テレワークとは?導入が進む新たな働き方に詳しくなろう!

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は2020年2月25日にテレワークと時差出勤などの推奨を宣言しました。さらに「緊急事態宣言」を出した地域では、人と人との接触機会を8割減にすることを目標にしており、各企業ではより一層テレワークへの取り組みが広がっています。

しかし、テレワークについて、「在宅で仕事をすること」と抽象的なイメージはあっても、その内容まで詳しく説明できる方も少ないはず。新しい働き方への移行ができるこのタイミングで、テレワークへの理解を深められれば、企業にとってプラスとなるヒントが得られるでしょう。

今回は再度テレワークの内容をおさらいしつつ、メリットやデメリット、導入事例を紹介します。

テレワークの概要を詳しく知る

新型コロナウイルスの問題が発生する前から、テレワークは働き方改革推進の取り組みとして導入する企業も見られていました。

テレワークとは

あらためてテレワークとは、「Tele(離れたところで)」+「Work(働く)」を合わせた造語であり、ICT(情報通信技術)の活用によって時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。総務省の平成29年通信利用動向調査によれば、日本の企業におけるテレワークの導入率は13.9%であり、2012年の11.5%からゆるやかな増加傾向にあります。

テレワークが注目される背景

新型コロナウイルスの影響から、テレワークの導入を急ぐ企業も見られますが、もともとテレワークは労働人口の減少から注目されていた働き方でもあります。

少子高齢化により、日本では労働人口が年々減少しています。それだけでなく、出産や育児、介護といった理由により出勤が難しくなり、退職せざるを得ない方もいるでしょう。そんな「意欲があり、働く場所における課題さえクリアできれば勤続できる方」に対し、企業はテレワークという形で働ける機会を提供するようになりました。

テレワークは、採用面でも強みを発揮します。県外、さらには国外であってもテレワークであれば採用が可能になり、応募する側も場所にとらわれず興味を持った企業で働くことができます。優秀な人材を、場所の制限がない状態で獲得できる点もまた、テレワークが注目されるようになった背景といえるでしょう。

テレワークの就労形態

テレワークの形態は、以下の3種類にわけられます。

1.在宅勤務

所属する企業のオフィスには出勤せず、自宅を就業場所とするスタイルのテレワークです。チャットツールやWeb会議システムを中心に企業とコミュニケーションをとっています。また、昨今の新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためには、外出の必要がない在宅勤務の形式が特に推奨されています。

2.サテライトオフィス勤務(施設利用型勤務)

会社以外の場所に設置されたオフィスで勤務をする形式です。複数の企業や個人が共同で利用するオフィスであり、テレワークをするための設備は整っています。主に会社までの通勤に時間がかかる方の勤務に適しています。

3.モバイルワーク

顧客先や移動中の電車、カフェなどでパソコンやスマートフォンをもとに勤務する形式です。営業職など、移動を伴う職種で利用されることが多く、オフィスに戻る必要がないため移動時間の短縮や業務効率の向上に役立っています。

テレワーク導入によるメリットとは

さまざまな形式で行われるテレワークですが、実際に導入することで得られるメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。

メリット①|通勤負担・移動費の軽減

在宅勤務の場合、会社まで通勤するための時間が削減できます。通勤ラッシュによるストレスがなくなり、業務にすぐ取り組むことができるのは社員にとって大きなメリットでしょう。

一方で、経営側としても交通費や出張費などの従業員の移動コストが削減できるのはメリットといえるのではないでしょうか。加えて在宅勤務形式に完全移行できれば、サテライトオフィスの賃料も削減でき、さまざまなコスト削減につながります。

メリット②|災害時などのリスクに対応できる

テレワークは、今まさに日本がおかれている新型コロナウイルスによる影響に対応できる働き方です。そのほかにも災害などにより通勤が困難になったとしても、被害の少ない地域の従業員により業務がストップすることが避けられます。

メリット③|ワーク・ライフ・バランスの実現

在宅でのテレワークでは、勤務が終わった後、すぐに自分の時間を確保することも可能です。家族と過ごす、趣味を楽しむ時間が増え、ワーク・ライフ・バランスの実現にも有効でしょう。

メリット④|離職率の低下

従来、育児や介護によって長時間自宅を離れられなくなった人は、退職するほかありませんでした。環境の変化から退職を選ぶ人の中には、それまで業務で得たノウハウを持っていることも少なくありません。そんな人が退職してしまえば、あらためて社員教育を行う必要が発生するだけでなく、業務の効率が著しく下がってしまいます。しかし場所や時間を選ばないテレワークを導入すれば、離職率を低下させられるほか、業務のスピードを落とすことはありません。

テレワーク導入によるデメリットとは

しかしながら、テレワークはメリットばかりではありません。デメリットを踏まえながら、導入を検討しましょう。

デメリット①|設備の初期コストがかかる

テレワークを実現するためには、パソコンやスマートフォンなどのデバイス、ネットワーク環境を整える各種設備、オンライン会議に使用するマイクやカメラ、コミュニケーションツール利用時の費用などが必要です。

なお、中小企業の事業主が新たにテレワークの導入を検討している場合、条件を満たせば国から助成金を受け取ることが可能です。コスト面で不安がある場合、まずは厚生労働省の委託事業である「テレワーク相談センター」に相談してみるのも良いでしょう。

デメリット②|情報漏洩のリスクが生じる

セキュリティ管理が万全のオフィスに比べ、オフィス外で勤務するテレワークでは情報漏洩のリスクが高まります。特にカフェやサテライトオフィスなどでは誰でも利用できる公共のWi-Fiを使うこともあり、情報が盗まれるリスクも無視できません。

パソコンの持ち出しや私物のパソコンの利用などが発生する際には、セキュリティソフトを利用することも検討しましょう。

デメリット③|マネジメントの質が変わる

テレワークは対面でのコミュニケーションができなくなるため、部下のマネジメント方法を変える必要があります。

部下の働き方に目が行き届いていたオフィスとは違い、テレワークでは従業員の勤務状況を管理することが難しくなります。表向きは勤務しているように見えても、実は自宅で業務とは関係のないことをしている……という状況になっているかもしれません。結果として、テレワークを導入する以前よりも生産性が下がるケースも起こります。

そのため、テレワークを導入する際は定期的に勤務状況を報告させる、チャットツールやオンライン会議ツールを導入し、コミュニケーションを取れる環境を整えるなど、部下の勤務を確認できる体制を整えておかなければなりません。

テレワークを円滑に進めるツールをご紹介

テレワークを始めるにあたり、「コミュニケーションが上手く取れないのでは?」「勤怠管理はどうすればいいのだろうか」と不安に思う方もいるかもしれません。テレワークを円滑に進めるためにも、ITツールの導入も念頭に入れておきましょう。

コミュニケーションツール(チャット、Web会議)

対面での業務とは異なり、テレワークでは直接コミュニケーションを取る手段が必要となります。従来では社員同士の連絡として電話が多く使われていましたが、都合によって出られない、他の用件で電話をしている可能性もありました。しかしチャットであれば、お互いの都合の良いときにメッセージを確認できるほか、複数人での連絡も可能です。

便利なチャットにも、細かいニュアンスや温度感が伝わらないという課題点があります。そんなときは、相手の表情が見えるWeb会議ツールを併用しましょう。社内外のミーティングはもちろん、求職者とのオンライン面談など採用活動にも利用できます。

Web会議ツールは、ネットワーク環境によって音声や映像の乱れが発生します。もしネットワーク回線が不安定な社員がいれば、企業側で設備を整えるための補助を行いましょう。

勤怠管理ツール

テレワークは社外での勤務となるため、社員ひとりひとりの労働時間が把握しづらいというデメリットがあります。上司の目が届かないため、仕事が終わらず深夜残業をしている社員がいても表面化しないことを問題視している声も多く聞かれています。

勤務時間についてはExcelで記入・集計するのもひとつの方法ですが、時間と労力がかかるほか集計ミスが生じるリスクも無視できません。

そこで利用したいのが、パソコンやスマートフォンから出退勤時刻を打刻、勤務時間を集計してくれる勤怠管理ツールです。勤怠管理がスムーズに行えるほか、「育児や介護のため1時間だけ離席し、後から1時間分の勤務を補填する」といった状況にも対応が可能です。柔軟な働き方が今後ますます広がることも踏まえると、勤怠管理ツールの導入は決して無駄ではないといえます。

テレワークには最新のセキュリティ対策を

これまで社員はセキュリティ対策が徹底されたオフィスで業務を行っていました。しかし、社員それぞれが在宅で仕事をするようになると、心配なのが情報漏えいやウイルス感染などのリスクです。もし顧客情報が外部に流出してしまえば、企業の評判が著しく傷つくことになります。

そんなリスクを避けるためにも、最新のセキュリティ対策を徹底しましょう。

暗号化

カフェやサテライトオフィスで業務をする際、パソコンやスマートフォンの紛失や盗難が発生するかもしれません。そんな事態から情報漏えいを防ぐためにも、ハードディスクや端末本体の暗号化を行いましょう。

VPN

社外からインターネットを利用、会社のネットワークに接続する際のセキュリティとしてVPN(Virtual Private Network)の利用もセキュリティ対策のひとつです。過去には公共Wi-Fiを使い、第三者から情報を盗聴された事例もありますが、VPMを使うとデバイスとアクセスポイントの通信内容が暗号化されるため、情報漏えいのリスクが減少します。

セキュリティ対策ソフト

法人向けのセキュリティ対策ソフトを導入するのも最適です。個人向けのものとは違い、インストールしているパソコンを管理者が一括管理できるため、手間もかかりません。

テレワークの導入事例

テレワークを導入する企業は年々増加傾向にあり、それぞれの形でデメリットに向けた対策も行われています。実際に導入し、成功した事例をそれぞれ見てみましょう。

テレワークを導入した企業事例①|カルビー株式会社

カルビー株式会社では、2019年7月25日、26日の2日間にわたって本社勤務の従業員(約400名)を対象に、テレワーク実施日を設けました。実施後のアンケートでは7割から8割の社員が業務効率、ワーク・ライフ・バランスの向上を実感していることも明らかになっています。そしてその後は毎月第3水曜日を「モバイルワーク・デー」として本社のほか、各地域事業所でもテレワークを推奨する日としています。

テレワークの実施に関しては「通勤ラッシュの疲労がない」「終了時間以降が自由に使えるので仕事にも集中できた」という声も寄せられており、好意的な意見が見られます。

当然ながら、テレワークはすべての社員に合った働き方ともいえません。だからこそ、カルビー株式会社のようにまずは導入し、社員からの意見をもとにテレワークを実施していくのもひとつの方法です。

テレワークを導入した企業事例②|ディーシーティーデザイン

青森県でチラシやフライヤー、広告物の企画やデザインなどを手掛けているディーシーティーデザインは、テレワークの導入により通勤・移動時間の短縮を実現できました。

豪雪地帯でもある青森県では、冬場の通勤時間が2時間を超えるときも珍しくありません。この通勤・移動時間の短縮を目標にテレワークを導入したところ、これに加え仕事の効率アップや生産性の向上を実現、家族との団らんや趣味の時間が増えたといいます。時間を有効活用し、より多くの成果をあげられたのは、通勤・移動時間の短縮がテレワークで実現できたからに他なりません。

テレワークを導入した企業事例③|株式会社はっぴぃりんく

鳥取県で学習塾やウェブ制作などの事業展開をしている株式会社はっぴぃりんくでは、テレワークが社員離職対策に効果的だったことを述べています。

この企業では「自由な時間に在宅で働ける」というテレワークの特徴を生かし、豊富な経験や専門知識を有しながらも、オフィス勤務が課題となっている潜在層の人材を獲得しました。さらに企業の事情を熟知し、業務を支える社員がライフイベントで離職せざるを得ない状況になったとき、その損失はとても大きいもの。株式会社はっぴぃりんくでは、そんな社員に対しテレワークの導入を検討しました。

ライフイベントによる社員の離職は、避けられないものでもあります。しかし、自宅で可能なタイミングで業務に取り組めるテレワークは、離職を防ぐ方法にもなります。

働き方が大きく変わる今こそ、テレワークを導入しよう

新型コロナウイルスという未曾有の危機を前に、各企業のテレワークの導入は加速の一途を辿っています。もはや「オフィスに必ずしも全員が出社しなければいけない」といったイメージは、変わりつつあるのかもしれません。

世界規模で働き方が大きく変わろうとしている今、あらためてテレワークについて知り、導入を検討してみてはいかがでしょうか。