環境にいない上司が、果たして自分の仕事を正当評価してくれるのかという不安を抱えています。

※出典:株式会社あしたのチーム「テレワークと人事評価に関する調査」2020年4月

課題

テレワークの実績がない企業に多いのが、直に部下の仕事ぶりが見られない環境で、上司がどこをポイントに評価すればいいか分からないという課題です。終業時のチェックにより、その日に行った仕事の成果は把握できますが、1日を通した仕事に取り組む姿勢や意欲が見えないため、業務プロセス(過程)を評価するのは非常に困難です。

また、仕事の成果というパフォーマンスに偏った評価になってしまうことで、オフィスで働いていた時との評価に差が生まれる場合も。そうなると、不満やモチベーションの低下に繋がり、最悪の場合は退職を考える社員も出てきてしまいます。

対策

週1日や2日程度のテレワークであれば既存の評価制度を適応できます。しかし、継続した在宅勤務を実施する場合は、新たな評価制度を定め、企業とテレワークを行う社員との間で共通の認識をもつことが正当な評価をする上でとても重要です。管理職などのマネジメントが重視されてきた社員がテレワークをする場合は、遠隔でできるディレクション面を評価するなどの工夫が必要でしょう。

テレワーク実施中の評価基準やルールを明確化することで、目標が立てやすくなり、達成に向けたPDCAサイクルを社員自らまわせるように導くことができます。また、半期ごとやクオーター(四半期)ごとの評価が通常勤務の社員と公平になるように、評価をする側(管理職など)への意識啓発も同時に行うことが重要です。

デメリット5:リモートではできない業務がある

テレワークの導入が難しい業界として挙げられているのが、生産・製造業、接客・販売業、医療・福祉業です。接客・販売業はレジのセルフ化やオンラインショッピングによる対応策を導入したり、医療業ではテレビ電話などにより診察するケースが増えたりと解決方法が増えていますが、基本的にひとりで完遂できる業務が少ないため、全てをリモートで行うことは難しいのが現実です。

一方で、テレワークが可能な業界であっても、「オフィスや現場でなければできない仕事がある」などの課題を抱える企業は未だに多くあります。

課題

テレワークを推奨している企業が増えたことで、様々な課題点が浮き彫りになっています。その中で多いのがオフィスでなければできない業務です。ある調査(※)では、テレワークの実施で困った理由として「オフィスで管理する紙書類の確認・入手」と答えた方が46%と最も多く、続いて「書類へのサイン・捺印」が28%という結果になりました。事実、「法律上の理由から紙とハンコが必要な業務がある企業」が36%であるのに対して、「会社都合で紙とハンコが必要な業務がある企業」は54%という調査結果も出ており、書類の管理方法などが古くから根付いている企業の多さを表しています。これらは、物理的に遠隔で行うことが不可能であるため、テレワークを継続する上で大きな妨げとなる要因といえるでしょう。

※参考:株式会社ドリーム・アーツ「テレワーク実態調査」2020.05.14

対策

個々が法律上のルールを変えることはできませんが、企業内のみで実施してきたルールを変えることはできます。具体的な対策としては、アナログによる既存の業務内容を見直し、ハンコの電子化や電子承認といった新しいワークフローを構築すること。テレワークを導入するにあり、Web会議システムやチャットシステムの導入、そして従業員へノートパソコンを支給するなど、ITインフラの環境整備を初めて実施する企業にとって、さらにワークフローを刷新することは容易なことではありません。しかし、ペーパーレス化により、これまでかかっていたランニングコストの削減にも繋がるため、長期的にみれば企業にとってプラスの方策といえます。

デメリットを知ることがテレワーク導入の成功につながる

テレワークの導入に踏み切れない企業の中には、漠然とした不安や業界的にできないと決めつけてしまうケースが少なくありません。しかし、具体的なデメリットを知ることで、事前準備やトライアル(試行導入)などの対策が明確になり、ほとんどの不安を取り除くことが可能です。

最近では、厚労省がまとめた「テレワーク活用の好事例集」など、テレワークを導入する企業の増加に伴い、多種多様な導入事例も増えてきました。働き方改革が推進されるこの機会に、先駆者のナレッジを参考にしながら、自社に合ったテレワークを導入してみてはいかがでしょうか。